2009年12月26日土曜日

拡大する米の貧困と格差=食料補助受給8人に1人

12月26日14時41分配信 時事通信
 【ワシントン時事】米政府の「フードスタンプ」と呼ばれる低所得者向け食料購入補助制度の受給者が長引く不況で最高記録を更新、3700万人に達したことが26日までに、分かった。巨額の公的資金を注入された大手金融機関が息を吹き返し、高額賞与を復活させる中で、米国人の8人に1人が空腹と闘う格差がある。
 フードスタンプは1964年にジョンソン大統領が生活困窮者の食料購入を補助するために制度化した。受給資格は4人家族の場合、月額総所得が2389ドル(約21万円)未満。一世帯の月平均支給額は約292ドル(2009年9月)。
 農務省によると、受給者は08年度に2800万人を突破し、今年9月には前年同期比558万人増の3700万人を記録。10カ月間連続で過去最高記録を更新した。現在も1日2万人のペースで利用者は増え続ける。 

2009年11月28日土曜日

「電子メール時代の終焉」は来るか:「メールを使わない人」が増加

10月12日付けの『Wall Street Journal』記事で、Jessica Vascellaro氏が電子メールについて論じ、電子メールの後継者と目されるものたちがティッピング・ポイント(臨界点)に入ったと述べている。インターネットの最初期にネット世界を大きく規定した――悪用例も多い――アプリケーションである電子メールに、そのような運命が迫っているのだろうか?

私は10月12日(米国時間)、CNBCの番組『Power Lunch』に出演して、この件について少しだけ議論できた[文末の動画]。ただ、十分ではなかったのでここで話を続けたい。

Vascellaro氏の見解はおおむね正しいと、私は思っている。電子メールの終焉を報じるのが時期尚早であるのは明らかだが、最初の電子メール送信[1971年]から38年経った今、パラダイムの内側からパラダイムシフトの徴候を探ることは興味深いことだ。そもそも、『Usenet』や『WAIS』(Wide Area Information Servers)、『Gopher』、『Archie』などを考えてみればわかるように、当初のインターネット・プロトコルは、電子メールを除けば大半が、すでに引退を宣告されている。電子メールはなぜ、これほど強固なのだろうか。

電子メールが今すぐにどうにかなる、ということはないだろうが、電子メールの重要性がいまに低下するという予測は、何年も前からある。例えば、2年前の『Slate』の記事を読むと、すでにこの時点で、電子メールを使うのは時代遅れの人だけだと書かれている。

単方向や双方向のほかのコミュニケーション手段が、電子メールの存在意義を脅かしていることは間違いない。とりわけ若い人は、電子メールは年上の人(教師や親など)から求められる場合にだけ使い、メールよりは、携帯メッセージや『Facebook』のやりとりといったソーシャルなメディアを好むようだ。[10代においては電子メール利用は少数派であるという調査結果を紹介する日本語版記事はこちら]

私自身はどうかというと、電子メールは現在、起床後にチェックするものとしては3番目だ。携帯メッセージと『Twitter』が先にくる。

それでは、電子メールは「いつ」「どの程度」縮小していくのだろうか? これについては企業での利用が関係してくる。企業の電子メール依存はとうぶん続くだろう。企業とはそういうものだ。インスタント・メッセージ(IM)さえ採用していない現場がまだたくさんある。

また、『iPhone』のようなモバイル機器では、電子メールを使う手間が軽減され、SMSやMMSやTwitterといわば同列になる。こういった最新モバイル機器によって、電子メールの寿命は伸びるかも知れない。

とはいえ、全体で見ると電子メールへの依存は小さくなっていくだろう。テクノロジーの産物は、何であれ、いずれは人気が落ちるものだ。絶えず新しいものが登場し、いま現在のやり方では能率が悪いことをあらわにしていくのがテクノロジーだからだ。

また、電子メールの「殺害」においては、本質的に優れた代替物よりも、スパムが果たす役割の方が大きいかもしれない。しかし、1つだけ確かなことがある。最終的に携帯メッセージが電子メールに取って代わるとすれば、その理由は、われわれがどれほど無駄に言葉を費やしがちなのかが、Twitterや携帯メッセージのやりとりによって明らかになったからにほかならない。

ネット上の発言監視:諜報機関や企業向けのシステム

米国の諜報機関は、人々のブログ記事を見たり、『Twitter』への投稿をチェックしたり、『Amazon.com』でのレビューさえも調べたいと考えているようだ。

米中央情報局(CIA)が[諜報活動に必要なシステムを開発するために]出資・設立している独立非営利ベンチャーキャピタル・グループ『In-Q-Tel』(日本語版記事)は、ソーシャルメディアの監視を専門とするソフトウェア企業の米Visible Technologies社に資金を投じている。

これは、『オープンソース・インテリジェンス』をもっと有効に利用するための、諜報事業におけるより大きな動きの一環だ。オープンソース・インテリジェンスとは、日々作り出されている膨大な量のテレビ番組、新聞記事、ブログ投稿、オンライン動画、ラジオの報道などにおいて、公表されてはいるものの「隠れている」情報のことだ。

Visible社では1日に50万を超えるWeb 2.0サイトを調べており、ブログ、オンラインフォーラム、『Flickr』、『YouTube』、Twitter、Amazon上で発生する100万件以上の投稿や会話を収集している(現時点では、『Facebook』などの閉じたソーシャル・ネットワークは対象にしていない)。顧客は、これらのサイトで語られている内容に関して、一連のキーワードに基づいてそれぞれにカスタマイズ化された、リアルタイムでのフィードを得る。

Visible社は各投稿を「採点」し、肯定的あるいは否定的な内容か、複雑な感想を持っているか、または中立的かなど、その内容について分類する。この作業により、それぞれの会話あるいは投稿者がどの程度影響力を持っているのかを検討する(「実際に重要となる人物を判断しようとしている」と、同社のバイス・プレジデントBlake Cahill氏は説明している)。顧客は、それぞれの投稿をタグ付けしてそれらを同僚に転送したり、ウェブ・インターフェース上で議論できる。


In-Q-Telでは、Visible社に海外のソーシャルメディアも監視させ、情報を得たいとしているが、言うまでもなく、このような手段の対象は、米国内のブロガーあるいはTwitterユーザーなど、内部に向けられている。Visible社はすでに、米Dell社、AT&T社、Verizon社のためにWeb2.0サイトを監視している。米Microsoft社に対しては、『Windows 7』の発売に関する世間の反応を追跡している。ランチョンミート缶詰『スパム』製造企業の米Hormel社に関しては、同社に対する動物愛護運動家のオンライン・キャンペーンを調べている。

Visible社は90名の従業員を抱え、2010年の利益がおよそ2000億ドルになると見られている。In-Q-TelによるVisible社への投資額については、両者ともコメントを避けているが、両者の契約に詳しい関係筋によると、In-Q-Telからの投資は、Visible社の対象言語能力を高めるために使用される予定だという。同社ではすでに、アラビア語、フランス語、スペイン語のほか9つの言語をカバーしている。



諜報機関は数年前からソーシャルメディアに関心を示してきている。In-Q-Telは、別のWeb2.0監視サービスを提供する米Attensity社にも投資してきたし、米国家情報局(The Office of the Director of National Intelligence)は、Web2.0を含むネット情報全般を監視するOpen Source Centerを運営している。このセンターでは、YouTubeやMySpace、ブログなどの投稿も監視していることが公表されている。

しかし、米国防情報局(DIA)で上級技術責任者を務めていたLewis Shepherd氏は、「CIAは、ソーシャルメディアにおける進歩のペースに対応するために、特に革新的な技術企業の支援を必要としている。ソーシャルネットワーキング・サイトの絶えまない人気の変化を見抜くことに関しては、経験豊かな諜報機関のアナリストでも適任ではない可能性がある」と指摘する。

「あるサイトから他のサイトへと人気が次々に移り変わっていくなかで世界各国の若いインターネット・ユーザーたちを追跡するという作業において、CIAは助けを必要としている。Facebookによると、同サイトのユーザーの70%以上は、米国以外の180カ国の人々だという。さらに現在では、Twitterに似た、英語でない米国以外のマイクロブログ・サイトが200以上もある。もし諜報機関がこの大量のリアルタイム情報を無視しているとしたら、無能と呼ばれることだろう」と同氏は語る。

アフガニスタン援助の実態:巨額はどこへ消えるのか

米国国際開発庁(USAID)は2009年初め、『コミュニティ安定化プログラム』(Community Stabilization Program)から手を引いた。このプログラムは、6億4400万ドルの資金を費やして、イラクで仕事や公共事業を作り出すというものだった。

このプログラムは本来、若い(つまり、戦闘が可能な)現地の男性たちに、仕事を与えたり職業プログラムに参加させたりすることで、彼らが反政府活動に参加するのを防ぐはずだった。だが、数千人のイラク人たちがゴミ拾いや壁にペンキを塗る仕事でお金を稼げるようになった一方で、このプログラムは不正行為を招きやすいものだった。バグダッドにいるUSAIDの監察長官は、2008年3月の監査で、数百万ドルの資金が反体制派によって吸い取られた可能性がある、との懸念を示した。

このことはアフガニスタンにもあてはまる。コミュニティ安定化プログラムの運営パートナーとなっているInternational Relief & Development(IRD)は、アフガニスタンでも活動しており、道路建設プロジェクトや農業プログラムを監督している。このプログラムは扱う範囲が非常に広く、説明責任が明確にならないので、他の団体はUSAIDへの入札を控えたとされている。

Joanna Nathan氏は、『Foreign Policy』紙(電子版)の記事で、米国が現地の開発事業をアウトソースするやり方は、非常にネガティブな結果になりうると指摘している。

「現地に建てられた豪華な新築の邸宅を、米国の土木業者や国連機関、大使館、それに法治プロジェクトを請け負う団体などが1ヵ月あたり数千ドルで借りているとしたら、説明責任を果たすという欧米の公約はいったいどうなるのだろうか」とNathan氏は批判する。「アフガニスタンの人々が腐敗について話すとき、それは完全に合法的な援助のことを意味している可能性がある。民間の請負業者らによってアフガニスタンで使われている数十億ドルのお金の大半は、何段階もの下請け業者を経由する中でほとんど失われ、現場には実質的効果をほとんどもたらさないケースが大半だ、という話だけがアフガニスタンの人たちの耳に入っている。このような状況では、どのような契約が交わされていようが、それは腐敗と見なされる」。さらに、援助によって政府高官の縁者が富む状態も、アフガニスタンの人々を怒らせているという。


一方、New America FoundationのPeter Bergen氏とSameer Lalwani氏は、『New York Times』紙(電子版)10月2日(米国時間)付けの記事で、アフガニスタン政府に支払われた数十億ドルもの対外援助資金は、コンサルタントたちに払う給与や諸経費の形で、あっという間に、援助を行なった国に還流していると指摘している(PDF)。

一般のアフガニスタン人は、SUV車であちこちを見て回る外国の開発コンサルタントの姿は大勢見かけるものの、ほとんどの場合、開発企業がやって来たことによる実質的なメリットはほとんどないという。

また、米国はこれまで、アフガニスタンの治安部隊に対する訓練と装備に165億ドルを費やしているが、アフガニスタンが治安部隊を自前調達できるにはほど遠い状態だ。

Bergen氏とLalwani氏は、アフガニスタンに利益をもたらすための斬新なアイデアを提案している。それは、アフガニスタンに税金を支払うという条件で、開発業者と契約するというものだ。「現在、[アフガニスタン]政府の税収は合計で3億ドルほどだ。外国からの技術援助は推定で年間16億ドルほどあり、これに税金を課すだけでも税収を倍にできる」と両氏は述べている。

しかし、援助活動家や支援企業がこのアイデアを喜んで受け入れるとは思えない。彼らはすぐにこう言って批判をはねつけるだろう――われわれは世界を救うことで手一杯なのだ、と。植民地支配と似たようなライフスタイルも、待遇の一部だと考えられている。

莫大な石油を消費する「中東の米軍」

イラクとアフガニスタンにおける戦争には、なぜこれほど費用がかかるのだろうか? これには大きな理由がある。米国陸軍では、1日あたり1人の兵士につき、22ガロン(約84リットル、1ガロンは約3.785リットル)の石油燃料を消費している(PDF)のだ。そして石油を戦場へ運ぶのには、1ガロンあたり45ドル以上の資金がかかる。

これは、Deloitte社(デロイト・トーマツ・コンサルティング)の調査による情報だ。筆者の友人であるPaul McLeary氏が、『Aviation Week』で紹介している。

実際のところ、1ガロンあたり45ドルというのはかなり安く見積もった計算だ。海軍によると300ドルから400ドルらしい。

だが、これほどの燃料の大量消費にかかる代償は、金額だけでは計ることはできないと、Deliotte社の調査報告では警告している。燃料は、アフガニスタン国内の隔絶された基地へと輸送しなくてはならない。これは、米軍部隊がゲリラ的な爆弾攻撃にあい、兵士が死亡する危険性を伴う。

Deliotte社によると、「戦略の変更が行なわなければ、現在のアフガニスタン戦争では、結果として2014年までに米国兵士の犠牲者が124%(1年あたり17.5%)増加する可能性がある」という。

米国防総省は化石燃料に対する依存を軽減するため、世界最大規模の太陽熱発電所(日本語版記事)やハイブリッド車、[残飯や廃プラスチックなどの]廃棄物で動く発電機(日本語版記事)など、あらゆる取組みを行なっている。だが、これらの取組みの多くは、国防総省の米国内事業のエネルギー効率を向上させることに集中している。戦場の部隊に関しては、いまだ従来のペースで燃料が消費されているのが現状だ。

[Deloitte社は第二次大戦から現在の中東戦争までの米軍の年量消費量も比較しているが、それによると、現在の1日・1人あたりの消費量は、ベトナム戦争時の1.75倍だという]

青少年の75%が軍に不適格:「肥満」「軟弱」が急増

米軍の調査によると、米国の17〜24歳の若者のうち75%以上が、兵役につくことには不適格だという。たとえ本人が望んだとしてもだ。

Army Timesの記事によると、軍に不適格とされる若者たちは、太りすぎか病弱か、知能が遅れているか、扶養家族が多すぎるか、あるいは違法薬物使用による逮捕歴があるというものだ。[「医療的・身体的理由」が35%、「違法薬物の使用」が18%、「全人口の10%以下にあたる知能」が9%、「18歳以下の扶養家族が多い」が6%、「犯罪歴」が5%]

軍としては、喘息持ちや、マリファナをちょっと使った程度の志願者には、こうした制約を免除しても構わないと考えている。しかし、軍が最も懸念していることは、入隊者たちが肥満し軟弱になったことだ。

「不適格の主要原因は肥満だ」と、米国防総省の採用責任者であるCurt Gilroy氏は、Army TimesのWilliam McMichael氏に語っている。「腕立て伏せができないだけではない……懸垂ができないし、走れないのだ」

