2008年10月23日木曜日

ロシアが石油備蓄創設の可能性、市場価格への影響力行使狙う

 [モスクワ 22日 ロイター] ロシアのセーチン副首相は22日、国際原油相場への影響力を行使するため、同国が石油備蓄を創設する可能性があると述べた。セーチン副首相は「エネルギー省は、市場価格に効率的に対応するため、石油生産備蓄を創設することを検討している」と発言。

 石油備蓄の規模はどの程度になるのかとの質問に「有効な価格決定要因となるために十分な規模」と答えた。

 21日にモスクワ入りした石油輸出国機構(OPEC)のバドリ事務局長は、予定しているメドベージェフ大統領との会談では、市場データの交換について協議する予定で、原油減産の問題については協議しないと話している。

 ロシアは、OPEC非加盟国では世界最大の産油国。原油輸出量はサウジアラビアに次いで世界2位。

 一部のOPEC加盟国からは今週、ロシアに減産を求める声が出ている。

 ロシアは過去に、原油輸出の削減でOPECと合意したことがあるが、市場関係者によると、実際には民間企業が輸出を増やしたため、輸出の削減は実現しなかった。

 ロシアは以前から、市場供給量の調整役(スイング・プロデューサー)となることを目指し、石油備蓄構想を検討しているが、費用や運営面の問題のほか、政府と民間企業の思惑が一致しないことなどから、実現には至っていない。

2008年10月21日火曜日

イラン治安部隊、核関連施設付近で「スパイ」のハトを捕獲

【10月21日 AFP】20日のイランの改革派エテマドメリ(Etemad Melli)紙によると、同国ナタンツ(Natanz)の治安部隊はウラン濃縮施設付近で「スパイ」とみられるハト2羽を捕獲した。

 同紙は情報筋の話として、1羽はイスファハン(Isfahan)のカシャン(Kashan)にあるバラの香水の製造工場近くで捕獲されたと報じた。このハトには金属製の輪と透明な糸が付けられていたという。

 もう1羽については「10月上旬、青いコーティングがされた金属製の輪と透明の糸をつけられた黒いハトを捕獲した」と語ったが、ハトの現況や今後の対応など詳細は明らかにしなかった。(c)AFP

2008年10月20日月曜日

「環境破壊による損失は年間500兆円」:研究報告

7000億ドル? それも、この金額に比べれば何でもない。[7000億ドルは、米下院が先ごろ可決した金融安定化法案で投入される予定の公的資金の額]

欧州連合(EU)のために経済学者のチームがまとめた中間報告によると、環境破壊が世界に与える損失は年間2兆〜5兆ドルにも上るという。

この試算は、森林などの自然のシステムが人間に提供する各種の「サービス」を評価する目的で行なわれたものだ。サービスとは、二酸化炭素の吸収や窒素の固定化などを指す。

「さまざまな試算によると、ウォール街は金融市場でこれまでに1兆〜1兆5000万ドルの損失を出している。一方、われわれは自然の資本を毎年2兆〜5兆ドル分も失っている。それが現実だ」。今回の研究を指揮するドイツ銀行の経済学者、Pavan Sukhdev氏は10日(現地時間)、BBCに対して語った

生態系と生物多様性の経済学』と題された今回の報告は、『スターン報告』(スターン・レビュー)と同様の手法をとっている。

[2006年にイギリス政府の依頼にこたえて発表された]スターン報告は、英国の経済学者Nicholas Stern氏が発表した影響力のある報告書。気候変動に何の対策も講じなかった場合の損失額は、二酸化炭素の排出削減を厳格に推進した場合の費用を上回ると主張している。

1997年に『Nature』誌で発表された、同じく影響力のある別の論文も、世界の生態系サービスの価値を[1年あたり]16兆〜54兆ドルと見積もっている[生態系サービスとは、生態系に由来し、人類の利益になる機能(サービス)のこと。なお、この論文では、人為的な経済活動による世界総生産は年間約18兆ドルと見積っている]。

