2009年11月28日土曜日
莫大な石油を消費する「中東の米軍」
これは、Deloitte社(デロイト・トーマツ・コンサルティング)の調査による情報だ。筆者の友人であるPaul McLeary氏が、『Aviation Week』で紹介している。
実際のところ、1ガロンあたり45ドルというのはかなり安く見積もった計算だ。海軍によると300ドルから400ドルらしい。
だが、これほどの燃料の大量消費にかかる代償は、金額だけでは計ることはできないと、Deliotte社の調査報告では警告している。燃料は、アフガニスタン国内の隔絶された基地へと輸送しなくてはならない。これは、米軍部隊がゲリラ的な爆弾攻撃にあい、兵士が死亡する危険性を伴う。
Deliotte社によると、「戦略の変更が行なわなければ、現在のアフガニスタン戦争では、結果として2014年までに米国兵士の犠牲者が124%(1年あたり17.5%)増加する可能性がある」という。
米国防総省は化石燃料に対する依存を軽減するため、世界最大規模の太陽熱発電所(日本語版記事)やハイブリッド車、[残飯や廃プラスチックなどの]廃棄物で動く発電機(日本語版記事)など、あらゆる取組みを行なっている。だが、これらの取組みの多くは、国防総省の米国内事業のエネルギー効率を向上させることに集中している。戦場の部隊に関しては、いまだ従来のペースで燃料が消費されているのが現状だ。
[Deloitte社は第二次大戦から現在の中東戦争までの米軍の年量消費量も比較しているが、それによると、現在の1日・1人あたりの消費量は、ベトナム戦争時の1.75倍だという]
青少年の75%が軍に不適格:「肥満」「軟弱」が急増
Army Timesの記事によると、軍に不適格とされる若者たちは、太りすぎか病弱か、知能が遅れているか、扶養家族が多すぎるか、あるいは違法薬物使用による逮捕歴があるというものだ。[「医療的・身体的理由」が35%、「違法薬物の使用」が18%、「全人口の10%以下にあたる知能」が9%、「18歳以下の扶養家族が多い」が6%、「犯罪歴」が5%]
軍としては、喘息持ちや、マリファナをちょっと使った程度の志願者には、こうした制約を免除しても構わないと考えている。しかし、軍が最も懸念していることは、入隊者たちが肥満し軟弱になったことだ。
「不適格の主要原因は肥満だ」と、米国防総省の採用責任者であるCurt Gilroy氏は、Army TimesのWilliam McMichael氏に語っている。「腕立て伏せができないだけではない……懸垂ができないし、走れないのだ」
現在、18〜34歳の23%が肥満に該当する。ちなみに1987年には、この割合はわずか6%だった。[同記事によると、軍が根拠としているのはCDC(米疾病予防管理センター)による全国統計。BMI(ボディマス指数)30以上が肥満とされている]
米国の若者における「兵役志願傾向」が下降している現在、志願者集団はますます減少している、と社会科学者は述べている。Gilroy氏によると、米国の兵役資格のある若者を対象とした調査結果では、兵役に興味を示したのはおよそ12%だったという。
この1年間、不況の影響で、軍は大量に採用することが可能だった。だが経済は回復し始め、アフガニスタンでの戦争が長期化する中で、志願者から成る軍隊の維持を、[兵役に関心がありしかも適格と見なされる]少数の若者たちに頼るのは、ますます厳しくなっていくだろう。
方法は2つに1つだ。採用した新兵自体を変えるか、採用基準を変更するかだ。――空軍の新しいサイバー軍団[電子戦・情報戦・サイバー戦を担当する]では、何度も懸垂ができる人材は必要ないことだろう。
[米国では、ベトナム戦争終結後の1973年以降、徴兵を停止しているが、選抜徴兵登録制度は行なわれている。米国の将兵の数は2006年で144万人。就業人口に対する比率は1.0%、総人口に対する比率は0.5%にあたる]
映画を超える?「米軍の超能力・麻薬研究」
この映画に登場する突拍子もない軍事研究計画のうち、一体どれほどが実際に行なわれたのだろうか。実のところ、映画に登場する話題の大部分は、真実にかなり迫ったものであり――ただし実際は、もっと複雑なのだという。