現在、18〜34歳の23%が肥満に該当する。ちなみに1987年には、この割合はわずか6%だった。[同記事によると、軍が根拠としているのはCDC(米疾病予防管理センター)による全国統計。BMI(ボディマス指数)30以上が肥満とされている]

米国の若者における「兵役志願傾向」が下降している現在、志願者集団はますます減少している、と社会科学者は述べている。Gilroy氏によると、米国の兵役資格のある若者を対象とした調査結果では、兵役に興味を示したのはおよそ12%だったという。

この1年間、不況の影響で、軍は大量に採用することが可能だった。だが経済は回復し始め、アフガニスタンでの戦争が長期化する中で、志願者から成る軍隊の維持を、[兵役に関心がありしかも適格と見なされる]少数の若者たちに頼るのは、ますます厳しくなっていくだろう。

方法は2つに1つだ。採用した新兵自体を変えるか、採用基準を変更するかだ。――空軍の新しいサイバー軍団[電子戦・情報戦・サイバー戦を担当する]では、何度も懸垂ができる人材は必要ないことだろう。

[米国では、ベトナム戦争終結後の1973年以降、徴兵を停止しているが、選抜徴兵登録制度は行なわれている。米国の将兵の数は2006年で144万人。就業人口に対する比率は1.0%、総人口に対する比率は0.5%にあたる]

映画を超える?「米軍の超能力・麻薬研究」

「この話には、あなたが思うよりも、真実の部分が多い」――米国で11月6日(米国時間)に公開された映画『The Men Who Stare At Goats』では、観客は開始から数分後にこう宣言される。[原作はイギリス人ジャーナリストJon Ronson氏による、1960年代の米軍レポートで、2004年に出版された。邦訳は『実録・アメリカ超能力部隊』(文春文庫)]

この映画に登場する突拍子もない軍事研究計画のうち、一体どれほどが実際に行なわれたのだろうか。実のところ、映画に登場する話題の大部分は、真実にかなり迫ったものであり――ただし実際は、もっと複雑なのだという。

超能力実験:

これは実際に行なわれていた。

今回の映画の原作となったノンフィクション本では、元陸軍大佐John B. Alexander氏のことが紹介されている。Alexander氏はベトナムで米陸軍特殊部隊の司令官を務め、数十年にわたって超能力者や「遠隔透視」能力を持つ人を国家安全保障に利用するアイデアを推進してきた。(同氏が神経言語プログラミングやUFOや非殺傷兵器への興味を追究するようになる以前の話だ)。Wired.comが行なった、Alexander氏へのインタビュー記事はこちら(日本語版記事)。

Wired.comでは、さらにこの分野に関する調査を深める中で、米Boeing社が60年代に行なった超能力実験などの過去の研究を紹介してきた。このBoeing社の実験では、何人かの被験者は、無作為に番号を生成する装置に、意思の力だけで特定の番号を出力させることができるようだ、との結論が出ている。

1985年以前の陸軍の報告書には、「サイコキネシスは、継続的な研究が行なわれ、有効利用できるレベルにまで開発された場合、今後の軍事作戦において軍事的価値を持つ可能性を秘めている」という記述がある(日本語版過去記事)。

比較的近年の1996年になっても、「視覚によらない知覚」なる現象が調査されているし、米軍のお抱え超能力者たちは今日なお活動中なのかもしれない。9.11テロはその何年も前に、遠隔透視能力者らによって予知されていた、と示唆する報告が2007年に公開されている。[リンク先記事によると、予言が出たとされるのは1986年。「建物の崩壊を伝える新聞の見出し、飛行機と関連したパニック」などの「予言」が書かれている。

1972年から米スタンフォード研究所で研究が始まった「遠隔透視」について書かれた本の邦訳は『サイキック・スパイ―米軍遠隔透視部隊極秘計画』(扶桑社ノンフィクション)]

ドラッグの実験:

これも事実だ。

前線の兵士たちは、[濃縮された]液体大麻からLSDまで、あらゆる薬物を――場合によっては、それと知らされずに――投与されていた。

研究者らは、軍人たちが「目に見えないさまざまな人と、2、3日間にもわたって会話を続け」たりするのを目撃している。[米陸軍がLSDなどの幻覚誘発薬を使って行なった『エッジウッド実験』などを紹介する日本語版記事はこちら]
ヒッピー軍隊:



実在の人物である元陸軍中佐のJim Channon氏はニューエイジ思想に深く傾倒し、きわめてオルタナティブな戦争観を米軍にもたらした――例えば、軍隊が花や、[子羊などの]平和的なイメージの動物を抱えて戦場に赴くという『第一地球大隊』(First Earth Battalion)などだ。

映画では、Channon氏に当たる役柄[役名Bill Django]をJeff Bridgesが演じている。Channon氏の考案した『第一地球大隊』は、映画では『New Earth Army』の名で登場するが、その理念は同じだ。映画の中でNew Earth Armyのマニュアルに使われている図版の多くは、Channon氏による実際のマニュアルからそのまま引用されている。[Wikipediaによると、瞑想や指圧や「地球への祈り」などを推奨し、7つの行動指針を頭文字をとって「SAMURAI」とまとめた]

東洋思想やオルタナティブなライフスタイルへの米軍の関心は、今ふたたび高まっている。ノースカロライナ州のキャンプ・ルジューン海兵隊基地では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の代替療法の1つとして、昔のサムライの鍛錬法に基づいたらしい『Warrior Mind Training』(軍人向け精神トレーニング)を指導している(日本語版記事)。

このほかに米国陸軍も、400万ドルを投じて、「レイキ」と呼ばれる手当て療法や超越瞑想、「生体エネルギー」などの代替療法を研究している。空軍も、戦場での鎮痛法として鍼治療を研究中だ。


画像は別の英文記事より

音を兵器にする:

これも事実だ。

不快な音や同じ曲――たとえば子供向けテレビ番組『Barney & Friends』のテーマ曲[『アルプス一万尺』のメロディー]など――を繰り返すことは、実際に心理的拷問や尋問の技術として用いられてきた。[米軍がグアンタナモ基地で、音楽を繰り返す拷問を行なっていたことを紹介する日本語版記事はこちら]

また、音波で攻撃する音響兵器(日本語版記事)『Low Dispersion Acoustic Projector』(LDAP)もある。Wired.comの記者David Axeは、この音波攻撃をみずから体験して記事(英文記事)にこう書いている。「口うるさい彼女が100人も頭の中にいて、自分に向かって叫んでいるみたいだった」

テレパシーで動物を殺す:


画像は別の英文記事

これはフィクション。今回の映画(と原作本)に描かれている最も奇抜なエピソードが、軍の超能力者らは、見つめるだけでヤギを殺すことすらできる、というものだ。だがJohn Alexander氏でさえ、これは真実ではないと語っている。

もっとも、ヤギは軍事研究において、実験対象としてヒトの代わりにしばしば用いられる動物だ。本来は非殺傷兵器である『Active Denial System』の実験で、ヤギが一瞬にして死んだ、という噂もある。また、特殊作戦軍では、戦場での救急訓練にヤギを用いている――まず(麻酔をしていない)ヤギを撃って、それから治療するというもので、この慣行には根強い批判がある。

タトゥーのように皮下移植可能:絹利用の電子回路

本当のタトゥーの写真:Spacemanbobby/Flickr

レイ・ブラッドベリのSFファンタジー短編集『刺青の男』(The Illustrated Man)には、全身が刺青で覆われている男が出てくる。[夜になり、男が眠ったときに]刺青を見ると、刺青が動き出して、奇妙な数々の物語を語り始めるのだ。

ペンシルベニア大学が中心になって開発し、マウスに移植している新しいLEDタトゥーは、この刺青の男を現実のものとする可能性がある(ぞっとするような物語は抜きにして)。

同大学のBrian Litt氏らは、シリコンと絹でできており、入れ墨(タトゥー)のように皮下に移植可能な電子回路を開発した。これらは、LEDを利用して皮膚を「スクリーン」へと変えることもできる。

このチップを所定の場所に固定する絹シートは、生理的食塩水に接すると必要な皮膚の形に変形させることができる。絹の基材は、最終的に分解されて体内へ吸収され、電子機器だけが残る。シリコンチップ自体の大きさは、長さが米粒程度の約1ミリ、厚みはわずか250ナノメートルだ。

ペットに注入される小さなRFIDタグなど、生物の体内で各種チップがすでに使用されているが、ペンシルベニア大学の「タトゥー」回路は、身体とともに柔軟に動き、硬い回路基板であれば移植できないような場所にも移植することができる。

[MIT Technology Reviewの記事によると、生体と回路を絶縁する必要がなく、ほとんど完全に組織内にとけ込み、脳などにも移植できるという。同記事では、1センチ四方の絹に6つの回路がある「絹フィルム」の画像も見ることができる。Applied Physics Lettersに掲載された論文はこちら]

この電子機器は、あらゆる種類の電子機器につなげたり、体内にも接続することが可能だ。さまざまな医療用途が検討されており、皮膚上にデータを表示する血糖値センサーのほか、身体の神経システムと接続される神経機器などが考えられている。例えば、チップを特定の神経とつなげて義手をコントロールするといったものだ。

最初のディスプレイは粗い作りになることは間違いないが、おそらくこうした機器を受け入れる患者たちにとっては非常に有益なものとなるだろう。

ディスプレイとしての機能は、フルカラーで高解像度の画像は実現できないだろうとはいえ、商業やアートで利用される可能性もある。オランダの家電大手Royal Philips Electronics社のDesign Probe部門では、こういった可能性のかなりセクシャルな利用法を追求している。その動画[以下に埋め込み。職場での閲覧は不適切]はやや気味悪いが、自分のパートナーの背中でアダルト動画を再生するという用途が、一部の人々の心を捉えるのは間違いないだろう。



われわれとしてはもちろん、この技術のよりギーク的な面について考えている。手の甲にマップ情報を表示するGPSは、確実に便利だろう。眼球の表面に搭載し、日光がまぶしすぎるときは視界を暗くするチップなどもいいだろう。

また、全身を利用したディスプレイは、最終的には広告に使用されるだろう。例えば、この技術と生物発光インクを組み合わせれば、自分自身がタイムズ・スクエアの小さな歩くバージョンへと変わることが可能だ。少なくとも本物のタトゥーとは異なり、電源を切って表示を消すことができる。

実際、この技術の可能性のある用途について想像し始めたら、ほとんど終わりがないように思える――刺青の男の身体で語られる物語のように。

ガソリンの臭いで攻撃性アップ:ラットで確認

Photo: Flickr / markvall

ガソリンを満タンにするのに法外な料金を支払わされれば誰でも頭に来るが、その怒りは、ガソリンを入れている時に吸い込んだ臭いで倍増されるかもしれない。

カイロ大学のAmal Kinawy氏は、ガソリンの臭いにさらされたラットは、新鮮な空気を呼吸していたラットより攻撃的になり、不安の兆候を示しやすいことを確認した。さらにそのラットの脳では、視床下部、海馬、小脳の神経伝達物質が変化していた。この研究はラットでしか行なわれていないが、研究結果は人間にも当てはまるもので、交通渋滞でのイライラなどの一因と考えられる、とKinaway氏は述べている。

Kinawy氏は、15匹のラットを有鉛ガソリン(エジプトでは今でも使用されている)、他の15匹を無鉛ガソリンに暴露した。さらにもう15匹を対照群として使用した。ラットはまずガソリンの気体を6週間に渡って毎日30分間暴露され、次の10日間、実験に使用されなかった同腹の兄弟たちと一緒の場所で飼育された。

その結果、ガソリンの臭気を吸い込んだラットは、歯をカチカチと鳴らしたり、背中を弓なりにしたり、噛み付いたりといった攻撃的な態度を示す傾向が高いことがわかった。無鉛燃料に暴露されたラットは、有鉛燃料に暴露されたラットよりも攻撃性を示す傾向がわずかに高かった。

Kinawy氏は各ラットを解剖し、ガソリンにさらされたことによってラットの脳が変化したことを突き止めた。

「ガソリン燃料の吸引によって、視床下部、海馬、小脳における神経伝達物質の顕著な変動が誘発された」とKinawy氏は述べている。[論文によると、モノアミン神経伝達物質で、セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ドーパミンなどのこと]

「無鉛ガソリンに暴露されたラットは、対照群や有鉛ガソリンのグループに比べて、フリーラジカルによって引き起こされる損傷が大きく、大脳皮質領域の神経伝達物質のレベルが変化するという兆候を示した」ともKinawy氏は述べている。

論文はオンライン・ジャーナル『BMC Physiology』に掲載されている。

[ガソリンへの鉛(アルキル鉛)は、エンジンのノッキングを防止する為に添加されていたが、有毒で大気汚染の原因となるため、日本では、レギュラーガソリンは1975年に、ハイオクガソリンも1987年には完全無鉛化を達成した。

現在鉛の代わりに利用されているのは有機化合物のMTBE(メチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)等。ただしMTBE添加は、ガソリンが飲用地下水に混入する問題を引き起こしており、米環境保護庁はガソリンへのMTBE添加を2014年12月31日以降禁止すると2005年に決定している]

2009年11月22日日曜日

「戦争は貧困と失業のせい」、アフガン国民の認識が明らかに

【11月19日 AFP】貧困と汚職がアフガニスタンの人々を戦争に駆り立てている――アフガン地元住民へのヒアリング調査に基づくこのような報告書が18日、発表された。

「The Cost of War(戦争の代償)」と題された報告書は、戦争で荒廃した同国の様子を浮き彫りにするとともに、同国政府に法の整備、警察組織と司法制度の立て直しのほか、汚職の取り締まり強化、刑事免責や利益供与の慣習撲滅を促している。

■戦争の原因は「貧困」

 この調査は、国際支援団体オックスファム(Oxfam)とアフガニスタンの地元団体が共同で、今年1月~4月に14州からランダム抽出した男女704人を対象に行ったもので、1978年のクーデターとそれに続くソ連の軍事介入を発端とする30年間におよぶ戦争が一般市民にどのような影響を与えたかをまとめた。

 その結果、戦争の主な要因として70%が「失業」と「貧困」を挙げ、48%が「汚職」と「機能していない政府」と回答した。

■国際援助の実感なし

 アフガニスタンでは国民の半数近くが貧困ラインを下回る生活をしており、25万人以上が国内避難民となっている。報告書は「多くのアフガン人は、(政府や国際社会は)数々の約束をするが、実際に人々が恩恵を受けることはほとんどないと感じている。これが欲求不満や失望を招き、最終的に安定を揺るがしている」と指摘。汚職を撲滅し、経済発展と必要な人に届く支援を確実にするよりよい方法を取るよう国際社会に呼びかけている。