ただしこの種の計算は、概念と詳細の両面から一部の経済学者の批判を浴びている

きれいな空気の価値を数字にするのは容易ではない。普通の商品と異なり、空気は売買できないため、「適正な市場価格」を定めることができないのだ。

「これらは主に、市場も価格もない公共財だ」と、Sukhdev氏らの報告を紹介する[欧州委員会(EC)の]ウェブサイトにも書かれている。

それでも、自然の価値は数値化できるという発想は、科学界で支持を増やしているようだ。『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)は今年に入り、生態系のサービスを評価するというコンセプトに基づいた開発戦略の実行をテーマに、9本の論文からなる特集を組んでいる。

「40年で天然海産物が無くなる」:深刻な魚の激減

世界銀行と国連食糧農業機関の共同報告書によると、持続不可能な漁法が原因で、世界の漁業における経済損失は年間500億ドルにのぼり、この30年間で約2兆ドルが失われたという。

現在進行中の経済危機や森林破壊による損失と比べると、これは大した数字とは思えないかもしれない。なにしろ、ウォール街は数週間で1兆5000億ドルを失い、森林伐採による損失は毎年2〜5兆ドル(日本語版記事)にのぼるのだ。

だが、生産性の低下という点で検討すると、こうした漁業の損失は、将来の問題を警告する予兆となる。漁船の数は増え、設備も改良されているにもかかわらず、漁獲高は30年前と変わらない。

理由は、海魚の個体数が激減しているからだ。40年以内に天然の海産食物は世界からなくなると予測する研究者もいる。

現在、魚肉生産の50%を占めている養殖物の魚は今後も存続するだろうが、世界で約2億人が従事し、800億ドル規模である漁業は、北大西洋産のタラが激減(日本語版記事)しているのと同様に、斜陽化していくと見られる。

ブリティッシュ・コロンビア大学水産学部の学部長であるDaniel Pauly氏は9月、『Victoria Times Colonist』による取材に答えて、[魚の不足によって、]かつて不要物と考えられていたような魚が消費されている現状についてに語った際、こう問いかけた。「代用品を使い果たして別の代用品に頼り、さらに別の代用品を使うしかなくなる。この繰り返しはいつ終わるのだろう?」

Pauly氏は、自らこの質問に答えている。「それが終わるのは、資源がすべてなくなったときだ」

[過去記事「「深海トロール漁業は生態系への脅威」保護団体が運動開始」では、近海魚の減少にともない、規制のない公海に出て操業するトロール船が増加し、生態系破壊が進んでいる現状を紹介している。

過去記事「世界的に始まった食糧争奪戦」では、世界の農業が、持続不可能で政治的に危険な時代に突入したという見方を紹介している]

2008年10月12日日曜日

ロシア、北極圏から赤道付近へ弾道ミサイル発射実験

 [ムルマンスク(ロシア) 11日 ロイター] ロシアが11日、太平洋の赤道付近の海域に向けて、初めて戦略ミサイルの発射実験を行った。

 空母アドミラル・クズネツォフから同実験を視察したメドベージェフ大統領は、世界的な金融不安によって生じた問題がロシア軍の再生計画に影響を与えることはないとコメント。

 海軍のスポークスマンは、同国の最新ミサイル「シネワ」は北極圏のバレンツ海の原子力潜水艦から発射され、太平洋の赤道付近の海域に着弾したと発表した。

 ロシアのテレビ局は、同ミサイルがバレンツ海の海中から発射され、太平洋まで1万1547キロの距離を移動する様子を伝えた。

アイスランド、最大手銀行も国有化

【10月10日 AFP】アイスランド政府は9日、国内銀行最大手のカウプシング(Kaupthing)銀行を国有化したと発表した。

 レイキャビク(Reykjavik)に本社のあるカウプシング銀行の親会社は8日に、業務支援のため、アイスランド中央銀行から5億ユーロ(約700億円)の融資を受けたと発表したばかりだった。

 アイスランドでは8日にも国内銀行3位のグリトニル(Glitnir)が国有化され、同2位のランズバンキ(Landsbanki)も政府の管理下に置かれている。(c)AFP