超能力実験:
これは実際に行なわれていた。
今回の映画の原作となったノンフィクション本では、元陸軍大佐John B. Alexander氏のことが紹介されている。Alexander氏はベトナムで米陸軍特殊部隊の司令官を務め、数十年にわたって超能力者や「遠隔透視」能力を持つ人を国家安全保障に利用するアイデアを推進してきた。(同氏が神経言語プログラミングやUFOや非殺傷兵器への興味を追究するようになる以前の話だ)。Wired.comが行なった、Alexander氏へのインタビュー記事はこちら(日本語版記事)。
Wired.comでは、さらにこの分野に関する調査を深める中で、米Boeing社が60年代に行なった超能力実験などの過去の研究を紹介してきた。このBoeing社の実験では、何人かの被験者は、無作為に番号を生成する装置に、意思の力だけで特定の番号を出力させることができるようだ、との結論が出ている。
1985年以前の陸軍の報告書には、「サイコキネシスは、継続的な研究が行なわれ、有効利用できるレベルにまで開発された場合、今後の軍事作戦において軍事的価値を持つ可能性を秘めている」という記述がある(日本語版過去記事)。
比較的近年の1996年になっても、「視覚によらない知覚」なる現象が調査されているし、米軍のお抱え超能力者たちは今日なお活動中なのかもしれない。9.11テロはその何年も前に、遠隔透視能力者らによって予知されていた、と示唆する報告が2007年に公開されている。[リンク先記事によると、予言が出たとされるのは1986年。「建物の崩壊を伝える新聞の見出し、飛行機と関連したパニック」などの「予言」が書かれている。
1972年から米スタンフォード研究所で研究が始まった「遠隔透視」について書かれた本の邦訳は『サイキック・スパイ―米軍遠隔透視部隊極秘計画』(扶桑社ノンフィクション)]
ドラッグの実験:
これも事実だ。
前線の兵士たちは、[濃縮された]液体大麻からLSDまで、あらゆる薬物を――場合によっては、それと知らされずに――投与されていた。
研究者らは、軍人たちが「目に見えないさまざまな人と、2、3日間にもわたって会話を続け」たりするのを目撃している。[米陸軍がLSDなどの幻覚誘発薬を使って行なった『エッジウッド実験』などを紹介する日本語版記事はこちら]
ヒッピー軍隊:
実在の人物である元陸軍中佐のJim Channon氏はニューエイジ思想に深く傾倒し、きわめてオルタナティブな戦争観を米軍にもたらした――例えば、軍隊が花や、[子羊などの]平和的なイメージの動物を抱えて戦場に赴くという『第一地球大隊』(First Earth Battalion)などだ。
映画では、Channon氏に当たる役柄[役名Bill Django]をJeff Bridgesが演じている。Channon氏の考案した『第一地球大隊』は、映画では『New Earth Army』の名で登場するが、その理念は同じだ。映画の中でNew Earth Armyのマニュアルに使われている図版の多くは、Channon氏による実際のマニュアルからそのまま引用されている。[Wikipediaによると、瞑想や指圧や「地球への祈り」などを推奨し、7つの行動指針を頭文字をとって「SAMURAI」とまとめた]
東洋思想やオルタナティブなライフスタイルへの米軍の関心は、今ふたたび高まっている。ノースカロライナ州のキャンプ・ルジューン海兵隊基地では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の代替療法の1つとして、昔のサムライの鍛錬法に基づいたらしい『Warrior Mind Training』(軍人向け精神トレーニング)を指導している(日本語版記事)。
このほかに米国陸軍も、400万ドルを投じて、「レイキ」と呼ばれる手当て療法や超越瞑想、「生体エネルギー」などの代替療法を研究している。空軍も、戦場での鎮痛法として鍼治療を研究中だ。
画像は別の英文記事より
音を兵器にする:
これも事実だ。