 また、戦争当事者に対しては、武装勢力と国際支援部隊の双方に対し、一般人の安全を最優先とすることを強く求めている。(c)AFP/Ian Timberlake

中国が対米スパイ行為を拡大、手口も洗練 米議会報告書

【11月20日 AFP】米中経済安全保障検討委員会(US-China Economic and Security Review Commission)は19日、議会に提出した年次報告書の中で、中国が米国に対するサイバー攻撃やスパイ活動を強化しており、手口も洗練されてきていると警告した。

 報告書は、米政府ウェブサイトやチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世のウェブサイトに対する接続切断や侵入の件数が急増していると指摘している。

■対米サイバー攻撃が急増

 ゲーリー・マッカラム(Gary McAlum)大佐が同委員会に報告したところによると、米国防総省が2008年に探知した同省ウェブサイトに対する悪意あるサイバー攻撃は、前年比20%増の5万4640件に達したという。

 攻撃元は世界各地だが、中国が最も多かった。政府支援を受けていない「愛国的ハッカー」もいるものの、政府がハッカーを使って海外の「敵」のコンピューターを攻撃するケースもあるようだとしている。

■金品でスパイ勧誘、米シンクタンクに影響も

 同委員会はまた、中国が対米スパイ行為に最も熱心な国でもあり、米国人をスパイとして雇おうと試みているとも指摘した。これまでにも中国が中国系米国人の同情を誘ってスパイに勧誘する例はあったが、最近は金品で情報提供者を買収する「旧ソ連式」の手口に切り替わりつつあるという。

 中国は情報の発信元を偽装する手口(偽旗作戦)も拡大。さらに、米国の研究・学術機関に対する影響力を高めるため、学者の入国を許可する一方で、中国に批判的な人には査証を与えない取り組みを始めたとしている。(c)AFP/Shaun Tandon

2009年10月24日土曜日

イタリア軍がタリバンを買収?そのせいで仏兵士が死亡と英紙

10月16日 AFP】英紙タイムズ(Times)が15日、アフガニスタンに駐留するイタリア軍への攻撃を避けるため、イタリア情報機関がイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)に数万ドルの「わいろ」を渡していたと報じ、物議を醸している。■金を渡して安全確保? タイムズが西側軍事筋の話として報じたところによると、アフガニスタンのサロビ(Sarobi)地区にイタリア軍が駐留していた間、タリバンの指揮官や地元軍閥などに情報機関が金を支払い、同地区での安全を確保したという。また、この件について2008年6月に、駐イタリア米大使が買収工作についてイタリア政府に抗議したという。 さらにタイムズは、イタリア軍から同地区の治安担当を引き継いだフランス軍が、交代直後の2008年8月にタリバンの攻撃を受けて兵士10人が死亡する惨事となったのは、イタリア側が買収工作のことをフランス側に伝達していなかったため、「治安状況を誤認したことが原因」と指摘。「地元勢力を買収して治安を確保するのは1つの手かもしれないが、同盟国にそのことを伝えないのは狂気の沙汰だ」との北大西洋条約機構(NATO)軍幹部のコメントを伝えた。 タイムズによると、西側の軍高官らは買収工作の存在を知っていたが、仏軍には隠していたという。■イタリア、フランスは抗議 これに対し、イタリア首相官邸は「まったく根拠のない非難だ」と報道を強く否定。「ベルルスコーニ政権はタリバンへの金銭の支払いを承認したことはなく、前政権がそのような行為を行っていたとの認識もない」との声明を発表した。 フランス軍も、報道は「事実無根」と一蹴。Christophe Prazuck軍報道官は、「うわさに過ぎないし、この手のうわさを聞くのは初めてではない」と述べ、記事を裏付ける情報は存在しないと強調した。 また、NATOが主導するアフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)の報道官を務めるエリック・トレンブレー(Eric Tremblay)大将も、AFPの取材に対し、イタリア軍がタリバンを買収していたとの「認識はない」と語った。■アフガン側はわいろはあったと主張 一方、アフガニスタン軍高官は、イタリア軍がタリバンにわいろを払っていたのは事実だと主張している。「サロビでイタリア軍が敵に金を払っていたことは知っている。西部へラート(Herat)州でも、NATO軍に所属するイタリア兵によって同様の合意がなされたとの情報も得ている」 この高官によると、こうした買収工作はへき地に展開するNATO加盟国軍の多くで行われているという。(c)AFP

タリバンから脱出したNYタイムズ記者が手記、「タリバンを過小評価していた」

10月19日 AFP】米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙は17日夜、パキスタンでイスラム原理主義勢力タリバン(Taliban)に拘束されていたデービッド・ロード(David Rohde)記者の手記をウェブサイトに掲載した。このなかで、ロード記者は、タリバンの過激主義と、住民の支持の強さを過小評価していたと回想している。 ロード記者は2008年11月、アフガニスタンでの取材中にタリバンに拉致され7か月にわたり拘束されたが、今年6月に自力で脱出し、無事保護された。 手記のなかでロード記者は「アフガニスタンで7年も取材していながら、タリバンの多くがどれほど過激化していたか私は十分に理解していなかった」と語った。 拉致される前、ロード記者はタリバンを宗教的動機に基づいて主にアフガニスタンの実権掌握を目指す、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)を小さくしたような組織だと認識していた。しかし拘束期間中に、タリバンが「アルカイダと手を組み、イスラム世界全体におよぶイスラム首長国を築く」という、遠大な野望を持っていることを知ったという。 タリバンとパキスタンの諜報機関の間に結びつきがあったことや、パキスタン当局がタリバンの多くの活動を見て見ぬふりをしてきた事実は以前から把握していたというロード記者だが、当局の妨害を受けることなく繁栄するタリバンの「ミニ国家」を自分の目で見たときには驚いたという。 パキスタンの南北ワジリスタン(Waziristan)では、主要道路に設けられたパキスタン政府軍の前哨拠点は全て放棄され、タリバンの検問所と化していた。ここで若いタリバン兵が、カラシニコフ(Kalashnikov)銃を携帯していない人や、タリバンの合言葉を正しく言えない人を拘束しているという。 また、北ワジリスタンでの拘束中、ロード記者は、何度も爆発音を耳にしたが、これは、タリバンの戦闘員らが米兵や北大西洋条約機構(NATO)軍兵士らを殺害するための簡易爆発装置の製作や使用の訓練を受ける際の音だったという。 そして、貧しく孤立した地域と信じられてきた部族地域が、実際はアフガニスタンの大半の場所よりも道路や電力などのインフラが整備されていたという。(c)AFP

米ハワイ州、不況の影響で学校を週休3日に

【10月21日 AFP】米国の景気低迷で打撃を受けた米ハワイ(Hawaii)州で地元当局が、学校の週休3日制の実施を余儀なくされており、23日から実施する見通しだ。 ハワイ州は、支出を削減するため、金曜日を休校にして教員の出勤日数を減らす。これにより、ハワイ諸島の学生17万1000人の年間授業日数は、従来より17日少ない163日となる。これは米国で最も少ない授業日数。 ハワイ州のパトリシア・ハマモト(Patricia Hamamoto)教育長は、声明で「最初の休みは今週の金曜日、10月23日に予定されている。厳しい経済情勢が続く間は、学校教育や学生向けサービスを提供するために教育当局の持つ資源を活用する」と説明し、資金がまかなえるようになれば週5日の授業を再開したいとした。 米国には最低年間授業日数を定めた規制は無いが、米国全土の大半で180日以上の授業日数が確保されている。年間授業日数が180日を下回る州は11州のみで、ノースダコタ(North Dakota)州が173日、ハワイ州が163日で最下位となっている。(c)AFP

2009年10月20日火曜日

北朝鮮、韓国軍の盗聴防止機器の入手に失敗か

【10月19日 AFP】韓国国防省は19日、北朝鮮が過去に韓国軍の盗聴防止用機器を入手しようとしていたことが発覚したと発表した。 国防省報道官によると、中国を拠点とする北朝鮮工作員が2005年と07年の2回、盗聴を阻止する軍用機器2個の購入を試みていたという。この機器は、雑音を発生させて、韓国軍部隊間の通信を敵が傍受することを防ぐものだ。 情報筋からの報告を受け、韓国の治安当局は通信関連機器の管理体制を強化した。 一方、国防省は、先に与党ハンナラ党(Grand National PartyGNP)の金東聖(キム・ドンソン、Kim Dong-Sung)議員が語った内容の真偽については、言及を避けた。 これについて、金議員の側近はAFPに対し「軍当局から、北朝鮮のもくろみは失敗に終わったとの情報を得た。しかし、当局はどう失敗したのかについては触れなかった」と語った。(c)AFP

2009年10月17日土曜日

ムソリーニは英国のスパイだった、英紙報道

【10月14日 AFP】英ガーディアン(Guardian)紙は14日、イタリアの独裁者ベニト・ムソリーニ(Benito Mussolini)が一時期、英国のスパイとして働いていたと伝えた。英ケンブリッジ大(Cambridge University)の歴史家ピーター・マートランド(Peter Martland)氏の研究で明らかになったという。 1917年、記者として働いていたムソリーニ氏は、英情報局保安部(MI5)から週100ポンドを受け取り、イタリアが第1次世界大戦(World War I)の戦線から離脱しないよう運動したという。「革命を受けロシアが戦線から離脱した後、英国が最も信頼できない同盟国と考えていたのがイタリアだった」 マートランド氏によると、「ムソリーニは1917年秋から少なくとも1年間、毎週100ポンドを受け取り、戦争支持のプロパガンダを続ける活動をした」。当時の100ポンドは現在の6000ポンド(約86万円)に相当する。 当時ローマ(Rome)で英国情報員100人ほどを指揮していたMI5のサミュエル・ホア(Samuel Hoare)卿の書類を研究し、この事実をつきとめたという。 報道によると、ムソリーニは自らが編集を務める「ポポロ・ディタリア(Il Popolo d'Italia)」紙上に戦意高揚の記事を掲載しただけでなく、イタリア退役軍人を送り込んで反戦デモ参加者らに暴行を加えることにも同意したという。 マートランド氏は、「ただのジャーナリストに支払う金額としては高額だが、英国の1日あたりの戦費400万ポンドからみれば小銭だった」と説明し、「証拠はないが、女好きのムソリーニのことだから、愛人たちにも多額を使っただろうね」と語った。(c)AFP

2009年10月16日金曜日

メタマテリアルを使った「卓上ブラックホール」

Image: arXiv
中国人の2人の科学者[Nature newsによると、南京にある東南大学の研究者]が、「人工的なブラックホール」の作成に成功した。しかし幸いなことに、あなたがいまこの記事を読んでいるということは、地球はブラックホールの渦に吸い込まれていないと言っていいだろう。
というのも、光がそこから出られないブラックホールというものが成立するには、理論的には、アインシュタインが仮定したような「大質量で高濃縮の重力場」は必要ないからだ。必要なことは光――もっと正確に言えば、電磁放射――を捉えることだけだ(視覚的に認識される光とは、電磁放射の1つの形式だ)。
Image: arXiv
この「卓上ブラックホール」については、『arXiv』に10月12日付けで掲載された論文に詳述されている。同心円状に配置された、60層の回路基板で作られている。各層は銅でコーティングされ、電磁波に対応して振動する(または振動しない)パターンがプリントされている。これらのパターンはあらゆる方向から来るマイクロ波放射を完全に吸収して、そのエネルギーを熱に変える。
[論文にはメタマテリアルを利用とある。メタマテリアルとは、光を含む電磁波に対して、自然界の物質には無い振る舞いをする人工物質のことであり、特に負の屈折率を持った物質を指して用いられる]
最近開発された、光子を吸収するカーボン・ナノチューブから作成されたブラックホールに近い物質(日本語版記事)のように、この物質はソーラーパネルに利用できるだろう。

暗黒物質を検出する新装置

青い光は写真を撮影したときのフラッシュの色。Photo:IAS/SINC
物理学者らによると、宇宙を構成しているもののうち現在検知されているものは、全体の約5%にすぎないらしい。目に見えているよりはるかに多くの質量の存在によって引力が生じている、とするよりほかに説明のつかない動きが、はるか彼方の銀河系で観測されていることから、「暗黒物質(ダークマター)」の存在が推測されている。物理学界では、暗黒物質が宇宙に占める割合は約20%であり、残る75%は「暗黒エネルギー(ダークエネルギー)」という、宇宙の膨張をますます加速させている謎めいた力で構成されると試算されている。
スペインのサラゴサ大学の物理学者、Eduardo Abancens氏らのチームは、「シンチレーティング・ボロメーター」と呼ばれる検知器のプロトタイプを作成し、暗黒物質の検知を目指している。[シンチレーション検出器は電離放射線を測定する測定器。荷電粒子がある種の結晶に入射した際、閃光や蛍光を発する物質をシンチレーターと言い、この光を光電子増倍管で何倍にも増幅して電気信号に変換するボロメーターは、放射エネルギーを検出・測定するための非常に感度の良い温度測定器]
この検知器のプロトタイプは、映画『ライラの冒険 黄金の羅針盤』に小道具として出てきそうな装置で、内部には非常に純度の高い結晶体が使われている。この結晶体のどれか1つの原子の核に暗黒物質の粒子がぶつかるとエネルギーが発生し、純度の高い結晶体はそのエネルギーを伝導できる。
宇宙線の干渉を防ぐため、検知器は鉛で覆われて、地下約800メートルの岩盤下に埋められる。さらに、あらゆる動きが停止する絶対零度[摂氏マイナス273.15度]近くまで冷やされる。暗黒物質の衝突で予想される温度変化は華氏1度の数百万分の1というわずかなものだが、絶対零度に近い温度であれば、その変化を計測できる。
『Optical Materials』誌の8月号に掲載され、9月末にはオンラインでも公開された論文によると、この検知器は現時点で、原子核の振動と電子の公転のそれぞれによって生じる振動の違いを区別できる精度だという。Abancens氏は、5年以内に稼働を開始できるだろうと語る。
だが、検知器の動作を信頼に足るものにするためには、さらに精度を上げねばならない。しかも、プロトタイプは重さ46グラムだが、実用モデルは約500キロになる予定で、その規模でも同じ精度を維持せねばならない、と、米ブラウン大学のRick Gaitskell教授(物理学)は語る。同教授は今回の研究には関わっていない。
絶対零度に近い温度での伝導研究は「かなり課題が多い」とGaitskell教授は言う。同教授は過去10年にわたり、絶対零度近くでの検知システムの作成を目指してきた。
「われわれは現在、キセノンを使用している。これは摂氏マイナス100度程度と、絶対零度に比べれば高温で、工業用冷凍庫でもこれに近い温度まで冷やせるものがあるほどだ」と、Gaitskell教授は語る。