米国、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除

【10月12日 AFP】(一部更新)米国は11日、北朝鮮と核放棄の検証計画について合意したことを受け、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除した。国務省のショーン・マコーミック(Sean McCormack)報道官が発表した。

 マコーミック報道官は「合意内容には米国が検証について求めていた全ての要素が入っている」と述べた。

 この発表に先立ち、米国の6か国協議主席代表を務めるクリストファー・ヒル(Christopher Hill)国務次官補はAFPに対し、同氏が今月1-3日に平壌(Pyongyang)を訪問した際に検証計画について基本的な合意に達したことを明らかにしていた。10日にはコンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)米国務長官が6か国協議に参加する各国と電話で最終的な調整を行った。

 ヒル国務次官補が率いる交渉チームは、検証計画は「プルトニウムを利用した計画およびウラン濃縮と拡散活動の全ての活動」に適用することで北朝鮮側と合意したという。また、非核国を含む6か国協議参加国の専門家が検証活動に参加することを認め、国際原子力機関((International Atomic Energy AgencyIAEA)が検証活動に関与することでも合意した。ある米政府高官によれば、正式な検証手順は「近い将来に」発表されるという。

 この合意では「全ての申告された施設に専門家が立ち入ることができる」とされている。未申告施設については「双方の合意があれば」立ち入りを認めるとしている。

 北朝鮮のテロ支援国家指定解除の発表後、米政府のゴードン・ジョンドロー(Gordon Johndroe)報道官は「北朝鮮は日本との合意事項を速やかに実行すべきだ」と述べ、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領が拉致問題での日本の立場を引き続き強く支持していることを明らかにした。

■大韓航空機爆破事件で指定

 1987年11月29日に北朝鮮の工作員2人がバグダッド(Baghdad)発ソウル(Seoul)行きの大韓航空(Korean Air)機に仕掛けた爆発物がアンダマン海(Andaman Sea)上空で爆発し、乗客乗員115人全員が死亡したことを受け、米国は1988年1月20日に北朝鮮をテロ支援国家に指定した。

 米国務省はこの事件の後、北朝鮮が関与したテロ事件は知られていないとしている。(c)AFP

2008年10月9日木曜日

抗欝剤を飲みながら闘う米軍兵士たち:身体強化薬も普及

「セルフメディケーション[自分で健康を管理し、軽い身体の不調を治そうとすること]は米国文化に浸透している」と指摘するのは、米国防総省国防研究技術本部(DDR&E)の委託による「Human Performance」(人間のパフォーマンス)という研究報告書だ。

とりわけ、その傾向が強いのは軍隊だ。「特殊部隊の兵士の90%、および支援部隊兵士の76%」が、活力増強剤、プロテインパウダー、クレアチン[アミノ酸の一種]、その他の栄養補助剤を使用しているという。

だが軍隊は、化学薬品で身体を強化する以上のことを行なっている。『Time』誌の特集記事「America's Medicated Army」(薬剤を服用する米陸軍の兵士たち)は、数年に及ぶ海外での警備活動を経て、「イラクに派遣されている戦闘部隊兵士の12%と、アフガニスタンにおける同様の兵士の17%が、抗欝剤あるいは睡眠薬を服用して体調を維持している」と報じている

見方によっては、薬物の処方は取り立てて問題になるようなものではなさそうだ。歴史が示しているとおり、少なくともジョージ・ワシントンがバレーフォージ[ペンシルベニア州東部。米独立戦争中の冬に、大陸軍が野営した場所]でラム酒の配給を命じて以来、軍司令官たちは自分の部隊に、苦痛を和らげる薬物を与えてきた。

第二次世界大戦中にはナチスが、フランスとポーランド侵攻の際に、『Pervitin』として知られるアンフェタミン[覚醒剤の一種]の助けを借りて電撃戦をしかけた。米軍も、ベトナム戦争中にアンフェタミンを使用している。[2003年の過去記事「覚醒剤の助けで戦闘に臨む米軍兵士たち」では、現在の米軍でもアンフェタミンの服用が行なわれていることを紹介している]