不快な音や同じ曲――たとえば子供向けテレビ番組『Barney & Friends』のテーマ曲[『アルプス一万尺』のメロディー]など――を繰り返すことは、実際に心理的拷問や尋問の技術として用いられてきた。[米軍がグアンタナモ基地で、音楽を繰り返す拷問を行なっていたことを紹介する日本語版記事はこちら]
また、音波で攻撃する音響兵器(日本語版記事)『Low Dispersion Acoustic Projector』(LDAP)もある。Wired.comの記者David Axeは、この音波攻撃をみずから体験して記事(英文記事)にこう書いている。「口うるさい彼女が100人も頭の中にいて、自分に向かって叫んでいるみたいだった」
テレパシーで動物を殺す:
画像は別の英文記事
これはフィクション。今回の映画(と原作本)に描かれている最も奇抜なエピソードが、軍の超能力者らは、見つめるだけでヤギを殺すことすらできる、というものだ。だがJohn Alexander氏でさえ、これは真実ではないと語っている。
もっとも、ヤギは軍事研究において、実験対象としてヒトの代わりにしばしば用いられる動物だ。本来は非殺傷兵器である『Active Denial System』の実験で、ヤギが一瞬にして死んだ、という噂もある。また、特殊作戦軍では、戦場での救急訓練にヤギを用いている――まず(麻酔をしていない)ヤギを撃って、それから治療するというもので、この慣行には根強い批判がある。
2009年8月16日日曜日
米陸軍、世界最大規模の太陽熱発電所を建設開始
Photo:米国空軍
米国陸軍が、カリフォルニア州の砂漠に出力500メガワットの太陽熱発電所の建設をまもなく開始する。完成すると、世界最大規模の再生可能エネルギー発電所の1つとなる。
これはある意味で皮肉でもある。米軍はこれまで環境問題や気候の変化にそれほど注意を払っていなかったからだ。このプロジェクトの計画を指揮するKevin Geiss博士は、結局のところ、再生可能エネルギーの方が「安全」であることがわかったと述べている。
現時点では、同駐屯地のエネルギーのほとんどは、多くの軍事基地と同様にディーゼル発電機から得ているため、長くて無防備な配管が燃料源まで続いているのだ。
米陸軍は7月31日(米国時間)、軍の主要訓練施設の1つであるカリフォルニア州アーウィン駐屯地で、この巨大発電所を建設する民間の開発業者、Clark Enterprises社とスペインのAcciona社を紹介した。
アーウィン駐屯地は場所として申し分ない。基地の面積は1万4000エーカー[約5600万平方メートル]あり、そのほとんどが更地だ。このような 敷地があるということは、米軍が再生可能エネルギーの開発を推進できることを意味する、とGeiss博士は述べる。米軍は米国内の至るところで、一定した エネルギー需要がある基地を持ち、その隣に広大な土地を所有している。
アーウィン駐屯地にはさらに有利な点がある。すぐ隣に大容量の送電線があるため、将来は、余ったエネルギーの大部分を南カリフォルニアに売却できるのだ。アーウィン駐屯地ではピーク時でも35メガワットしか必要としないため、465メガワット近くが余ることになる。
一方で、軍ではアーウィン駐屯地を必要に応じて送電網から隔離することも望んでいるとGeiss博士は述べている。開発業者は、非常事態に備えて基地のエネルギーを完全に独立させる機構を構築する必要がある。
アーウィン駐屯地の太陽熱発電所の建設には少なくとも総額15億ドルが必要で、2022年までには発電準備が整うことになっている。
Geiss博士は今回の計画について、これまでの軍のあり方からの大きな転換になると述べる。「この100年間を見ただけでも、軍の作戦が燃料不足 によって妨げられた明確な例がいくつもある。第二次世界大戦において、米陸軍のパットン将軍によるドイツ軍攻撃が停滞したのは、アイゼンハワー連合軍総司 令官が燃料物資を、モントゴメリー将軍が指揮する第21軍集団に振り向けたからだ」
2009年6月1日月曜日
米軍、「サイバーテロとの戦い」に対応する新組織設置へ