米特殊作戦軍、『プラズマ・ナイフ』の実地試験を完了

Photo: Wikimedia
映画『スター・ウォーズ』シリーズに登場する『ライトセーバー』が、実用的な武器だと言う者はこれまで誰もいなかった。私に言わせれば、ライトセーバーは、優れたブラスター銃にはかなわないが、それでも強い魅力を放っている。
米国防総省が作成した予算関係の文書によると、米国特殊作戦軍は、ブラスター銃に次ぐ優れた武器に関して「行なわれていたテストと実地評価研究を完了した」という。その武器とは、輝く電離ガスの刃が肉体を貫く『プラズマ・ナイフ』だ。ただしこのプラズマ・ナイフは実際のところは武器ではなく、命を救うための手術器具だ。
迅速な医療は、イラクやアフガニスタンでの戦闘による負傷者の死亡率を下げるのに極めて効果的であることがわかっている。衛生兵をできるだけ前線に配置して、完全な医療施設に移送する前に基本的な治療を行なうという方針により、戦傷者の死亡率は、朝鮮戦争時の25%から現在は10%にまで低下している。
プラズマ・ナイフはある意味で、焼きごてを傷口にあてて出血を止める、昔の焼灼止血法への回帰といえる。現代の外科医は、電気メスなどを同様の目的で使用している。[電気メスでは、人体に高周波電流を流してジュール熱を発生させ、この熱が瞬時に細胞を加熱し爆発・蒸散することによって切開作用を、細胞の水分を蒸発させタンパク質を凝固させることによって凝固作用をそれぞれ生じさせる]
プラズマ・ナイフでは、壊死した組織の外側にある多孔質層には損傷を与えずに貫通するプラズマ(高温の電離ガス)を生成する。つまり、太い血管が切断されるなどの理由で大量出血しても、他の組織には大きな損傷を与えずに出血だけを止めることができるということだ。
さらにプラズマ・ナイフは、手術用の切断器具としても利用できる。レーザー・メスなどと同様に、殺菌作用があって戦場に向いているし、切断しながら切り口を焼灼して塞ぐことが可能だ。[レーザー・メスは、切開面の組織壊死層が電気メスの10分の1程度で、止血作用にすぐれている。なお、「日曜大工や傷口の消毒や止血に利用できる」という民生用の『レーザー十徳ナイフ』も市販されている]
通常の医療用プラズマ・ナイフには主電源が必要だが、特殊部隊用のプラズマ・ナイフは低電力設計で装着可能と説明されており、バッテリーパックが別にあることが示されている(ジェダイ・ナイトの真似をしてバッテリーをあげないようにしよう)。

迷惑メールは儲かる:1日40万円の売上げも

『バイアグラ』や『シアリス』などを宣伝する医薬品関係のスパム[迷惑メール]は、1日4000ドルを超える売り上げをもたらしうる。クリックする騙されやすい少数の人々がいるせいで、スパムが猛威をふるい、他の人々が迷惑を被る状態が続いていることを、このデータは裏付けている。
この数字は推定値ではない。英Sophos社のあるセキュリティ研究者が、スパム・ネットワークの成長に関する調査の一環として、売り上げに関するログを精査した結果に基づいている。
このセキュリティ研究者は、カナダにおける最大の医薬品関係のスパム・ビジネスの一部を動かしているのは、ロシアのアフィリエイト・パートナー・ネットワーク「partnerka」だ、と指摘している。
Dmitry Samosseiko氏の報告書「『Partnerka』の実態と注意点」(PDF)は、こうしたロシアのネットワークやそのトラフィック、および、広告などを操作するその手口に焦点を当てている。意外なことではないが、医薬品のオンライン販売は、非常に人気が高いアフィリエイト・ビジネスである場合が多く、そのなかでも最大手の1つが加GlavMed社だ。GlavMed社はスパムに強く反対していると主張しているが、同社にはSpamIt社という株式非公開の関連会社がある。SpamIt社はスパム・アフィリエイトのグループで、研究者らは『Storm』や『Waledec』、『Conficker』といったボットネットにも関係しているのではないかと見ている。
Samosseiko氏は、GlavMed社につながる、PHPの広く開いたバックエンドを発見した。SpamIt社が実際にはもっぱらスパム送信者から利益を上げるために設立されたことを示す証拠を含むものだ。証拠とは、スパム送信者向けの「電子商取引ソフト」のことで、GlavMed社のコピーを独自に開設したり、GlavMed社のページにシンプルにリダイレクトするドメインを設定したりできる。さらにSamosseiko氏は、GlavMed社のターゲットになるユーザーたちの購買行動を伺わせる販売記録も発見した。
GlavMed社の売上データによると、スパムを通じた購入件数は1日20件を超え、GlavMed社は各取引で40%の手数料を求めているようだ。平均購入金額は約200ドルなので、キャンペーン1回あたりの合計購入金額は1日4000ドルを超える。つまり、GlavMed社の取り分は1600ドルだ。
ご想像の通り、この合計購入金額は、様々なアフィリエイトを利用して1日に複数回のスパム送信を行なえばすぐに倍増する。さらに、スパムによって利益を上げているオンライン医薬品販売業者は、いま見て来たネットワーク以外にも非常にたくさん存在する。
こういった儲けを考えると、スパムに投資する価値があることは明らかだ。購入するのはごく一部のユーザーであったとしても、大きな利益が得られるのだから。迷惑メール対策団体『Messaging Anti-Abuse Working Group』(MAAWG)が今年発表した報告によると、スパムメールをクリックするメールユーザーは52%にのぼる。そのうち12%は、提供される製品やサービスに実際に関心があったからクリックしたという。
[京都大学の研究者によると、スパムの返信率が0.001%(10万通に1通)を超えると採算が取れる場合があるという。2008年2月には日本で、のべ22億通のスパムを送信した容疑者が「特定電子メール送信適正化法」で逮捕されており、この容疑者は約2000万円の利益を得ていたとされる]

2009年10月1日木曜日

ハンガリーの経済規模、売春と違法薬物が底上げ-GDP算出変更で

  9月30日(ブルームバーグ):ハンガリー政府が国内総生産(GDP)統計の算出方法に売春と違法薬物取引を加える改定を実施したことを受け、同国の経済規模が過去14年にさかのぼり底上げされたことが明らかになった。

  ハンガリー中央統計局のピーター・サボー氏は30日、ブタペストでインタビューに応じ、これら2つの活動は同国GDPの約1%に相当すると述べ、こうした数字を含め1995年までさかのぼるGDPは「著しく」押し上げられたと指摘した。

  サボー氏は「売春には10以上の項目があり、それぞれの項目には独自の単価ならびにそのほかの詳細なデータも含まれている。そのため、われわれはこう した項目を単に生産として計算しなければならなかった」と説明。さらに「国外からの旅行客が利用した場合、こうしたサービスは輸出として考慮される」とも 語った。

  中央統計局によれば、売春と違法薬物取引を加えた数値は欧州連合(EU)基準を満たしており、2005年のこれら活動の推定金額は3440億フォリン ト(約1700億円)相当と、2000年の1650億フォリントから増加した。ただ、05年以降については項目が細分化されていないため、すぐには公表で きないという。

2009年9月15日火曜日

一酸化窒素が病原菌の抗生物質耐性に重要な役割、米研究

【9月14日 AFP】窒素原子と酸素原子がそれぞれ1つずつ結合した一酸化窒素(NO)は、病原菌が抗生物質に耐える上で重要な役割を果たしているという研究結果が、米科学誌「サイエンス(Science)」で発表された。

 研究を主導したニューヨーク州立大学ランゴンメディカルセンター(New York University Langone Medical Center)のEvgeny Nudler教授(生化学)によると、一酸化窒素は、多くの抗生物質について、その効果を弱める作用があるという。

 有毒な大気汚染物質として知られていた一酸化窒素だが、1987年にほ乳類で生理学的に大きな役割を果たしていることを示す研究が発表されてからは、学 習と記憶、血圧の制御、陰茎勃起、消化、感染症やがんの防御作用など、さまざまな生命活動に関与していることが明らかになっている。1987年の研究を発 表した学者らは後にノーベル賞を受賞した。

 今回の研究を発表した研究チームは数年前、酸化ストレスから身を守るため病原菌が一酸化窒素を結集させることを明らかにしていた。今回の研究では、多く の抗生物質は病原菌に酸化ストレスを引き起こして死滅させる一方、一酸化窒素はこの効果を弱めるという理論を支持する知見が得られた。

 研究チームは、バクテリアやヒトの体内には一酸化窒素の合成に関与する酵素があるが、このような酵素を阻害する薬剤を使えば、薬剤耐性菌に対する既存の抗菌剤の効果を高められる可能性があるとしている。このような酵素阻害薬はすでに販売されている。(c)AFP

石油大手がミャンマー軍政を支えている、人権団体が欧米2社を批判

【9月11日 AFP】米国の人権団体「アースライツ・インターナショナル(EarthRights International)」は10日、ミャンマー軍事政権が米仏の2大石油企業のガス・プロジェクトから、50億ドル近い隠し資産を得ている、とする報告書を発表した。

 同団体の2つの報告書によると、軍事政権はフランスのトタル(Total)と米国のシェブロン(Chevron)が同国で進めている「ヤダナ(Yadana)・プロジェクト」の2000~08年の収益約48億3000万ドル(約4400億円)のほとんどを、国家予算から切り離し、隠し資産としてシンガポールの華僑銀行(Overseas Chinese Banking CorporationOCBC)とDBS銀行(旧シンガポール開発銀行)に蓄えているという。

 また、パイプラインを警備するミャンマー軍が行った強制労働や殺人などの虐待行為について、両社が隠ぺいしようとしたとも指摘。国際社会に対し、両社へ圧力をかけるよう求めた。

 これに対しシェブロンは、プロジェクトは地元社会において人びとの健康や教育の促進、経済開発などの支援となっていると反論。トタルも、報告書には複数の間違いや誤った解釈があるとして、信ぴょう性に疑問を呈した。(c)AFP/Danny Kemp

フランス、2010年から炭素税導入

【9月11日 AFP】フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は10日、地球温暖化対策として2010年から炭素税を導入すると発表した。家計への負担が増えるとして反対する世論を押し切るかたちとなった。

 家庭や企業で消費される石油、ガス、石炭を対象に、排出される二酸化炭素(CO2)1トン当たり17ユーロ(約2300円)が課せられる。CO2排出削減を促すため、課税率は段階的に引き上げられる。

 炭素税導入により、平均的な家庭の暖房費は年間最高174ユーロ(約2万3000円)、無鉛ガソリン1リットルあたりの価格は0.04ユーロ(約5円)高くなる見通し。

 サルコジ大統領は炭素税の導入は国庫の赤字を補うためのものではないと強調し、歳入増加分の一部は他の税金の軽減などで国民に還元すると説明した。新税導入による歳入の増加は年43億ユーロ(約5800億円)と見込まれる。

 炭素税導入をめぐっては、数週間にわたり激しい議論が交わされてきた。政府右派からは厳しい家計状況にある国民からの反発を招きかねないと懸念する声も上がっていた。

 欧州では1990年のフィンランドを皮切りに、スウェーデン、デンマークが炭素税を導入している。(c)AFP/Nadege Puljak

2009年9月5日土曜日

太もものサイズが寿命に関係、細ければ短命に=研究

 [ワシントン 3日 ロイター] デンマークの研究者らが3日、太ももの細い人は、そうでない人と比べて短命になる傾向があるとの調査研究の結果を発表した。
 英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載された同研究は、1987年と1988年に実施された大規模な医学的調査に参加した男性1436人と女性1380人を対象に、12年以上にわたって経過を追ったもの。
 太ももの外周が60センチ未満の人は男女とも12年以内に死亡した人が多く、46センチ未満のグループでは、亡くなる確率がさらに高かったという。
 これまでに発表された多くの研究では、体のどの部位に脂肪が付くかが健康に大きく影響するという結果が報告されており、ウエストの周囲と内臓脂肪の関係などが指摘されてきた。
 デンマークの研究者らは、太もものサイズも同様に健康のバロメーターになる可能性があると期待している。一方、オーストラリアのイアン・スコット医師 は、今回の統計は対象が極めて限られていると指摘。太ももサイズを健康の指標と認めるためには、さらに大規模な調査が必要だとしている。

オーストラリア、「天然ガスの中東」目指しLNG事業を強化

【8月31日 AFP】アジア経済の急速な発展に伴い、オーストラリアの液化天然ガス(LNG)に注目が集まっている。同国は天然ガス資源の開発を積極的に進め、「天然ガスの中東」になることを目指している。

 オーストラリア政府は前週、ウエスタンオーストラリア(Western Australia)州の大規模LNG開発「ゴーゴン(Gorgon)」事業を認可した。ゴーゴンについて、ケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相は、事業費は総額500億オーストラリア・ドル(約3兆9000億円)の規模で、6000人の雇用を創出すると語っている。

 ゴーゴン事業を進めている米石油大手シェブロン(Chevron)や同エクソンモービル(ExxonMobil)、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)はすでに、中国やインドの企業との間に総額600億ドル(約5兆6000億円)以上の供給契約を結んでいる。2014年の操業開始までにさらに多くの国と供給契約を結ぶ見込みだ。

 ゴーゴンは、今後10年間に計画されている多くのLNG事業の1つにすぎない。専門家はオーストラリアが世界最大規模の天然ガス輸出国カタールに匹敵する存在になり、天然ガスはオーストラリアに巨額の収入をもたらすとの見方を示している。

 アジア諸国が石炭や鉄鉱石を必要としているおかげで、オーストラリアは世界的な経済危機のなかでも景気後退入りを避けることができたが、アナリストは、次にブームがくるのはLNGだと指摘する。

 オーストラリアは2006年に計1520万トンの天然ガスを輸出したが、同国政府は現在計画されているプロジェクトがすべて開始されれば、2015年までに約4倍の6000万トンにまで増加すると試算している。(c)AFP/Neil Sands

2009年8月16日日曜日

米陸軍、世界最大規模の太陽熱発電所を建設開始


Photo:米国空軍

米国陸軍が、カリフォルニア州の砂漠に出力500メガワットの太陽熱発電所の建設をまもなく開始する。完成すると、世界最大規模の再生可能エネルギー発電所の1つとなる。

これはある意味で皮肉でもある。米軍はこれまで環境問題や気候の変化にそれほど注意を払っていなかったからだ。このプロジェクトの計画を指揮するKevin Geiss博士は、結局のところ、再生可能エネルギーの方が「安全」であることがわかったと述べている。

現時点では、同駐屯地のエネルギーのほとんどは、多くの軍事基地と同様にディーゼル発電機から得ているため、長くて無防備な配管が燃料源まで続いているのだ。

米陸軍は7月31日(米国時間)、軍の主要訓練施設の1つであるカリフォルニア州アーウィン駐屯地で、この巨大発電所を建設する民間の開発業者、Clark Enterprises社とスペインのAcciona社を紹介した。