だが、抗欝剤の使用はまだ新しい。

(ワイオミング州陸軍に属する医師Joseph Horam大佐によると、)「湾岸戦争のときにはこうした抗欝剤はなかったので、『3度の温かい食事と寝床』という基本的な考え方のもと」、ストレス状態にある部隊には若干の睡眠と休息を与えて、体調が回復するかどうかを確認していた。

「すぐに症状が改善しない兵士は後方に送り、戦域から離す必要があった」という。

だが、2006年のバグダッドにおける最近の任務においてHoram大佐は、イラク人捕虜の見張りにあたっている兵士を治療した。「その兵士はかなり多くの捕虜と接する環境において錯乱状態にあった。捕虜との間に感情的対立を経験していたし、武器を所持する状態だった」と、Horam大佐は述べている。

「だが、その兵士は高度な訓練を受けたチームに属していたので、われわれは彼を失いたくなかった。そこでわれわれは、この兵士にSSRI(『Prozac』や『Zoloft』などの選択的セロトニン再取り込み阻害薬[抗鬱薬])を投与した。1週間で彼は生まれ変わったので、任務に完全復帰させた」

Horam大佐の表現はおそらく、誇張か、偽薬効果のひとつの例だろう。この種の薬品は本当に効き始めるのに通常もっと時間がかかるものだ。

また戦場では、昇進が妨げられることを恐れて、精神的な問題を医師に相談すること自体が少ない、と同記事は報告している。

2008年10月6日月曜日

海賊事件で浮かび上がる武器輸出大国、ウクライナ

【10月3日 AFP】ソマリア沖で戦車などロシア製兵器を積載したウクライナの貨物船が海賊に乗っ取られた事件は、ウクライナが世界で10位以内に入る武器輸出大国である事実を浮き彫りにした。

 専門家の間では、数々の不正武器輸出疑惑を経て、ウクライナの武器輸出管理は大幅に改善されたとの見方が高い。しかし、ウクライナが依然として世界の最貧国家や武装勢力に武器を供給する可能性は変わらず、親欧米的な現政権の汚点となっている。

 ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research InstituteSIPRI)のPaul Holtom研究員は、ウクライナの武器輸出管理は近年、目覚ましい向上を遂げたとしながらも、武器が反政府武装勢力の手に渡らないとの確信を世界に与える必要があると説く。

 海賊に乗っ取られたウクライナの貨物船「MV Faina」号について、米海軍は29日、ケニアではなく実際はスーダンに向かっていたと主張。ウクライナとケニアの両政府はこれを否定したが、貨物船を乗っ取った海賊はスーダンに向かっていると語ったことから、ウクライナの武器輸出疑惑が浮上した。

 SIPRIによると、ウクライナは2003年から2007年の5年間、武器輸出で常に世界のトップ10に入っていた。

 ウクライナ・キエフ(Kiev)にあるシンクタンク「Centre for Army Conversion and Disarmament Studies」の軍事アナリストMykhailo Samus氏によると、武器の輸出先は約50%が旧ソ連を構成していた独立国家共同体(Commonwealth of Independent StatesCIS)向けで、30%が東南アジア・アフリカ、6%が中東向けだ。ウクライナは2007年、20か国に12億ドル(約1260億円)の武器を輸出したが、これは前年の輸出高10億ドル(約1050億円)よりも増加している。輸出の内訳は、戦車、軍用機、迫撃砲、ミサイルなどで、武器関連サービスも含まれているという。

 一方で、ウクライナは1990年代、ブルキナファソ経由でリベリアへの武器輸出など、問題のある国家や政権に武器を輸出していた疑惑が持たれている。2002年には米国も、当時のサダム・フセイン(Saddam Hussein)政権下のイラクに対する経済制裁に違反し、ウクライナがイラクに軍事レーダーシステムを輸出していると非難している。