米国防総省(Pentagon)関係者はAFPに対し、ロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官が近日中に、大将が統括するサイバー司令部について正式な提案をする予定だと述べた。
中国やロシアなどからのサイバー・スパイ行為を頻繁に受けている米国では、サイバーテロに対する懸念が高まっている。米政府当局者によると、中国は精巧なサイバー戦争プログラムを作り上げており、米国やそのほかの国のコンピューターシステムに中国から行われたとみられる侵入行為が多発しているという。
国防総省関係者によると、サイバー司令部の活動は米国のコンピューターネットワークの安全確保が中心だが、米国の国益と「サイバースペースにおける行動の自由」を守るために必要な攻撃力を持つことも目指すという。
米国のサイバー戦力の詳細は秘密のベールに覆われているが、コンピューターシステムへの侵入行為やアクセス妨害などの技術開発も行うとみられる。(c)AFP/Dan De Luce【5月31日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は29日、サイバーテロ攻撃に対する米国の防衛力を強化する方針を示し、米軍は初の「サイバー司令部(cyber command)」の設置に向けて動き始めた。
米国防総省(Pentagon)関係者はAFPに対し、ロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官が近日中に、大将が統括するサイバー司令部について正式な提案をする予定だと述べた。
中国やロシアなどからのサイバー・スパイ行為を頻繁に受けている米国では、サイバーテロに対する懸念が高まっている。米政府当局者によると、中国は精巧なサイバー戦争プログラムを作り上げており、米国やそのほかの国のコンピューターシステムに中国から行われたとみられる侵入行為が多発しているという。
国防総省関係者によると、サイバー司令部の活動は米国のコンピューターネットワークの安全確保が中心だが、米国の国益と「サイバースペースにおける行動の自由」を守るために必要な攻撃力を持つことも目指すという。
米国のサイバー戦力の詳細は秘密のベールに覆われているが、コンピューターシステムへの侵入行為やアクセス妨害などの技術開発も行うとみられる。(c)AFP/Dan De Luce
2009年3月18日水曜日
「現代の戦争」最前線は人類学者:米軍のHTSプログラムとその実態
Photo: Robert Young Pelton
米陸軍は、社会科学者を軍に同行させて情報収集などに協力させる試み『Human Terrain System』(HTS)を行なっている。HTSは物議を醸しているが、「21世紀の戦争」の最前線に立つと考えられている。
イラクとアフガニスタンでは、民族学研究のツールを利用して、死者の出る可能性がもっと少ない賢明な対ゲリラ活動を行ない、アフリカでは文化的専門知識を利用して紛争を防止する――これが軍の思惑だ。
少なくとも、理論上は。
『Men's Journal』誌の最新号には、映画制作も行なっている作家のRobert Young Pelton氏が、アフガニスタンの『Human Terrain Team』に同行したときのルポが掲載されている。Pelton氏の記事は、ある意味愉快で参考になるが、非常に心をかき乱すものでもある。
Pelton氏は、バグラム空軍基地(これは、アフガニスタンのパルワン州東部に、米国のミニ商店街を移植したような所だ)に到着した後、あるHuman Terrain Teamに合流した。
このチームは、「ラオス人のDNA」に関する専門家、中国語を話せる米Intel社の元アナリスト、元歩兵といったタイプの人物、アフガニスタン系米国人の自動車整備士から成るものだった。
その後、Jeremy Jones中尉の車に同乗した。同中尉はインディアナ州出身で、レストラン『Cheesecake Factory』の元ウェイターだが、現在このプログラムの研究マネージャーとして働いている。