アーウィン駐屯地は場所として申し分ない。基地の面積は1万4000エーカー[約5600万平方メートル]あり、そのほとんどが更地だ。このような 敷地があるということは、米軍が再生可能エネルギーの開発を推進できることを意味する、とGeiss博士は述べる。米軍は米国内の至るところで、一定した エネルギー需要がある基地を持ち、その隣に広大な土地を所有している。

アーウィン駐屯地にはさらに有利な点がある。すぐ隣に大容量の送電線があるため、将来は、余ったエネルギーの大部分を南カリフォルニアに売却できるのだ。アーウィン駐屯地ではピーク時でも35メガワットしか必要としないため、465メガワット近くが余ることになる。

一方で、軍ではアーウィン駐屯地を必要に応じて送電網から隔離することも望んでいるとGeiss博士は述べている。開発業者は、非常事態に備えて基地のエネルギーを完全に独立させる機構を構築する必要がある。

アーウィン駐屯地の太陽熱発電所の建設には少なくとも総額15億ドルが必要で、2022年までには発電準備が整うことになっている。

Geiss博士は今回の計画について、これまでの軍のあり方からの大きな転換になると述べる。「この100年間を見ただけでも、軍の作戦が燃料不足 によって妨げられた明確な例がいくつもある。第二次世界大戦において、米陸軍のパットン将軍によるドイツ軍攻撃が停滞したのは、アイゼンハワー連合軍総司 令官が燃料物資を、モントゴメリー将軍が指揮する第21軍集団に振り向けたからだ」

2009年8月15日土曜日

「世界の石油産出量、2020年にピークに」--IEAチーフ・エコノミストが警鐘

世界の石油生産量が頂点に達し、そして緩やかな、かつ避けられない減少に転じる時点を「ピークオイル」と呼ぶが、これがいつ来るか/来たかについて は専門家の間でも意見が分かれている。「すでに達した可能性がある」とするアナリストもいれば、「何十年も先のこと」という者もおり、世界の主要な国々の エネルギー関連省庁の多くは後者の意見に同調している。

ところが、国際エネルギー機関(International Energy Agency:IEA)のチーフ・エコノミストを務めるフェイス・ビロル(Fatih Birol)氏によると、世界の石油生産量は2020年にピークを迎えるという。これは多くの政府が予想している時期より約10年も早い。

英国のインデペンデント紙(The Independent)は、8月3日(現地時間)に掲載したビロル氏とのインタビュー記事のなかで、この予想を明らかにした。また世界にある800の主 要な油田ではすでに産出量が年間6.7%減少していることを示すデータも示されたが、この減少率は2007年時点でのIEAの推定値3.7%よりも大きな ものとなっている。

ピークオイルが来るとの見通しは、現代の世界経済にとって重大な事柄である。なぜならほとんどすべての交通手段には石油が必要であり、またその他の社会のエネルギー需要の大きな部分も、石油関連製品でまかなわれているからだ。

むろん、石油産出量がピークに達したからといって、その時点で石油が枯渇するわけではない。だが、ピークオイルに達すれば、増大する需要をまかなうために産出量を増やすことができず、結果的に石油価格の劇的な上昇につながる可能性がある。

ビロル氏によると、この石油価格の上昇により世界経済の成長が停滞するか、もしくはマイナス成長に転じる可能性があるという。こうした事態を回避するには「サウジアラビア4つ分」に相当する新たな石油供給源を見つけなくてはならないが、その見込みはほとんどないためだ。

「今後数年のうちに経済が回復すると考えている人も多いが、この回復はゆっくりとしたしかも脆いものになるだろう。さらに、石油価格の上昇によってこの経済回復が失速するリスクもある」と同氏は述べている。

2020年に石油産出量がピークを迎えるという予想を含めて、ビロル氏がこうした事実を明らかにしてメディアの注目を集めるのは、今回が初めてでは ない。同氏は昨年12月に行った英ガーディアン紙(Guardian)とのインタビューのなかで同様の情報を明らかにしていた。

このガーディアンとのインタビューのなかで、ビロル氏はOPEC(石油輸出国機構)加盟国以外の国々の石油産出量が、今後3〜4年のうちに頭打ちに なり、さらに減少に転じることで、中東各国をはじめとするOPEC加盟国の、世界の石油供給をコントロールする力が増大することになる、との見方を示して いた。

ビロル氏のほかにも、将来における世界の石油産出量減少を懸念する声はある。ザ・ネーション(The Nation)誌6月号に掲載された記事によると、米エネルギー省のエネルギー情報監督局(Energy Information Administration)では、最新の報告のなかでこの問題に触れ、2030年時点の世界の石油産出量の予想値を引き下げたという。

同局の最新のレポート("EIA - 2009 International Energy Outlook")では、2030年の全世界の石油産出量(予想値)は9310万バレル/日とされているが、これは2007年版で出された予想値1億 720万バレル/日よりも少ない。なお、2006年における世界の石油産出量は8150万バレル/日だった。

石油産出量の減少を埋め合わせるには、従来は採掘があまり行われていなかったエリア--カナダやベネズエラにあるオイルサンド(油砂)層や、米国西 部にある石油を含んだ頁岩(けつがん)層、さらにはブラジル沿岸で開発が始まろうとしている「超深海」("ultra-deep")油田などから原油を堀 り出さなければならない。

バイオ燃料も石油の不足緩和に役立ちはするだろうが、しかしいまのところ世界の燃料供給量のなかでバイオ燃料が占める割合はほんの少しに過ぎない。 「次世代のバイオ燃料」(草や、農産物や木材から出る廃棄物、ゴミなど、食料以外から取れるもの)は、米国ではいまのところ期待されたほど増加してはいな い。

ピークオイルの予測に対して批判的な人々もおり、地球上にはもっと多くの石油が残っているというより楽観的な見方や、技術の改善によって既存の油田からより多くの石油を採れるようになったり新しい油田を発見できる余地があるなどの見方をしている。

中国、2050年から温室ガス排出削減へ 英紙FT

【8月15日 AFP】英紙フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)は15日、中国政府高官が、同国が2050年までに温室効果ガスの排出量削減を始める方針を示したと伝えた。温室効果ガスの削減で、中国が具体的な日程を出したのは初めて。

 フィナンシャル・タイムズによると、中国国家発展改革委員会(National Development and Reform Commission)、気候変動担当局のSu Wei局長が「中国の排出量は2050年以降、増加することはない」と語った。

 1人あたりの排出量は少ない発展途上国の中国は、国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)のもとで温室効果ガス排出量の削減を義務づけられていない。また、中国政府も、将来の排出量削減を約束することに対してはこれまで消極的だった。(c)AFP

ベトナム、高速鉄道網に日本の新幹線方式を採用へ 報道

【8月13日 AFP】ベトナムの国境横断鉄道路線の建設に日本の新幹線技術が採用される見通しであることを、国営ベトナム鉄道(Vietnam Railways)のグエン・フー・バン(Nguyen Huu Bang)会長兼最高経営責任者(CEO)が13日、日本経済新聞(Nikkei)に語った。

 バン社長は日経新聞に対し、ベトナム政府がすでに新幹線方式の採用について基本部分で承認しており、財政面の解決と首相の正式承認を待っている段階だと述べた。

 日経新聞によると、この鉄道計画の総工費は560億ドル(約5兆4000億円)規模。資金調達面では依然として不確実な部分が多く、ベトナム政府は、日本政府からの援助や、世界銀行(World Bank)やアジア開発銀行(Asian Development BankADB)からの資金調達を目指している。

 高速鉄道路線は全長1560キロメートルを計画している。植民地時代につくられた既存の鉄道路線に代え、首都ハノイ(Hanoi)と南部の主要商業都市ホーチミン(Ho Chi Minh)を結ぶものになる。現在は、ハノイ・ホーチミン間は3日間もかかるという。

 ベトナム政府は2020年までに高速鉄道を開業することを目指しており、最も収益が高いとみられる沿岸都市のダナン(Danang)とフエ(Hue)を結ぶ約90キロメートルの路線を含む3区間の建設から着手する計画だという。

 日経新聞によると、日本政府と日本の鉄道会社は、国内市場が飽和状態であるため新幹線技術を海外へ輸出したい考えで、ベトナムの潜在力に対して強い期待 を抱いているという。しかしながら、コスト見積もりは依然として不十分だとみられており、日本側はベトナムに対して高速鉄道の運行開始を2036年以降に 延期するよう提案したとみられている。(c)AFP

IMF、加盟国に27兆円分の外貨準備支援を決定

【8月14日 AFP】国際通貨基金(International Monetary FundIMF)は13日、世界金融危機により経済的打撃を受けた加盟国の外貨準備を支援するため、2500億ドル(約24兆円)相当の特別引き出し権(SDR)の配分を決定したと発表した。

 世界の金融システムに流動性を与えるため、加盟186か国にSDRを分配することを、IMFの理事会が承認したという。

 4月に開催された主要20か国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)では、1兆1000億ドル(約104兆円)相当の金融支援策で合意していたが、今回の2500億ドルの配分はその一部。(c)AFP/Veronica Smith

ロシア、アブハジアに全面的支援を約束

ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領とウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相は12日、同国が独立を承認したグルジアのアブハジア自治共和国を訪問し、グルジアと紛争が発生した場合には、ロシア軍が全面的に支援す ることを約束した。両氏が同共和国を訪問するのは、独立承認後初めて。

2009年8月5日水曜日

ロシアの退役空母、譲渡予定のインドでとんでもない厄介者に

【8月3日 AFP】5年前、ロシアがインドに退役した空母を譲渡した際、インド政府は大喜びだった。後にこれが金食い虫の厄介者になるとも知らずに――。

 長年インドへの兵器供給国であるロシアは、インド政府に対し2004年、改装費をもってロシアの造船所に9億7400万ドル(約920億円)を支払えば、退役空母「アドミラル・ゴルシコフ(Admiral Gorshkov、4万4570トン)」を譲渡すると伝えていた。同空母は27年前に就航し、旧ソ連崩壊後に退役した。

 その後、アドミラル・ゴルシコフの改修費は大幅にかさみ、2007年、ロシアはコストの増大を理由に、8億5000万ドル(約805億円)を追加請求した。さらに6か月前にもロシアは再度、追加費用を要求した。その額はなんと29億ドル(約2750億円)にも上った。

 またロシア政府は、同空母の引き渡しを当初計画から4年遅れの2012年まで延期した。しかし、2011年にはインド海軍唯一の空母「ビラート(Viraat)」は退役してしまう。

 インドの会計検査当局はこの問題について、もっと少ない費用で新たな空母が購入できたはずだと批判している。ロシアによる追加要求はインド国内で大きな反発を生み、インドのA・K・アントニー(A.K. Antony)国防相は今週、ロシアと再交渉中であることを議会で保証させられた。

■前にも後にも動けないインド

 インド政府はすでに、ロシアの国営造船所セブマッシュ(Sevmash)に数百万ドルを前払いしている。インド軍の退役司令官は「インド政府にとっては非常に頭が痛い問題だが、ここで手を引いてしまうと、1銭も戻ってこない」と語る。

 一方、今回の契約を担当するロシア国営の武器輸出会社Rosoboronexportは、インドをだましているという意見を否定している。同社の広報担当者はインドPTI通信に対し、「空母改装のひとつひとつのプロセスは、インド海軍の技術者チームが監視しているが、彼らは何の異議も申し立てなかった」と反論した。

 さらに、改装費が上がってる要因は、インド側が当初の契約になかった装備を要求しているからだと、造船所は指摘している。

 アントニー国防相は、インド政府は自前の空母建造を目指しているものの、現在のところはアドミラル・ゴルシコフと同規模の空母を提供してくれる国がない ため、ロシアに頼るしかないとしている。ロシアはインドの軍用ハードウエアの70%を担っており、現在も総額9億ドルの軍事物資に関わる商談を進めてい る。

 この契約にも関わっているインド海軍のラジャ・メノン(Raja Menon) 退役元帥は、ロシアはインドから最大限の支払いを引き出そうとしていると指摘する。メノン氏は、ロシア政府は伝統的に強引な武器取引を行ってきたと述べ、 「ほかの契約でも費用をつり上げてきた。いつも、またうまくいくと思っている」と強調した。(c)AFP/Pratap Chakravarty

2009年8月1日土曜日

男性は遠くを見るのが得意、狩猟時代の名残か

【8月1日 AFP】男性の目は、大昔に動物を追って狩りをしていた名残で遠くのものを見るのが得意で、女性の目は近くのものを見るのが得意――。英国の臨床心理学専門誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・サイコロジー(British Journal of Psychology)」オンライン版に30日、このような研究結果が発表された。

 男女の脳は数千年の間に別々に進化し、近いものと遠いものに関する視覚情報の脳内プロセスが男女で異なるというのが通説だが、英イーリング・ハマースミス・アンド・ウェストロンドンカレッジ(Ealing, Hammersmith and West London College)の心理学者、ヘレン・スタンシー(Helen Stancey)氏は、これを実験で確認することにした。

 男女48人に対し、紙面に引かれた線をさまざまな距離から見せ、レーザー・ポインターでそれぞれの線の中間点を指し示してもらったところ、1メートル離 した場合の判断は男性の方が正確であり、逆に50センチという腕を延ばして届く近さでは女性の方が正確であることがわかった。

 スタンシー氏は、結果について、「狩猟採集時代においては、女性は身近な場所での仕事が求められ、一方で(大多数が男性の)ハンターたちにとっては、獲 物は遠くの場所にあった。視覚処理におけるこうした性差は、進化の過程における名残だろう」と分析している。(c)AFP

海洋生物も海水の動きに影響を与える、米大研究

【8月1日 AFP】海洋の水の混合において大小の海洋生物が密かに重要な役割を果たしているかもしれない――。このような研究結果が29日発行の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表された。

 いわゆる「海洋混合」は、赤道と南北両極間で暖流、寒流を作り出すとともに、深層部の冷たく栄養豊富な海水と表層部の太陽で温められた海水をかき混ぜている。

 海洋混合は海洋生物多様性にとって非常に重要な役割を果たしている。さらに、地球の気候を維持する上でも欠かせないとの見方が出てきている。

 魚類などの海洋生物の移動が海水の移動に大きく寄与しているとの概念は1950年代半ば、進化論などで知られるチャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)の孫で同名の科学者チャールズ・ダーウィン氏によって提唱された。

 しかしこの概念は、60年代に行われた、海洋生物が作り出す海流と海全体の海流を比較する実験を元に、「疑わしい」としてはねつけられてしまう。実験では、微少なプランクトンや魚類が移動することで作り出す渦がすぐに消えてしまうことが示されたのだ。

 これを根拠に、海洋混合において生物は重要でなく、注目すべき要因は風と潮の満ち引きだけだとされた。

■クラゲとともに深層の海水が上昇

 しかし、カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)のカカニ・カティヤ(Kakani Katija)氏らの研究チームの研究により、「20世紀のダーウィン」の仮説は再度日の目を見ることになるかもしれない。