 しかし、これを機に欧米が積極的に関与し、その結果、現在のウクライナの武器輸出管理は、世界で最も優れたもののひとつになったとSamus氏は言う。

 また、アナリストのOlexi Melnik氏は、今回の疑惑は、ライバル国が武器輸出市場でのウクライナの「風評被害」を狙って、積荷の武器の行き先について偽の情報を流した可能性もあると指摘する。

 それでも、依然としてウクライナに疑惑を抱く人も多い。SIPRIはウクライナに対し、冷戦後の世界で築かれた無責任な武器輸出国という負のイメージを払拭するため、更なる努力を求めている。(c)AFP/Anya Tsukanova

2008年10月5日日曜日

日中韓、8兆円基金検討か=金融危機対応で−韓国紙

10月5日9時47分配信 時事通信


 【ソウル5日時事】韓国紙・朝鮮日報(電子版)は5日、日中韓3カ国が米国発の金融危機に対応するため800億ドル(約8兆4200億円)規模の「アジア共同基金」の創設を検討していると伝えた。韓国政府関係者によると、日中韓の次官級当局者が今月中旬、ワシントンで会談し、金融問題について対応策を協議する予定という。

2008年10月4日土曜日

カンガルー肉を食べると地球温暖化が緩和される、専門家報告書

【10月4日 AFP】オーストラリア人は、牛肉や羊肉ではなくカンガルーの肉を食べるべき。一見風変わりのこうした主張が、気候変動問題の政府顧問から科学的なお墨付きを与えられることになった。

 政府顧問のロス・ガーナー(Ross Garnaut)教授は、1日に政府に提出した地球温暖化に関する報告書の中で、国内に数百万頭いる家畜がげっぷやおならで排出するメタンガスは、同国の農業が排出する全温室効果ガスの67%を占めると指摘。一方のカンガルーはメタンガスをほとんど排出しないとしている。

 また、農業でも温室効果ガス排出権が必要とされる場合、肉の価格は上昇し、食習慣に変化が起こるだろうとしている。

 ガーナー教授は、「オーストラリアには、約6万年にわたりカンガルーが食べられてきたという歴史がある。カンガルー肉が再び見直されるかもしれない」とした上で、カンガルー肉の復権には家畜や農場の管理、消費者の抵抗、味の変化といった「障壁」があると指摘した。

 教授は、カンガルー肉の生産量が将来的には牛肉と羊肉を抜き、費用効率も高くなることを示したある研究を引き合いに出した。研究は、2020年までにウシは700万頭、ヒツジは3600万頭それぞれ減少し、カンガルーは2020年までに現在の3400万頭から2億4000万頭に増えるとしている。さらに、温室効果ガス排出権が高値になるにつれて、カンガルー肉は牛肉、羊肉よりももうけが大きくなるという。

 カンガルーは国のシンボルであり、紋章にもかたどられているが、毎年数百万頭のカンガルーが間引きされ、その肉はペットフードなどに加工されている。

 食肉用のカンガルー牧場を作るという考えは物議を醸しそうだが、ヘルシーフードを好む人々には既に食されている。ニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)環境研究所のピーター・アンプト(Peter Ampt)氏は、「カンガルー肉は高タンパクで脂肪分が少ない。基本的に放し飼いで、自然界の餌を食べているので、とても安全だ」と説明している。(c)AFP

冷戦時代に逆戻り? 「自信とプライド」を取り戻すロシア空軍兵たち

【10月1日 AFP】核爆弾搭載可能の爆撃機が駐機する、ロシア南部のエンゲルス(Engels)空軍基地には、ソ連時代の「栄光の日々」が戻りつつある。兵士たちにとって、米国はもはや眼中にはない。指令があれば、ただちに世界のどこへでも赴く準備ができている。

 8月、グルジア紛争が勃発する前に、ボルガ川(Volga river)沿いのこの基地に外国メディアが招かれた。冷戦時代には「最高機密」とされてきたこの基地の取材が許可されるのは、異例のことだ。滑走路には、戦略爆撃機Tu-160およびTu-95が20機以上並んでいる。Tu-160は、コンコルドのような流線型をしていることから「白鳥」の異名を持つ。Tu-95は冷戦時代、NATO軍の間で「ベア」の呼称で知られていた。