Jones中尉(上の写真)は、軍の人類学チームを代表する友好的な人物だ。自分たちの働きによって、担当地域での「実際の」(言いかえれば、生死がかかった)作戦が40〜60%減少した、とJones中尉のチームは主張している。Jones中尉はまさに、善意のある研究者のように見える。
一方、Pelton氏は途中で、別のタイプのHuman Terrain Teamにも出会った。こちらは武器や装備を携行した小編成のチームで、アフガニスタン人を捕まえて尋問し、人的情報データベースを増強させていた。
Pelton氏は彼らのチームに、Jones中尉による文化研究チームとの違いを説明するよう求め、メンバーの1人はPelton氏に次のように答えた。「私たちは、おしゃべり専門のチームではなく、撃つのが専門のチームなのだと思う」。
軍は「ソーシャル・ネットワークのマッピング」に熱心に取り組んでいるが、これがその裏側の実態であるようだ。まさに、『闇の奥』[映画『地獄の黙示録』の原作となった、ジョゼフ・コンラッドの代表作]を思い出す。
Men's Journalの記事「アフガニスタン:新たな心理戦」全文は、こちら。
[Pelton氏は、中東で米軍が契約している「傭兵」に関する著書『Licensed to Kill: Hired Guns in the War on Terror』も書いている人物。下の画像の前列、右から2番目]
「傭兵」たちと一緒のRobert Young Pelton氏。画像は別の英文記事より
バトルチップ:米軍が開発する次世代マイクロマシン
Image: Micro Cryogenic Cooler/Darpa/サイトトップの写真はWikipedia Commonsより
米国防総省の主要な研究部門である国防高等研究計画庁(DARPA)は、低温冷却器、真空ポンプ、レーダー、赤外線ビデオカメラなどあらゆる機器をチップ程度の大きさまで小型化する研究に取り組んでいる。うまくいけば、米軍向けにはまったく新しい種類の兵器やレーダー、そしてわれわれ一般人には新しいガジェットが手に入る可能性がある。
私は3月5日(米国時間)付けの『Guardian』紙で、あらゆる機器をマイクロチップほどのサイズに小型化するDARPAの驚くべきプログラムの一部について紹介した。このプログラムの最終目標は、「低電力で体積が小さく軽量なマイクロセンサーやマイクロロボット、マイクロ・コミュニケーション・システム」など、新世代の「マッチ箱サイズの高度に統合された機器およびマイクロシステムのアーキテクチャー」の開発だ。
チップ上で化学分析
研究者たちの世界では数年前から、「ラボ・オン・チップ」(LOC)センサーが関心を集めている。これらの小型機器は[毛細管が組み込まれた1枚のチップ上で化学分析ができるもので、例えば血液から]バクテリアやウィルスなど調査対象を検出・確認することなどに使用される。その名の通り、ミクロレベルで作られるので、サンプルが少量で済み、(距離と熱容量が小さいので)非常に速く結果を出せる。
この狭い研究分野における多くの進歩に、DARPAは影響を及ぼしている。それどころか、DARPAの5つの部門のうち1部門は、こうしたマイクロ技術の専門部門だ。
冷却
熱画像センサーや超伝導性部品など、ある種の電子部品にとって問題になるのが冷却だ。こうした冷却には通常、液体の供給と多くの電力が必要だが、DARPAの『低電力Micro Cryogenic Cooler(MCC)』はこうした問題を解決すると見られる。
これは、超小型機械の機器全体ではなく、特定の部品を冷却するという発想で、「微小機械熱分離構造(PDF)」を利用している――電流が流れると、熱電効果によって冷却する仕組みだ。0.1ワットの電力を流すだけで、4立方センチメートルの物体をマイナス200度まで冷却できると想定されている[図の説明では、「1mWで1立方センチメートルを冷却」とある]。
[熱電効果は、電気伝導体や半導体などの金属中において、熱流の熱エネルギーと電流の電気エネルギーが相互に及ぼし合う効果の総称。そのひとつペルティエ効果は、異なる金属を接合し電圧をかけると、接合点で熱の吸収・放出が起こる効果]