 チームは、太平洋に浮かぶ島国パラオの塩湖で実験を行った。クラゲの群れの周辺に染料をまき、クラゲと周辺の海水の動きを撮影すると、上昇するクラゲとともに大量の冷たい海水が表層に移動することが示された。

 かき混ぜられる海水量は、海洋生物の大きさや形のほか、群れの大きさ、移動パターンなどによって決まるという。

 チームは60年代の実験について、垂直方向の海水の入れ替えよりむしろ、海洋生物が作り出す波や渦に着目していたとし、着眼点が間違っていたと指摘している。

 海洋混合は炭素循環の1つの要素だ。

 プランクトンは海洋表層部で、光合成により二酸化炭素(CO2)を大量に消費する。プランクトンが死ぬと、CO2を大量に含んだ死がいがゆっくりと海底に沈み、数千年にわたりCO2を効果的に貯蔵する。海流によって表層部に運び上げられることもある。

 一方、フロリダ州立大学(Florida State University)のウィリアム・デュアー(William Dewar)氏は「ネイチャー」に寄せた解説で、「細部にわたる検討に耐えて、生物による海洋混合という考え方が確立すれば、気象科学のパラダイムシフトが起きるだろう」とし、今回の研究を「通説に挑戦した」と評価している。(c)AFP

2009年7月25日土曜日

かめの粘り成分に鳥インフルの感染予防作用

理研ビタミンは2009年7月21日、わかめのメカブから抽出した酸性多糖類「フコイダン」に、鳥インフルエンザの感染予防作用があることを確認したと発表した。オーストリアで開催中の国際会議『15th European carbohydrate symposium』で発表した。食品素材を活用した鳥インフルエンザの感染予防や早期治癒の可能性が示唆されたとしている。

富山大学大学院の林利光教授との共同研究で、高濃度のメカブフコイダンを1週間食べさせたマウスを、鼻から弱毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N3亜型、H7N2亜型)に感染させ、さらに1週間メカブフコイダンを食べさせ続けた。

その結果、肺や気道でのウイルス増殖が抑制されることを確認。また、のどや鼻の粘膜面の生体防御成分が、メカブフコイダンを食べることで増え、ウイルスや細菌などの侵入を阻止する効果があることも分かった。

フコイダンは、わかめやコンブなどの褐藻類に含まれる粘り成分の一つ。海草特有のぬるぬるした成分で、本体を守り、水から出てしまった際などに乾燥を防ぐ。抗ウイルス、抗アレルギー、抗腫瘍などの作用を持つとして注目されている。

神経幹細胞の注射でアルツハイマー病が改善

米カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究チームが7月22日(米国時間)、神経幹細胞を移植することで、アルツハイマー病のマウスの認識力を回復させることに成功したと発表した。

人工的にアルツハイマー病の症状を作り出したマウスの脳に神経幹細胞を注射した。神経幹細胞は、新しいニューロンになったり、アルツハイマー病特有の「斑」(プラーク)や「神経繊維のもつれ」を減らすのではなく、BDNF(Brain-derived neurotrophic factor、脳由来神経栄養因子)と呼ばれるタンパク質を分泌し、既存の神経組織から新しい突起を伸長。ニューロン間の接続を強化し、増やすように働いていたという。

研究チームがBDNFを選択的に抑制すると、こうした効果は失われた。記憶と神経機能に対する神経幹細胞の効果にBDNFが重要な役割を果たしていることを示唆するとしている。

また、直接BDNFを注射したマウスも改善はしたが、神経幹細胞を注射したときほどの効果はみられなかったという。BDNFは、神経疾患治療に応用可能なタンパク質として近年、注目を集めている。

研究チームのFrank LaFerla氏(同校記憶・神経障害研究所ディレクター)は「神経幹細胞あるいは、それから作られたBDNFがアルツハイマーの治療に有益だと期待できる」とコメント。全米で530万人いるといわれる認知症患者の治療に役立つとしている。

「世界最強の唐辛子」がインドの兵器に


Photo: via Cafe Society

インドの軍部は、内乱や暴動の鎮圧用に、唐辛子兵器の準備を進めている。

『Asia Times』紙では、インドの国防研究開発省(DRDO)が、催涙ガスに代わるもの、または催涙弾の中身に詰めるものとして、ギネス世界記録で世界一辛い唐辛子として認定された『ブート・ジョロキア』を使用しようとしていると報道している

唐辛子ベースの兵器は、催涙用の唐辛子スプレーとして何年も前から存在しており、米国で人気が高まっている。ブート・ジョロキアは、こうした唐辛子兵器の威力を何段階も引き上げることが可能だ。

唐辛子愛好者たちは唐辛子の辛さを、被験者たちが辛味を感じなくなるまでの希釈率を測定する『スコヴィル値』を使って評価する。ピーマンのスコヴィル値はゼロで、ハラペーニョ(メキシコ唐辛子)だと8000スコヴィルに上昇し、ハバネロやスコッチボネットは10万スコヴィルという激しい辛さだ。しかし、ブート・ジョロキアの辛さはスコヴィル値で100万を上回ると評価されている。

[ブート・ジョロキアは2007年に、世界一辛い唐辛子としてギネス世界記録に認定された。東ハトは、同種を使用した菓子「魔王ジョロキア」を発売している。かつては「暴君ハバネロ」が「世界一(辛い)トウガラシ」と称されていたが、現在は「伝説のトウガラシ」と改められている。北東インドでは、畑や民家を荒らす野生ゾウを撃退するために、すり潰して柵に塗ったり、トウガラシ発煙筒を開発する試みがなされているが、生食もされる]

唐辛子の有効成分は、有機化合物が複雑に混合したオレオレジン・カプシウム(OC)という物質だ。現在のOC精製品を使用した「唐辛子スプレー」の辛さは200万スコヴィルを超えている。

カプサイシンは、 実際に損傷を与えることなく、特定の脆弱な神経細胞をターゲットとして激辛の感覚を引き起こす、自然独自の化学兵器だ。OCは皮膚の粘膜の炎症を即座に引 き起こすため、一瞬にして目は開けられなくなり、呼吸は困難となる。こうした症状と焼け付くような感覚が相まって、極めて不幸な状態となる。

OCベースの「唐辛子スプレー」は、1970年代に、当時使われていたCSガス(ク ロロベンジリデンマロノニトリル)等の催涙ガスの代わりとして開発されたものだ。OCは当初はほとんど使用されていなかったが、1989年に、米連邦捜査 局(FBI)による研究報告で、他の催涙物質よりも安全だと示され、1992年までには、2000を上回る警察隊がOCスプレーを使用するようになった。

だが、過剰な噴射を受けてと見られる死者が複数出ている一方で、OCの殺傷力に関する議論は続けられていた。一方、研究者らは、ペラルゴン酸バニリルアミド(PAVA)として知られる、OCと同じような効果を持つ合成化学物質も開発している。

なお、軍隊は、OCやPAVAで攻撃された時の訓練も行なっている。米海軍の女性兵士が訓練を受けている動画はこちら

[日本語版:ガリレオ-向井朋子]

日産、電気自動車の無線充電技術実現に向けて一歩前進?

(これまでの マイケル・カネロスの「海外グリーンテック事情」はこちら

昨年秋、私たちは日産自動車が電気自動車(フルEV)の航続距離を伸ばすために、出先でも充電できる複数の方法について実験を行っていることをお伝えした。

同社の技術開発部門を率いる常務執行役員の篠原稔氏は、2008年10月のCEATECでのインタビューのなかで、「電源コードを使わずに充電する というと、まるで遠い未来の話のように聞こえるが、しかしわれわれにはゼロ・エミッション・ヴィークル(zero emission vehicles:ZEV-排気ガスを完全に出さない車)が必要だ... インドやロシア、中国の経済成長を考慮すると、自動車の需要は今後大幅に増加するとみている」と述べていた。

そしていま、日産で実験を重ねられてきた技術の一部が明らかにされはじめた。英ガーディアン(The Guardian)紙によると、日産では非接触の誘導充電(inductive charging)方式を検討しているという。同紙では、日産の技術戦略委員会(Technology Strategy Board)で技術革新プログラムの責任者を務めるデビッド・ボット(David Bott)氏の次の発言を引用している。「誘導充電は、携帯型電子機器向けとしては確立された技術。この方法がきちんと機能することは科学によって明らか になっている。いずれは、夜間は効率の良い電源コード接続で充電を行い、昼間出先で充電するときには、この誘導充電方式を用いるといった使い分けになるの ではないかと思う」。

「この方法が科学的に可能なことがわかっている。ただ、それがスケールできるものか、実現可能なものかといった点はまた別の問題だ」と同氏は付け加えた。

もちろん、現実的な問題はいくつもある。まず道路に無数の充電用プレートを設置するには多くの費用がかかるし、また他社の力も借りなければならな い。さらに、ペースメーカー利用者にも身に危険がないことを納得してもらわなくてはならないなど、いくつも課題はある。そこで日産では、まずはフルEVを 街乗り用の車として売り込んでいく予定だ。それなら充電ステーションを整備する必要が少なくなる(もっとも、同社では充電ステーションの開発と設置にも資 金を注ぎ込んでいる)」

また日産が自社の電気自動車にウルトラキャパシターかKERシステムを搭載して、急速充電を可能にすると私は推測している。

いずれの充電方法が実現するにせよ、日産が充電の問題について一生懸命知恵を絞っていることは間違いない。この話題に関連する記事はこちらで(Greentech Mediaの英文記事 "Under the Hood With Nissan's Electric Car")。

[原文:Michael Kanellos(Greentech Media)/抄訳:坂和敏/原文公開:7月20日(米国時間)]

「オバマの米国」に好感、イスラム世界は例外 米調査

(CNN) 世界各地での米国へのイメージは、オバマ政権が誕生した今年、昨年までと比べて大きく好転していることが米調査機関ピュー・リサーチ・セン ターによる国際世論調査で明らかになった。ただ、中東諸国では米国への不信感が根強く、イスラム世界との和解を打ち出したオバマ大統領の「カイロ演説」に 大きな効果はなかったとみられる。

調査は世界25カ国・地域の2万7000人を対象に、5月18日から6月16日にかけて実施された。

それによると、欧州諸国やアフリカ、中南米の主要国では、米国に好感を持つ人の割合が大幅に上昇し、「オバマ大統領は国際問題に正しく対処するだろ う」との回答が圧倒的多数を占めた。フランスとドイツではオバマ大統領への信頼を示す人が約9割に上り、それぞれサルコジ仏大統領、メルケル独首相への支 持を超える勢いをみせている。

またアジアでも、オバマ大統領を信頼していると答えた人の割合は、日本が85%、韓国が81%、インドが77%、中国が64%という高水準を記録した。

報告書は「多くの国で、対米感情はブッシュ前政権が発足する前のレベルまで回復しているようだ」と分析している。

一方イスラム世界の対米感情は、ブッシュ前政権時代に比べて改善しているものの、好感を示した人はトルコで14%、パレスチナ自治区で15%、パキ スタンで16%にとどまった。ただし、オバマ大統領が少年時代の一部を過ごしたインドネシアでは、昨年の37%から一気に63%まで上昇した。

調査期間中の6月4日、オバマ大統領はエジプトのカイロ大学で演説し、中東和平ではパレスチナ国家樹立が「唯一の解決策」と言明した。調査の結果、米国への好感はパレスチナで前年の14%から19%とわずかに上昇したが、イスラエルでは76%から63%に低下した。

ただ、イスラム教徒の間では昨年まで、国際テロ組織アルカイダの最高指導者オサマ・ビンラディン容疑者がブッシュ前大統領より信頼されていたが、今回はオバマ大統領への信頼感が同容疑者を上回る数字となった。

外国企業に収奪されるアフリカの土地、新たな被支配の構図

【7月22日 AFP】世界の耕作地が不足し、食糧を増産する必要に迫られている国々がアフリカ大陸に目を向けるなか、かつて植民地化されていたこの大陸は対応を誤ると新たな被支配の時代に入る可能性があると、専門家らが警鐘を鳴らしている。

 その一方で、外国に広大な土地を貸し出すと、アフリカの食糧不足が解消されるとともにさらなる開発がもたらされると、期待を寄せる人々もいる。

■アジアの企業とリース契約

 2008年、韓国の物流企業・大宇ロジスティクス(Daewoo Logistics)はマダガスカルで、320万エーカー(約130万ヘクタール)の農地開発を行うための第一段階の承認を、マダガスカル政府から得たと発表した。しかし、この計画はその後、マダガスカルの政情不安が原因で撤回された。

 当初の合意では、同社はトウモロコシを年間400万トン、パーム油を年間50万トン生産する予定だった。

 ケニア政府は前年12月、カタール政府と土地のリース契約を結んだことを発表した。カタールから港や道路、鉄道などの建設に350万ドル(約3億2700万円)の投資を受ける見返りに、同国に10万エーカー(約4万ヘクタール)の土地を貸し出すという内容だ。

 中国・重慶(Chongqing)の種子会社「Chongqing Seed Corporation」は前年5月、穀物価格の世界的高騰に対処すべく、タンザニアの740エーカー(約300ヘクタール)の土地を借り受けてコメを栽培することを明らかにした。

 こうした動きについて、ある専門家は次のように危惧(きぐ)する。「投資をして技術を駆使することで、食糧生産高を上げることは可能だろうが、アフリカ人の雇用を創出することにはならないのではないか」

■アフリカ内部でも分かれる意見

 ところで、ケニアのムワイ・キバキ(Mwai Kibaki)大統領は、カタール政府とのリース契約を発表した数週間後に、国民約1000万人が食糧不足に直面しているとして国家の緊急事態を宣言し、4億ドル(約370億円)の対外援助を要請した。
 
 この契約について、ケニアのある弁護士は、カタール側が油田の権益の一部譲渡には一切触れていないことから、「不平等」なものだと批判する。

 国際食糧政策研究所(International Food Policy Research InstituteIFPRI)は4月の報告書で、「この乏しい資源の争奪に、これ以上の参入者が加われば、途上国の社会・政治的不安定化は助長されるだろう」と警鐘を鳴らしている。

 だがナイジェリアのあるエコノミストは、アフリカの多くの国でインフラが整備されておらず開発も遅れている点を挙げ、開発のための土地の貸し出しは成長の道筋をつけるものだと主張している。

■G8では土地取得規制の方針が示されたが・・・

 2002年の国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganisationFAO)の報告によると、アフリカの耕作可能な土地8億700万ヘクタールのうち、耕作が行われているのはわずか25%。

 一方で、大規模な農地開発には、生態系が破壊される恐れがあるとして、環境保護団体の目が光っている。

 今月初めにイタリアのラクイラ(L'aquila)で開催された主要国(G8)首脳会議(サミット)では、先進国側が、外国企業などによる途上国の土地取得を規制する計画を発表した。 