 ロシアは今月、原子力巡洋艦や爆撃機を冷戦以来初めてカリブ海に派遣し、ベネズエラとの合同軍事訓練を行っている。米国への挑発行為とも受け止められている。

 ソ連時代のインフラとハイテク機器が混在するこの基地のカフェテリアで、インタビューに応じたパイロットのOleg Mikhailishchinさんは「古き良き時代が戻ってきた」と話す。カフェテリア内は、ソ連時代の赤い紋章で埋め尽くされている。

 ロシア空軍は2007年8月、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領(当時)の命を受け、戦略爆撃機の長距離偵察を15年ぶりに再開した。ロシアが全世界に「新たな自信」を見せつけるかのような偵察飛行は、西側諸国の間に動揺を与えている。

■プライドを取り戻す空軍兵士たち

 しかし、ここエンゲルス基地では、ソ連の崩壊とともに失われたプライドが取り戻されようとしている。

「状況は良くなりつつある」と語るのは、Alexander Khaberov中佐(36)。Tu-160で北大西洋の12時間の偵察飛行を終えてきたばかりだ。飛行中、英国とノルウェーの空軍機のスクランブル発進を受けた。

 Tu-95での訓練に向かうGennady Stekachyov飛行指揮官(39)は、「必要とされていると感じるのは、すばらしいことだ」と話す。

 1950年代に開発されたTu-95は、1961年にソ連北部のノヴァヤゼムリャ(Novaya Zemlya)島上空で史上最大の水爆実験を行った。Tu-160は1980年代に製造が開始された。

 米国が東欧にミサイル防衛システムを配備するのに対抗して、ロシアはTu-95やTu-160をキューバに配備する予定だと報道されていることについて質問すると、Stekachyov飛行指揮官は「キューバに行けと言われたら、行くだろう。国益にかなうことはすべて正しい」と答えた。

 飛行指揮官は「すばらしかったあの時代をこの基地で過ごした。それから低迷期に突入した」と話すと、ボリス・エリツィン(Boris Yeltsin)大統領(当時)が1990年代に米大統領と締結した軍縮条約に思いを巡らし、顔をくもらせた。この条約のもとでエンゲルス基地は縮小されたのだ。将校や元パイロットは、「栄光を米国人に持っていかれた」「われわれは屈服した。ソ連の全国民にとって心が痛む選択だった」と口をそろえる。

 米国との軍縮条約が辛い思い出だっただけに、長距離偵察の再開を命じたプーチン現首相はロシア人の目には「英雄」に映る。プーチン氏は、2005年には自らTu-160を操縦し、称賛を受けた。

■偵察飛行は「善意のしるし」

 Dmitry Kostyunin副司令官は、長距離偵察の再開は「力の誇示ではなく、世界の融和を目指したもの」だと強調した。スクランブル発進を受けたとしても、ロシアのパイロットは仲間意識のようなものを感じるという。「スクランブルをかけた側も、幸せな気分なんじゃないかな。若いパイロットたちはロシア軍機を見ることができるし、ロシア軍機がいかに美しいかを知ることもできる」

 だが、こうしたコメントは、西側諸国から寄せられる数多くの不満とは矛盾している。2月には日本の領空を侵犯したとして、外務省は直ちにロシア大使館に厳重抗議した。

 冷戦時代に長距離爆撃機のパイロットをやっていたというKostyunin副司令官は、「(偵察飛行は)力のシンボルであると同時に、善意のシンボルでもある。われわれのことを知れば知るほど、あなた方はわれわれを愛し、そして尊敬することになるだろう」と話した。(c)AFP/Dario Thuburn