超小型カメラ
『Microsensors for Imaging』(MISI)は、短波長の赤外線スペクトルで作動する超小型カメラの開発を行なうプログラムだ。
特に、重さ200グラムの頭部装着型システムのほかに、超小型飛行機(MAV)用の重さ10グラムのカメラの開発に重点的に取り組んでいる。MAV用は、「標的認識範囲」が100メートル以上、視野が40度で、「光学的品質が高い」。シリコン上にあり、小型なので、既存のカメラと比べて非常に頑強で信頼性が高い。
すべてがチップ上に搭載されているこうしたカメラが市販され、低コストで大量生産されれば、侵入者を検知するセンサー、新しい地上ロボット用の汎用プラグイン式ビデオカメラ、爆弾やミサイルの誘導システムなど、あらゆる用途が実現可能になる。多くの企業が関心を抱く可能性があり、数年後には外国製のコピー製品も出現していくのではないかと思う。
2009年3月12日木曜日
掃討作戦が激減、「退屈」が新たな敵 イラク駐留米軍
バグダッド(Baghdad)空港に隣接したキャンプリバティー(Camp Liberty)では、イラクとは隔絶した生活が営まれている。メインストリートの「USAフードコート」には、バーガーキング(Burger King)、タコベル(Taco Bell)、サブウェイ(Subway)などのファストフード店に姿を変えたトレイラーが軒を連ね、ビジネスを競い合っている。
キャンプ内の巨大スーパーでは、ほとんどすべての生活必需品に加え、DVDやCD、MP3プレーヤー、iPodなども手に入る。任務中のアルコールは禁止されているが、本国では経済制裁で輸入が禁止されているキューバの高級葉巻も、ここでなら楽しめる。
キャンプ前にあるイスラム教のモスクから、夕拝の呼びかけが流れてくるなか、兵士たちは隣接したアル・ファウ(Al-Faw)宮殿の池を挟んでゴルフの技を磨いている。その池で釣りをしたりアヒルに餌をやる兵士、故ヤセル・アラファト(Yasser Arafat)元パレスチナ解放機構(PLO)議長が故サダム・フセイン(Saddam Hussein)大統領に贈ったとされるひじ掛けいすに座って写真を撮り合っている兵士たちもいる。
この宮殿は、フセイン大統領がイラン・イラク戦争(1980-88年)の「勝利」を記念して建てさせたものだが、現在はフセイン政権の転覆を記念して「勝利の宮殿」と呼ばれ、米軍を中心とした多国籍軍の本部となっている。イラク国内に展開するほかの部隊にとっては、観光名所にもなっている。
■「銃を使ったことはほとんどない」
2003年3月のイラク進攻以来、米軍には4250人の犠牲者が出ているが、ここ最近は全土で暴力が収束しつつあり、この数か月間はキャンプへの攻撃は起きていない。20歳のある兵士は「ここに来て4か月だけど、銃を使ったことはほとんどない」と語る。
今年1月1日、バグダッド中心部の米軍管轄区域グリーンゾーン(Green Zone)の治安権限がイラク政府に移譲され、イラクの主権の完全回復に向けた歩みが始まった。だが前年11月のイラク政府との安全保障協定に基づき、米軍の戦闘部隊は2011年末まではイラクに駐留する。
■イラク人と交流しない米兵
再び、キャンプリバティー。イラク南部に駐留する3人の従軍牧師が若い護衛らに、古代ウル王朝のジッグラト(ピラミッド型神殿)や預言者アブラハムの生誕地の写真を見せている。文官向けにイラク国内の歴史遺産を訪問するツアーが実施されているのだ。
一方、イラク軍と活動してきた兵たん担当のエドワード・ドーマン(Edward Dorman)大佐は、「米国とイラクは、文化の違いを克服する努力をしなければならない」と説く。だが、共同の任務やイラク人通訳とのやりとりをのぞいては、米兵14万6000人は、キャンプの外側にいるイラク人とはほとんど接することはない。(c)AFP/Haro Chakmakjian
2009年2月16日月曜日
米軍兵士の肥満急増、03年の2倍に
米国防総省が1月に発表した報告書によると、「過去10年間にわたって、現役兵士の中で肥満で治療を受けた者の割合が増加を続けている。また、03年以降、増加幅も拡大している」という。
