2009年9月15日火曜日

一酸化窒素が病原菌の抗生物質耐性に重要な役割、米研究

【9月14日 AFP】窒素原子と酸素原子がそれぞれ1つずつ結合した一酸化窒素(NO)は、病原菌が抗生物質に耐える上で重要な役割を果たしているという研究結果が、米科学誌「サイエンス(Science)」で発表された。

 研究を主導したニューヨーク州立大学ランゴンメディカルセンター(New York University Langone Medical Center)のEvgeny Nudler教授(生化学)によると、一酸化窒素は、多くの抗生物質について、その効果を弱める作用があるという。

 有毒な大気汚染物質として知られていた一酸化窒素だが、1987年にほ乳類で生理学的に大きな役割を果たしていることを示す研究が発表されてからは、学 習と記憶、血圧の制御、陰茎勃起、消化、感染症やがんの防御作用など、さまざまな生命活動に関与していることが明らかになっている。1987年の研究を発 表した学者らは後にノーベル賞を受賞した。

 今回の研究を発表した研究チームは数年前、酸化ストレスから身を守るため病原菌が一酸化窒素を結集させることを明らかにしていた。今回の研究では、多く の抗生物質は病原菌に酸化ストレスを引き起こして死滅させる一方、一酸化窒素はこの効果を弱めるという理論を支持する知見が得られた。

 研究チームは、バクテリアやヒトの体内には一酸化窒素の合成に関与する酵素があるが、このような酵素を阻害する薬剤を使えば、薬剤耐性菌に対する既存の抗菌剤の効果を高められる可能性があるとしている。このような酵素阻害薬はすでに販売されている。(c)AFP

石油大手がミャンマー軍政を支えている、人権団体が欧米2社を批判

【9月11日 AFP】米国の人権団体「アースライツ・インターナショナル(EarthRights International)」は10日、ミャンマー軍事政権が米仏の2大石油企業のガス・プロジェクトから、50億ドル近い隠し資産を得ている、とする報告書を発表した。

 同団体の2つの報告書によると、軍事政権はフランスのトタル(Total)と米国のシェブロン(Chevron)が同国で進めている「ヤダナ(Yadana)・プロジェクト」の2000~08年の収益約48億3000万ドル(約4400億円)のほとんどを、国家予算から切り離し、隠し資産としてシンガポールの華僑銀行(Overseas Chinese Banking CorporationOCBC)とDBS銀行(旧シンガポール開発銀行)に蓄えているという。

 また、パイプラインを警備するミャンマー軍が行った強制労働や殺人などの虐待行為について、両社が隠ぺいしようとしたとも指摘。国際社会に対し、両社へ圧力をかけるよう求めた。

 これに対しシェブロンは、プロジェクトは地元社会において人びとの健康や教育の促進、経済開発などの支援となっていると反論。トタルも、報告書には複数の間違いや誤った解釈があるとして、信ぴょう性に疑問を呈した。(c)AFP/Danny Kemp

フランス、2010年から炭素税導入

【9月11日 AFP】フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は10日、地球温暖化対策として2010年から炭素税を導入すると発表した。家計への負担が増えるとして反対する世論を押し切るかたちとなった。

 家庭や企業で消費される石油、ガス、石炭を対象に、排出される二酸化炭素(CO2)1トン当たり17ユーロ(約2300円)が課せられる。CO2排出削減を促すため、課税率は段階的に引き上げられる。

 炭素税導入により、平均的な家庭の暖房費は年間最高174ユーロ(約2万3000円)、無鉛ガソリン1リットルあたりの価格は0.04ユーロ(約5円)高くなる見通し。

 サルコジ大統領は炭素税の導入は国庫の赤字を補うためのものではないと強調し、歳入増加分の一部は他の税金の軽減などで国民に還元すると説明した。新税導入による歳入の増加は年43億ユーロ(約5800億円)と見込まれる。

 炭素税導入をめぐっては、数週間にわたり激しい議論が交わされてきた。政府右派からは厳しい家計状況にある国民からの反発を招きかねないと懸念する声も上がっていた。

 欧州では1990年のフィンランドを皮切りに、スウェーデン、デンマークが炭素税を導入している。(c)AFP/Nadege Puljak

2009年9月5日土曜日

太もものサイズが寿命に関係、細ければ短命に=研究

 [ワシントン 3日 ロイター] デンマークの研究者らが3日、太ももの細い人は、そうでない人と比べて短命になる傾向があるとの調査研究の結果を発表した。
 英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載された同研究は、1987年と1988年に実施された大規模な医学的調査に参加した男性1436人と女性1380人を対象に、12年以上にわたって経過を追ったもの。
 太ももの外周が60センチ未満の人は男女とも12年以内に死亡した人が多く、46センチ未満のグループでは、亡くなる確率がさらに高かったという。
 これまでに発表された多くの研究では、体のどの部位に脂肪が付くかが健康に大きく影響するという結果が報告されており、ウエストの周囲と内臓脂肪の関係などが指摘されてきた。
 デンマークの研究者らは、太もものサイズも同様に健康のバロメーターになる可能性があると期待している。一方、オーストラリアのイアン・スコット医師 は、今回の統計は対象が極めて限られていると指摘。太ももサイズを健康の指標と認めるためには、さらに大規模な調査が必要だとしている。

オーストラリア、「天然ガスの中東」目指しLNG事業を強化

【8月31日 AFP】アジア経済の急速な発展に伴い、オーストラリアの液化天然ガス(LNG)に注目が集まっている。同国は天然ガス資源の開発を積極的に進め、「天然ガスの中東」になることを目指している。

 オーストラリア政府は前週、ウエスタンオーストラリア(Western Australia)州の大規模LNG開発「ゴーゴン(Gorgon)」事業を認可した。ゴーゴンについて、ケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相は、事業費は総額500億オーストラリア・ドル(約3兆9000億円)の規模で、6000人の雇用を創出すると語っている。

 ゴーゴン事業を進めている米石油大手シェブロン(Chevron)や同エクソンモービル(ExxonMobil)、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)はすでに、中国やインドの企業との間に総額600億ドル(約5兆6000億円)以上の供給契約を結んでいる。2014年の操業開始までにさらに多くの国と供給契約を結ぶ見込みだ。

 ゴーゴンは、今後10年間に計画されている多くのLNG事業の1つにすぎない。専門家はオーストラリアが世界最大規模の天然ガス輸出国カタールに匹敵する存在になり、天然ガスはオーストラリアに巨額の収入をもたらすとの見方を示している。

 アジア諸国が石炭や鉄鉱石を必要としているおかげで、オーストラリアは世界的な経済危機のなかでも景気後退入りを避けることができたが、アナリストは、次にブームがくるのはLNGだと指摘する。

 オーストラリアは2006年に計1520万トンの天然ガスを輸出したが、同国政府は現在計画されているプロジェクトがすべて開始されれば、2015年までに約4倍の6000万トンにまで増加すると試算している。(c)AFP/Neil Sands