 これについて、食糧問題を担当する国連(UN)のオリビエ・デシューター(Olivier De Schutter)氏は、「投資する側には何らの義務も課されない。数百万ヘクタールもの土地が、簡単な契約書のもと、タダ同然で売られている。こうしたことはすべて、人々に知られることなく行われている」と話している。(c)AFP/Otto Bakano

IMF、通貨安定化における中国の役割を評価

【7月23日 AFP】国際通貨基金(IMF)は22日、2006年以降初となる中国経済に関する報告を発表し、通貨の安定化における同国の進展を評価した一方、同国の通貨・人民元が依然過小評価されていると指摘した。

 IMFは報告書で、為替レートの決定において中国が市場で果たす役割が増加したこと、2005年の人民元為替制度改革以降に人民元の価値が上昇したことなど、ここ数年に中国が果たした重要な進展を評価した。

 8日に発表された対中第4条協議完了の報告は、IMFと中国政府の関係改善を示している。中国政府は2006年10月、人民元が同国経済の基礎的条件に見合っていないとするIMFの報告に強く反発した。

 IMFへの出資比率が最も高い米国および欧州諸国は、中国が輸出部門を守るために人民元の価値を故意に低く保っていると批判し、人民元の価値引き上げを迫った。

 安価な中国製品は米国に流れ込み、巨額の対米貿易黒字をもたらした。米国の対中貿易赤字は5月、174億8400万ドル(約1兆6400億円)に達した。

 しかし、中国の輸出依存緩和を目的とした、同国経済のバランス回復における人民元の果たすべき役割については、IMF理事の意見は二分された。(c)AFP

米上院、国防予算権限法案を可決 F22追加調達認めず

【7月22日 AFP】米上院本会議は21日、2010年度の国防予算権限法案から最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター(F-22 Raptor)」を追加調達する費用を削除する法案を賛成58、反対40で可決した。バラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、政権が提案した国防予算改革と異なる内容が盛り込まれた場合、拒否権の発動も辞さないと警告していた。

 上院軍事委員会(Senate Armed Services Committee)は先に、国防予算権限法案に7機分のF22の追加調達費17億5000万ドル(約1640億円)を盛り込んでいたが、ジョゼフ・バイデン(Joseph Biden)副大統領、ロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官、ラーム・エマニュエル(Rahm Emanuel)首席補佐官らが上院議員らに対し、同費用を削除するよう説得工作に当たっていた。

 採決後、オバマ大統領は「2つの戦争を戦い、深刻な赤字を抱えている状況下で、国防予算の無駄遣いは許されない」と述べた。ゲーツ国防長官はF22の生 産を187機にとどめたい意向を示しており、共和党はこの方針に反対していた。ゲーツ長官の方針が実現すれば今後生産できるF22は4機のみとなる。

 F22は現在禁輸措置がとられているが、日本などの主要同盟国は購入したい意志を示しており、下院は前月に可決した補正予算案に禁輸解除に向けた調査費を盛り込んでいた。(c)AFP

北朝鮮からミャンマーへの核技術移転に懸念、米国務長官

【7月22日 AFP】米国のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官は22日、タイのテレビ局Nation TVに対し、米国は、北朝鮮からミャンマーへの核技術移転を懸念していると述べた。

 クリントン長官は、タイのリゾート地プーケット(Phuket)で23日に開催されるアジア最大の政治・安全保障分野のフォーラム、東南アジア諸国連合地域フォーラム(ARF)への参加を予定している。フォーラムでは北朝鮮、ミャンマー両国の協力関係が主要な議題になるとみられている。

 北朝鮮とミャンマーは国際社会でに孤立し、国際的な制裁の対象になっている。クリントン長官は21日、米国は両国の軍事協力が地域を不安定化する可能性を懸念していると述べていた。(c)AFP

2009年7月18日土曜日

ガザ参戦のイスラエル兵が証言、「まず撃て」「民間人を盾に」と軍が指示

【7月16日 AFP】前年12月-今年1月のイスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)攻撃に参加したイスラエル軍兵士らが、軍上層部から「疑わしければまず撃ち、結果はその後で心配すればよい」といった指示や、パレスチナ民間人を「人間の盾」として使用するよう指導されたと証言した。イスラエル退役兵らで作るグループ「沈黙を破る(Breaking the Silence)」が15日、報告書を発表した。

 報告書によると、証言は匿名の兵士30人ほどから集められたもの。その結果、ガザ地区における大規模な破壊は、「イスラエル国防軍(Israel Defence ForcesIDF)の方針の直接的な結果」であることが明らかになったとしている。

 1人の兵士は、「建物に接近するときには、いつも近所の人間を先に送り込んだ」と述べ、イスラエル兵たちがパレスチナ民間人を「人間の盾」として使用するのが常態化していたことを証言した。

 別の兵士は、上官から「民間人の肩に銃身を置き、その体を盾にして家の中に入っていった実例」を聞かされたという。

 戦闘前にこうした指示が与えられたことで、兵士たちはむやみに発砲しがちになり、民間人の死者を出したり、壊滅的な打撃を与える結果を招いたと兵士らは証言している。(c)AFP/Yana Dlugy

北朝鮮の5個人・5団体に渡航禁止や資産凍結、国連制裁委

7月17日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)の対北朝鮮決議に基づく制裁委員会は16日、北朝鮮の5個人、5団体を資産凍結や渡航制限の対象として指定した。北朝鮮の核・ミサイル開発計画への主要収入源を断つのが目的。

 渡航禁止措置をめぐっては、15人について指定の是非が協議されたが、最終的に5人となった。この5人は核、弾道ミサイル、大量破壊兵器(WMD)の開発に関与しているとみられ、核関連企業「南川江貿易(Namchongang Trading Corp)」の幹部Yun Ho-Jin氏などが含まれる。

 また、資産凍結の対象に指定された5団体は、南川江貿易のほか「香港エレクトロニクス(Hong Kong Electronics)」、原子力総局(General Bureau of Atomic Energy)などとなっている。(c)AFP/Gerard Aziakou

イスラエル、ロケット弾迎撃システムの実験に成功

【7月17日 AFP】イスラエル国防省は15日、ガザ地区(Gaza Strip)を支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)やレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ(Hezbollah)が打ち込むロケット弾を迎撃するシステム「アイアン・ドーム(Iron Dome)」の実験に成功したと発表した。

 同国の軍需企業ラファエル(Rafael)が開発したもので、最近、接近する複数のロケット弾の迎撃実験に成功したという。今後数か月間でさらに試験を重ね、ロケット弾が打ち込まれることが多いイスラエル南部に配備するという。

 民放テレビ、チャンネル10(Channel 10)の軍事コメンテーターは、国防省は2010年初めまでに南部の国境に近い都市スデロト(Sderot)に新システムを配備したい意向だと語った。

 この迎撃システムには4-70キロ先から打ち込まれたロケット弾を迎撃する能力が期待されている。イスラエルは1月18日から22日間続いたガザ侵攻の際、200発以上のロケット弾と迫撃砲を国内に打ち込まれている。(c)AFP

2009年7月11日土曜日

アラル海、3年で8割縮小 かんがいシステム導入で

【7月11日 AFP】 欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)は10日、 カザフスタンのアラル海(Aral Sea)の海岸線が劇的に後退していることを明らかにした。ESAの地球観測衛星「エンビサット(ENVISAT)」 がとらえた画像によると、東側の水域は2006年からのわずか3年で80%も縮小した模様だという。内陸の水域としては、かつては世界4位の規模を誇って いた同海だが、半世紀ほど前の旧ソ連時代に綿花栽培のためのがかんがいシステムが導入されたことで同海に注ぐ川からの流入量が減り、海岸線が後退し続けて いる。(c)AFP

ウイグル暴動、中国当局がネットを切断

7月7日 AFP】中国当局は7日、暴動の発生した中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)区都ウルムチ(Urumqi)で、暴力の拡大を防止するため、一部地域のインターネット接続を切断したことを明らかにした。

 ウルムチ市共産党当局トップのLi Zhi氏は、「暴動を迅速に鎮圧し、暴力が他の地域へ拡大することを防止するため、ウルムチ市の一部地域のインターネット接続を切断した」と述べた。

 Li Zhi氏は、亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議(World Uighur Congress)」のラビア・カーディル(Rebiya Kadeer)議長がネットを通じて暴動を指揮したと非難した。カーディル氏は暴動の指揮を否定している。

 中国国営・新華社(Xinhua)通信によると、中国政府は、中国人や外国人の記者に対し、ウルムチ市内のホテルにあるメディアセンターでネット接続を提供している。

 新華社通信が、英誌「エコノミスト(Economist)記者のテッド・プラフカー(Ted Plafker)氏にメディアセンターについてのコメントを求めたところ、「ネットがどこでも使えた方がいいんですけどね」と返答したという。(c)AFP/Dan Martin

ピストルなどの小型武器取引、米国の需要大で25%増加

【7月10日 AFP】ピストルなどの小型武器の国際取引が、米国での需要増大とピストル人気の高まりで、2000年-06年に25%以上増加したことが、9日公表された09年版「小型武器実態調査(Small Arms Survey)」で明らかになった。

 民間人、治安部隊、武装勢力が紛争や犯罪において使用した小型武器によって、6年間で45万人が死亡。また、国際紛争における死者の6割が、ピストル、回転式拳銃、ライフル、重機関銃によるものだった。
 
 小型武器および軽火器の合法的市場の売り上げは、06年に計29億ドル(約2700億円)相当に達し、6年前から6.5億ドル以上も急拡大した。

 背景には、米国で需要が増大している点が指摘されている。全世界での輸入拡大の48%を米国が担っているほか、ピストルと回転式拳銃の輸入額は6年間で1億7300万ドル(約160億円)に達し、他国を突きはなして世界一だった。

 武器の管理体制に欠陥があって所有状況が不透明な一部の国・地域を含めた場合、世界市場で取り引きされる小型武器の数は、実際には40億丁を超える可能性があるという。 

 06年の小型武器および軽武器、部品、銃弾の輸出国としては、米国、ドイツ、ブラジル、オーストリア、ベルギーが上位を占めている。なお、調査は53か国を対象に行われた。(c)AFP

遺族に補償金270万円支給へ、ウイグル暴動

【7月10日 AFP】ウイグル族のデモが大規模な暴動に発展した中国・新疆ウイグル自治区の区都ウルムチ(Urumqi)の市当局は、暴動による死者の遺族に1人当たり20万元(約270万円)の補償金を支給する方針を明らかにした。10日の新華社(Xinhua)通信が伝えた。

 また、市当局では1人につき1万元(約13万5000円)の葬儀補助金も支給するとしている。ただし、対象者は暴動で亡くなった「無実の市民」の遺族と条件を付けている。

 同日、ウルムチでは街から脱出しようと市民数千人がバスターミナルに押し寄せた。ウイグル族はイスラム教徒だが、イスラム教の礼拝が行われる金曜日にもかかわらず、多くのモスクは閉鎖を命じられた。

 市当局では市街に出るバスを通常よりも多く運行させたが、脱出を望む市民の需要に追いついていない。バスの乗車券を流すダフ屋は、額面の最高5倍の値段で券を売っているという。(c)AFP

G8サミット、廃止へ秒読み段階?

【7月7日 AFP】世界的な金融危機に対し無力だった主要国(G8)首脳会議は、世界経済に対する統制力をゆっくりと失いつつあり、さらに今度は会議自体の廃止さえもが呼びかけられている。

 主要8か国の英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア、米国は、前年9月に金融危機が発生して以降、方針の声明を発表する以上のことを 行うことができなかった。そして難題の解決を、G8に中国やインド、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカなどが加わった主要20か国・地域(G20)に受 け渡してきた。ロンドンで4月に金融サミットを開催して金融危機に立ち向かったのは、G20だった。

 英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(London School of EconomicsLSE)の研究者、リチャード・ポルテス(Richard Portes)氏は、「知りうる範囲でいえば、長年にわたってG7とG8会議から実質的な結果は生まれていない」と語る。ポルテス氏は、「中国やインド、ブラジル、南アフリカを引き入れずに、環境や貿易、国際金融に取り組むことは不可能」と述べる。

 米カリフォルニア州立大学バークレー校(University of California at Berkeley)のBarry Echengreen氏も、「世界最大の外貨準備高の国(中国)が関与することなく、国際通貨システム改革が実行可能だという考えは、ばかげている」と語る。

 ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相も、G8体制に疑問を投げかけている。メルケル首相は前週、「われわれが直面している問題は、もはや先進国だけで解決することが不可能だ」と述べていた。

 G8の数少ない擁護者、カナダのトロント大学(University of Toronto)のジョン・カートン(John Kirton)氏は、G8には「果たすべき重要な役割がある」と反論する。カートン氏は、「G20首脳会議は、基本的に、G7とG8が設定した原則や方針に従っているだけ」と述べる。

 とはいえ、国際情勢の専門家らの大半は、G8の終わりは近いとみている。

 インド国際経済関係研究所(Indian Council for Research on International Economic RelationsICRIER)のRajiv Kumar氏は、「G20を存続させ機能させたいのなら、この2つ(G8とG20)は共存できない」と語る。

 スイス、ジュネーブ(Geneva)にある国際関係大学院研究所(Institut de Hautes Etudes Internationales)のCharles Wyplosz氏も同様の考えだ。Wyplosz氏は、「G8を終わらせる準備をしなければならない。G8がG20に主要な問題を受け渡した以上、この小規模グループを維持してゆくことには基本的な矛盾がある」と語った。(c)AFP/Jeremy Tordjman

「魂を担保にお金貸します」、不況のラトビアに新手の金融業者

【7月10日 AFP】不況の直撃を受け景気後退が深刻なラトビアで、ローンの借り手に融資の担保として「魂」を要求する信販会社が現われ、激怒した教会など宗教団体の間で、正式な調査を求める声が強まっている。

 問題の融資会社は、ラトビアの首都リガ(Riga)に本社を置く「コントラ(Kontora)」。年齢不問、クレジット履歴や担保にできる品物も不要で、どんな顧客にも返済期限90日、年利365%で、最大500ラト(約9万2000円)を融資している。

 同社ホームページには、「わが社がお客様に課す条件は1つだけ、あなたの魂を担保にしていただくことです」と書かれている。返済できなかった場合は、借り手の魂は同社のものになる、というのだ。

 同社社員は、ラトビア紙「Vesti Segodna」の取材に対し匿名で、「単なるビジネスだ。魂が大切だと本当に思っているなら、(担保がなくても)お金は必ず戻ってくるはず。まったく公正な取引だ」と話している。なお、これまでに何人が借りたかは不明だ。