2008年10月1日水曜日

「北朝鮮のミサイル、数分でソウルを攻撃可能」

 北朝鮮全域に25カ所あるミサイル基地から発射されるミサイルは、その大半が発射後3‐7分以内に韓国国内の目標を攻撃することができ、特に休戦ライン付近に配備されたミサイルは1分以内にソウルを攻撃することができるという。25日、国防研究院の金泰宇(キム・テウ)国防懸案研究委員長が発表した。


 金委員長はこの日、米ワシントンのヘリテージ財団が開催した韓米同盟関連のセミナーに出席し、このように主張した。また金委員長は「旧型のパトリオットミサイル(PAC2)や海上用迎撃ミサイルSM2で構成された現在の韓国の防空網では、北朝鮮のミサイル攻撃を防ぐことはできない」と語った。


 金委員長は、米国科学者連盟(FAS)の資料を基に北朝鮮が25カ所のミサイル基地を運用していることを明らかにし、ソウルから127キロ離れた位置にある支下里ミサイル基地から発射されたミサイルは、ソウル攻撃までの所要時間が3分だと述べた。さらに、ソウルから168キロ離れたサンウォン洞ミサイル基地から発射されたミサイルは4分、191キロ離れた玉坪ミサイル基地から発射されたミサイルは5分でソウルを攻撃できるという。

ロシア、外貨準備を取り崩し 企業への貸し付け原資に

 【モスクワ=古川英治】ロシア政府が民間金融機関や企業の対外債務の返済を支援するため、外貨準備を取り崩して対応することが明らかになった。プーチン首相は先に資金繰りの悪化する企業救済を目的に国営ブネシュエコノム銀行を通じた貸し付けを実施すると表明しており、この原資に外貨準備を充てる。世界的な金融不安でロシアでも破綻連鎖の懸念が出ており、異例の対策を迫られた。

 インタファクス通信が29日、政府幹部の話として報じた。ロシアの民間部門の対外債務は石油収入で蓄えた外貨準備高に匹敵する5000億ドル規模とされる。今回の救済策は最大で500億ドルを想定しているという。グルジア侵攻による資金流出の影響もあり、19日時点のロシアの外貨準備高は7月末と比べて約360億ドル減少している。

タイ米輸入、未払い計2億4000万ドル ロシアなど3カ国

 【バンコク=三河正久】タイ商業省はタイからコメを輸入したロシア、北朝鮮、ギニアの3カ国が代金を支払っておらず、1994年から今年8月までの未払い額合計が2億4042万ドルに上っていると明らかにした。

 タイは世界最大のコメ輸出国。3カ国のうちロシアの未払い額は4054万ドルに達する。タイ政府は、ロシア製ヘリコプター8機(約6000万ドル相当)を受け入れ、差額分の約2000万ドルをロシア政府に払い、未払い分を決済することで既に合意したという。近く閣議にこの案を諮る方針。

 北朝鮮とギニアがどのように決済するかは未定だが、商業省筋によると、タイ政府では対ロシアと同様、代替の商品による決済を求める方向で検討しているという。

核物質管理の国際機関「WINS」設立、盗難やテロを防止

【9月30日 AFP】核物質の管理を推進する新たな国際組織「世界核セキュリティー機関(World Institute for Nuclear Security、WINS)」の設立が29日、オーストリアのウィーン(Vienna)で発表された。

 WINSは、ワシントンD.C.(Washington D.C.)を拠点とする米NGO「核脅威イニシアチブ(NTI)」が発案した。核物質管理の専門家や、核関連産業、政府や国際機関が参加する。情報の収集と共有を行う会議を開催し、より安全な管理方法を実践することで、危険物質がテロリストの手にわたるのを防止する。元米国上院議員で、現在はNTIを率いるサム・ナン(Sam Nunn)氏が発表した。

 WINSはウィーン(Vienna)に本部を置き、初期スタッフは5人程度を予定している。国連(UN)の国際原子力機関(International Atomic Energy Agency、IAEA)と親密な連携をとる。実際、WINSの設立発表は、IAEAの年次総会で行われた。

 NTIのCharles Curtis代表は、WINS専門家の情報共有を目的とした組織であり、規制や警備を行う組織ではないと強調した。(c)AFP