肥満と診断された兵士の数は、1998年には兵士全体の1.6%にあたる2万5652人だったが、2003年には3万4333人(2.1%)に増加し、08年には03年の倍となる6万8786人(4.4%)に増加した。
05年に行われた米軍兵士への調査結果によると、「体重増加の原因として最も多かったのは、ストレスと海外派遣からの帰還」だった。
米軍の発表は、イラクやアフガニスタンへの派遣の長期化が、軍全体に疲弊をもたらしている兆候を示している。
体重の増加以外にも、米軍の自殺者数も増加しており、07年の115人と比較し、08年は過去最多の143人となった。
一方、米軍兵士の体重増加傾向は、米国平均の傾向を反映している。米国では、18-34歳の国民の20%が肥満とみられている。
同報告書は、米国平均と同様、米軍内の肥満増加の最大の原因が、ファストフードの食生活と、体をほとんど使わないビデオゲームやテレビ、映画などといっ た娯楽にあると指摘。「肥満は軍作戦の効率を低下させる。そして、急性・慢性問わず健康に悪影響を及ぼす」ため、深刻な懸念材料だと警鐘を鳴らし た。(c)AFP
2008年9月19日金曜日
米軍の心理学主任「メディアは米兵の精神に悪影響」
米空軍特殊作戦司令部の作戦心理学主任を務めるCarol Green大佐によると、メディアが容赦なく流し続ける悪いニュースが、米兵の「立ち直る力を弱めている」という。
歴史や政治などをテーマとする優れたブログ『Entropic Memes』もとりあげているが、Green大佐は2006年のプレゼンテーション(PDF)において、「大手メディアが一貫して、人間の行為と世界の出来事についての否定的な面を提示している」と述べた。
その結果、「多くの人々がもはや、苦しい状況を『人生の現実』と許容できなくなっている」という。
Green大佐はさらに次の点を挙げている。
立ち直りを妨げる否定的な影響がこれほど広範に行き渡っていることで、新兵――および経験を積んだ兵――の体力や忍耐力、回復力が損なわれる可能性がある。
このような状況下で――不安、恐怖、利己主義、短気、怒り、およびその結果として――愚かな判断――が、気付かぬうちに広がっているのだ!
一見して明らかなダッシュ(―)の使いすぎについては、ここでは追及しないでおこう。
Green大佐の言葉は、メディアに対する激しい非難と取られるかもしれないが、同様の主張をする他の軍関係者と比べれば、実はかなり穏やかだ。
たとえば、陸軍が最近行なったプレゼンでは、メディアを他の「脅威」――アルカイダ、ハッカー、外国の情報局など――と一緒くたにしていた[脅威を「従来からあるもの」「新しいもの」「外部」「内部」の4つの軸で分類。メディアは麻薬カルテルとともに「内部にある、新しい脅威」と分類された]。
また、新たに承認された陸軍の規定では、実質的に記者と外国スパイを同等に扱っている。つまり、兵士たちの精神をむしばみ衰えさせる、悪魔のような記者たちは、その行為だけでテロリストや犯罪者と同レベルに「昇格」させるにふさわしい、というわけだ。
ありがたいことに、Green大佐は軍関係者に向けて、こうした不快なブログ、新聞、テレビ番組、雑誌などすべてに対抗する手段があると保証している。
「陰険なほど否定的なメディアの雰囲気の中で回復力を養うために、兵士たちに必要なこと」として、同大佐は5ヵ条の行動を挙げている。例えば、「つらい問題について率直に話す」、「自分たちの肯定的な傾向や行動を自ら認識する」「リーダーからの明確で肯定的な期待」などだ。
おっと! これは、今どきの若者を「自己中心的な褒められ中毒(日本語版記事)」にしたと米軍が批判したところの、「甘やかし」と似たようなものではないか?
[ワイアード・ブログ『Danger Room』の別記事(英文記事)は、1週間に120人の退役軍人(20歳から24歳)が自殺しており、これは一般の自殺率の2倍にあたる、というCBSの報道について、(この分析は不正確であるという意見も含めて)取り上げている。]