 不景気であくせくしている一般市民の反応はさまざまだ。2人の子を持つ29歳の男性は、「本当?ぜひとも借りたいな。どこにあるの?僕は迷信は信じない から。すばらしいジョークだと思うよ」。一方、過去にローンの支払いでトラブルを抱えたことがあるという47歳の公務員は、「狂っている。ラトビアもここ まで来たかと思うと、ぞっとする」と話した。

 一方、宗教界はこうした商法に懸念を示している。同国カトリック教会のジャニス・プジャット(Janis Pujats) 枢機卿は8日、AFPの取材に「非常に深刻に受け止めている。単なる風変わりな貸金業者ではなく、悪魔崇拝が背後にあるかもしれない」「こうした会社は人 々を精神的にも物質的にも破滅させる」と強く非難。カトリックとルター派、正教会が、内務省に対し調査を依頼したことを明らかにした。(c)AFP

2009年7月8日水曜日

不足する水と、「水の私有化」の危険性


Image: Terry Shuck/Flickr

全世界で真水の供給が近いうちに危機的に不足すると科学者たちが警告し、水の私有に向けた争奪戦を企業が繰り広げる中、水は基本的人権と考えるべきだとする声が一部の研究者や活動家からあがっている。

6月30日付けの『Public Library of Science Medicine』で編集者たちが綴った小論には、「健康に不可欠な、きれいな水を手に入れることが脅かされている」と記されている。

この考えは、知識人たちの間でも一貫して支持されている。水は、国連の世界人権宣言第25条に登場する「食糧」とまったく同様に、生きるために欠かせないものだというのだ。

現在、世界保健機関(WHO)では、世界の疾病の多くが水不足や不適切な水によるものであり、全死亡件数の6%は、安全な飲み水と衛生状態の改善を 世界中で確保することによって防ぐことができると推測している。また、国連によれば、基礎的な水の需要を満たせない人は2025年までに28億人にのぼる と考えられている。

もちろん、権利を宣言するのはそれを実行するよりもはるかに簡単だ。飢えを終結させるという国連の誓いにもかかわらず、10億人近い人々には食べる ものが十分にない。水不足に苦しむ人々の数を2015年までに半減させるという国連の約束も、実現の見込みはサハラ砂漠で雪に降られるようなものだ。しか し、『Public Library of Science Medicine』の編集者たちが指摘しているように、水を人権の1つと考えることによって、少なくとも「水の私有化」に対処する枠組みができるだろう。

過去20年にわたり、水道事業は、国際通貨基金(IMF)と世界貿易機関(WTO)の支援を受ける形で、わずか3社が支配する5000億ドル規模の世界産業に成長している。[3社とは「ウォーターバロン」(水男爵)とも呼ばれる、仏Veolia Environnement社、仏Suez社、英Thames Water社(元 は独RWE社の子会社、現在は豪Kemble Water Limited社の子会社)。水道施設の設計・構築から運転維持管理、代金回収、下水処理までをトータルで受託する。世界の水道利用者の5%以上が民間水 道を利用しており、その人口は10年間に12倍になっているが、そのうちの5割を仏の2社が寡占状態。Veolia(ヴェオリア)社は日本でも子会社を開設、3件受注したと報道されている]

非営利団体のFood and Water Watchが発表した報告によると、水道の私営化は、米国でも開発途上国でも大きな失敗になっているという。

国連総会議長の水問題に関する上級アドバイザーを務めるMaude Barlow氏は、昨年発表された小論の中で、「このモデルは失敗であることがわかった」と述べている。「水道民営化が残した負の遺産には、貧しい人々への供給停止、高い水道料金、サービス低下、約束不履行、そして汚染などがあげられる」

[水道民営化の問題としては、利潤追求が第一目標になり、収益が再投資されず株主配当や内部留保に回る/貧困層や地方部は取り残される/コスト削減で水質などに問題、等が上げられる。事業に失敗して企業が撤退した国も多く、撤退の仕方も問題になっている。

また、「水の私有化」に関する他の問題としては、ボトルウォーター事業のために水源が買収され、大量に水がくみ上げられることで水源が枯渇するという問題が各国で問題になっている

Maude Barlow氏には以下のような訳書がある。『ウォーター・ビジネス――世界の水資源・水道民営化・水処理技術・ボトルウォーターをめぐる壮絶なる戦い』(邦訳作品社)、『「水」戦争の世紀』(集英社新書)]

北朝鮮がイモから“米”を作ることに成功

国営朝鮮中央通信(KCNA)は29日、北朝鮮がこのほど、イモを使った“米”の製造に成功したと伝えた。味もよく栄養に富み、さまざまな食べ方ができるという。

同国では、イモに米を混ぜて食べる食べ方があるというが、今回開発したのは、米を混ぜず、イモだけを原料に米風にしたビタミンなど栄養豊富な食品。

水に溶けず、白く、ゆでると、炊いた米のようにおいしいという。粉にして、パン、ドーナツ、めんなどの料理にもなり、イモを直接加工して食べるよりもおいしく、見た感じもよいとしている。

また調理も米よりはやくでき、燃料の節約にもなると推奨。「ゆでた『ポテトライス』を試食した人は賞賛を惜しまなかった」と伝えている。イモ栽培地域である北部のムサン(茂山)で産業化が進められているという。

同国では、1990年代からたびたび食料危機が伝えられており、朝鮮労働党は「ジャガイモ革命」を提唱。白米の代わりの食料として推進しているが、それにしても、米を食べたいと思う人が多いということかもしれない。

非神経細胞のわずかな異常で「認知障害」

統合失調症の主要な症状の一つである「認知障害」が、「グリア細胞」と呼ばれる神経細胞を取り巻く非神経細胞のわずかな異常によって引き起こされることを、自然科学研究機構・生理学研究所の研究チームが突き止めた。米国神経科学会誌『Journal of Neuroscience』7月1日号で発表した。

統合失調症は代表的な精神疾患で、100人に1人程度に見られる。認知障害はその主要症状の一つで、作業記憶、空間学習、感覚統合に起こる障害。直前のことをすぐ忘れる、話したり読んだりしても意味がつかめない、自分が何をしているかが分からなくなるといった症状を示す。

研究チームは、グリア細胞の一つの遺伝子だけに異常のあるマウスを使って研究。このマウスでは電気信号が神経細胞間を伝わる速さが正常なマウスの半分程度で、脳の電子顕微鏡観察でグリア細胞の構造にわずかな異常があることを発見した。

異常は、神経細胞の突起に巻き付いているグリア細胞の端がきちんと閉じず、一部がはみ出した状態になっているというもので、巻き付き方自体は正常だった。

また、このマウスには認知障害の症状があることを実験で確かめた。具体的には、弱い音と強い音を続けて聞かせる実験で、正常なマウスは先の音に慣れて、後の強い音にはそれほど大きな反応を示さないが、グリア細胞に異常のあるマウスは、後の音にも同じくらい驚いたという。

グリア細胞は、脳内の神経細胞の周囲にある非神経細胞。神経細胞のサポート程度の役割を持つと考えられてきたが、近年、記憶や学習など、より高度な機能にかかわっていることが明らかになってきている。

2009年7月2日木曜日

ジンバブエ、中国から融資9.5億ドル

【6月30日 AFP】ジンバブエのモーガン・ツァンギライ(Morgan Tsvangirai)首相は29日、中国から総額9億5000万ドル(約910億円)の融資を確保したと発表した。 3週間の欧米歴訪から帰国したツァンギライ首相は、記者会見で、「わたしの不在中に、政府がテンダイ・ビティ(Tendai Biti)財務相を通して、中国から総額9億5000万ドルの融資を確保した」と述べた。(c)AFP

米、イラン拠点企業などに制裁 北朝鮮ミサイル拡散関与の疑い

【7月1日 AFP】米財務省は6月30日、北朝鮮のミサイル拡散に関与している疑いがあるとして、イランのキシュ島(Kish Island)に拠点を置く香港エレクトロニクス(Hong Kong Electronics)に対し、金融制裁を発動した。 財務省は、同社が北朝鮮の端川商業銀行(Tanchon Commercial Bank)と朝鮮鉱業開発貿易会社(Korea Mining Development Trading CorporationKOMID)を支援していたと指摘。これら2社は国連安全保障理事会(UN Security Council)の決議1718に違反しているとしているとして、米国および安保理の制裁リストに加えられている。 決議1718は北朝鮮に対し、核実験やミサイル発射実験の停止を求めており、各国による制裁が認められている。 香港エレクトロニクスは2007年以降、2社に代わり、ミサイル拡散関連の資金数百万ドルを送金したほか、KOMIDに代わってイランから北朝鮮への資金の移動を支援したという。 一方、米国務省は同日、平壌(Pyongyang)に拠点を置く核開発関連企業、南川江貿易(Namchongang Trading Corp)に同様の制裁措置を発動した。(c)AFP

2009年6月28日日曜日

頼み事は右耳から:「左耳と比べて2倍の効果」の理由


Image: flickr/THEfunkyman。サイトトップの画像は、イアリングで飾るマサイ族の青年たち。Wikimedia Commons

ここはイタリア。人いきれでむんむんする騒々しいダンスクラブで、1人の女性が近寄ってくる。テクノミュージックに声をかき消されないように、女性はぴったりと身を寄せて、あなたの耳元で声を張りあげる。「ねえ、煙草を1本いただけない?」

話しかけられたのが右耳だったら、あなたが煙草を差し出す可能性は、左耳に声をかけられた場合の2倍になる。これが、イタリア[アブルッツォ州]の都市ペスカラのクラブで行なわれた実験で得られた結論だ。

調査員の女性がクラブ客に話しかけたこの実験で、煙草を差し出したのは、右側から話しかけられた場合は88人中34人だったのに対して、左側からの場合は88人中17人にとどまったという。

これは、人間の両耳から入る音が脳内で別々に処理されていることを明らかにする、一連の研究における最新の成果だ。人は音声入力を右耳で聞きとることを好む傾向があり、両耳に刺激が与えられると、右耳に入ってきた音節のほうを優先する傾向があることは、かねてから指摘されている。脳科学者は、脳の左半球において右耳の聴覚の流れのほうが優先されるという仮説を立てている。脳の左半球は、言語の大部分が処理されている領域だ。

[言語野は大脳皮質の左半球にあることが多いが、右利きの人で数%、左利きの人で30〜50%程度が、右半球に言語野をもつことが知られている。電話での効き耳について研究している群馬大学の椎原康史教授によると、右は約20%、左は30%、両方は50%。8割の人は、メモを取る関係で左耳で通話を聞く習慣だという]

今回の研究で驚くべきことは、どちらの耳を選ぶかによって、自然な環境(すなわちこの研究を行なった研究者たちが「生態学的な環境」と呼ぶ場)にいる被験者たちの行動に、これほどまでにはっきりとした影響が出るという事実だ。右耳から話しかけられるほうが鷹揚な気分になれるのはなぜなのだろうか?

この実験を実施した、イタリアのG・ダヌンツィオ大学のDaniele Marzoli氏とLuca Tommasi氏によると、脳は左半球が積極的感情に、右半球が否定的感情にそれぞれ同調しているらしいという。右耳に話しかけられると、その言葉は、頼みを受け入れやすいほうの脳の部分に送られていく。

ストレートに煙草を求める実験のほかに、人々のやりとりを単に観察する実験、および、どちらかの耳に限定せずに煙草をくれと頼む実験も行なった。両氏がナイトクラブという場所を選んだのは、大音響の音楽のおかげで、煙草をもらう役の女性が相手に近づいて、片方の耳にじかに声をかけても、「奇妙に」思われずにすむからだ。

酔っぱらいがいっぱいの場所での実験は型破りに思えるかもしれないが、両氏は、実生活の環境で行なう研究は、きわめて人工的な実験室内で行なわれる心理学研究の偏りを是正する、価値あるものだととらえている。

「[脳の活動を記録する]イメージング技術が大々的に活用される時代だが、こういった技術は被験者に重大なストレスをかけ、自由に行動する場合の神経作用を観察しにくいということは明らかだ。脳の働きの"生態学的な"観察記録を提供し続けていくことがきわめて重要だということを、最後に述べておきたい」と、両氏は論文を結んでいる。

英国、日本への化学兵器攻撃を検討 大戦中の機密文書で明らかに

【6月27日 AFP】第二次世界大戦(World War II)中、米国による原爆投下の約1年前に、英国が東京への化学兵器攻撃を検討していたことが、26日に公開された秘密文書で明らかになった。

 この文書は英国立公文書館(National Archives)に65年間保存されされていたが、このほど秘密指定が解除された。

 文書は、1944年に民間人が暮らす地域に化学兵器を使用することを明確に提案している。これによると、まず、燃えやすい日本家屋を爆撃で破壊したあと、「より現代的な地域」を対象に毒ガスによる攻撃を行うとしている。

 計画が実行に移されることはなかったが、文書には最大限の被害を与えるための手法が克明に記されている。寒い冬の間はマスタードガスの効果が弱まる可能性があるため夏に攻撃することを推奨しているほか、強い雨は毒物を洗い流す可能性があるので、持続的な効果を得るには雨の合間をぬって攻撃すべきだ書かれている。

 また数多くの家屋が建ちならぶ道が狭い地域では、ガスの流れが悪くなるかもしれないと注意を促している。兵器としてはマスタードガス、ホスゲン、焼夷弾の使用が考えられるとしている。

 英国立公文書館の現代史専門家マーク・ダントン(Mark Dunton)氏は「米国より先に英国が日本の都市の大規模攻撃を考えていた可能性を示す点で興味深い文書だ。現在の感覚では民間人に対する化学兵器攻撃の効果がこれほど客観的に記述されていることはショッキングに思えるかもしれないが、戦争のプレッシャーがこのような恐ろしい論理を生みだした」と指摘した。(c)AFP

2009年6月20日土曜日

【ベトナム・インドシナ】10年後にコメ輸出ゼロも、ベトナム

6月19日8時30分配信 NNA
 農業地方開発省の栽培局は、国内のコメ生産が10年後には国内市場向けで手一杯になり、輸出に回せなくなる可能性を示唆した。 ベトナムは現在、年間約400万~500万トンのコメを輸出。タイに次ぐ世界第2位だ。しかし国内需要の増加と稲作地の縮小で、2020年にはその地位を維持するのは難しいと指摘している。  国営ラジオVOVニュースサイトによると、国内最大の穀倉地帯メコンデルタの2007年の収穫量は約1,900万トン、作付面積は190万ヘクタールを超えていたが、20年には収穫量は2,100万トンとあまり伸びず、作付面積は180万ヘクタールに減少することが予想されるという。これに対し、20年までに同地域の人口は300万人、全国の人口は1,300万人それぞれ増加する見込み。  一方で、ベトナム産のコメの価格が、世界平均を約20%下回っており、他国産に比べて利幅がはるかに小さいという。  ホーチミン市農林短大のファン・フー・ヒエン教授は、収穫力向上のため、機械化をはじめとする農業近代化促進を提唱している。<ベトナム>