2008年11月30日日曜日

タリバーン、アヘン取引の半分に関与の可能性 アフガン

カブール――国連薬物犯罪事務所(UNODC)は29日までに、アフガニスタンにおけるアヘン栽培動向に関する報告書を発表し、政権を追われたイスラム強硬派勢力タリバーンや軍閥が今年のアヘン取引量の約半分に関与している可能性があると指摘した。額にして5億米ドル(約480億円)と推定している。AP通信が報じた。
取引で得た資金を米軍や北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)、アフガン軍への攻撃、市民も巻き込んだテロ準備などに充てているとみている。報告書はまた、タリバーンはアヘンの価格操作を図るため備蓄などの手段も用いていると分析している。
アフガンは、ヘロイン製造の原料となるアヘンの世界最大の生産国。タリバーンが拠点とするアフガン南部ではアヘン取引が増えたともされる。UNODCによると、タリバーンがアヘンから得た収益は昨年で推定1億ドル。今年は激増していることになる。
ただ、今年の生産量については昨年比6%減の約7700トンになったと指摘。栽培に当たった農民も約100万人減ったと推定している。他国へのアヘン密輸額は総額で推定34億ドルともしている。
アフガンでのアヘン栽培の根絶を進めるためには、市場、「研究所」や密輸の車列などを破壊することが重要だと提言。密輸ルートは特に、同国南西部の国境付近に集中しているとも指摘した。
NATOは先月の国防相会議で、アフガンにおける治安維持にアヘン栽培が突き付ける脅威を認識すると共に、ISAFに対しタリバーンなど反政府武装勢力を支援している密輸組織への攻撃を認める決定を下している。
タリバーンは2001年末の米英軍事作戦で政権が崩壊したが、戦力を立て直し、自爆テロなど新たな手口と共に多国籍軍への攻撃を先鋭化させている。

2008年11月29日土曜日

中南米でのプレゼンス強化を図るロシア、立ちはだかる中国

【11月26日 AFP】ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領は、アジア太平洋経済協力会議(Asia-Pacific Economic CooperationAPEC)首脳会議後に中南米諸国を訪問し、米国のお膝元でロシアの存在感を積極的に主張するつもりだ。それに対し、専門家などからはメドベージェフ大統領にとって耳の痛い指摘がなされている――「話題の中心は中国だ」と。 メドベージェフ大統領は、APEC首脳会議開催地のペルー・リマ(Lima)で各国首脳と会談を行い、絶えず上機嫌な様子だった。同行した露メディアの記者団に対しても「同行を望む人がいれば、一緒に旅行を続けましょう」とその後の日程への同行を熱心に勧めた。 メドベージェフ大統領はAPEC終了後、ブラジル、そして反米を掲げるベネズエラとキューバを訪問する予定だ。ベネズエラでは、同国沖で行われるロシアとベネズエラの合同軍事演習を視察することになっているが、これは米国に対する挑戦的なメッセージだと受け止められている。 かつての冷戦時代を思い起こさせるように、メドベージェフ大統領は、ソ連時代に緊密な関係を保っていた中南米諸国とロシアとの新たな関係構築を希望している姿勢を強調する。 だが、露コメルサント(Kommersant)紙は、中国の胡錦濤(Hu Jintao)国家主席はリマ市内をオープンカーでさっそうとパレードし、APEC首脳会議でも敬意を払われたことと比較し、メドベージェフ大統領のリマ訪問は「エコノミークラス級」だと指摘する。 同紙はさらに、胡主席が数日前にキューバを訪問し経済援助を惜しげもなく供与したことを挙げ、メドベージェフ大統領に同行してキューバを訪問するロシアの企業関係者たちは、中国企業が見向きもしない契約しか取ることはできないと悲観的な見方を示す。 ロシアと中国は、表面上は上海協力機構(Shanghai Cooperation OrganisationSCO)に属する同盟国だといえる。だが、モスクワ(Moscow)在住の「世界の出来事の中のロシア(Russian in Global Affairs)」誌編集長のフョードル・ルキャノフ(Fyodor Lukyanov)氏はどちらが覇権を握っているかは一目瞭然(りょうぜん)だと指摘する。 ルキャノフ氏は「ロシアと中国は、世界各地、特に中南米において影響力を競っているが、中国の方がはるかに堅固な地位を確保している。国際的な影響力からいうと、別の土俵で戦っているようなものだ」と強調する。(c)AFP/Nick Coleman

2008年11月26日水曜日

「多次元理論」を証明する電子・陽電子対の観測に成功?

新しい実験において、暗黒物質の粒子の存在を証明する初めての直接証拠が見つかった可能性がある。物理学における最大の謎の1つを解明する鍵となるかもしれない発見だ。
理論物理学者たちは、WIMP(Weakly Interacting Massive Particle)でできている暗黒物質が宇宙の23%を構成していると考えているが、これまでWIMPの粒子のいずれかを直接観測した人はいなかった。[WIMPとは、電磁気的な相互作用をほとんど起こさず、電磁波では検出できない粒子からできている「冷たい暗黒物質」のこと]
物理学者たちは今回、ある種のWIMPが可視的な世界に入ることによって生じると予想されるものとほぼ同量のエネルギーを持つ電子を計測したと発表した。
ルイジアナ州立大学のJohn Wefel氏を含む研究チームは、気球式の粒子収集装置『ATIC』(Advanced Thin Ionization Calorimeter)を南極大陸の上空に飛ばし、電子を捕獲して電荷やエネルギーを測定した。[過去記事「反陽子を観測する実験、日米チームが南極で実施」では、文部省高エネルギー加速器研究機構・東京大学・神戸大学・文部省宇宙科学研究所・米国航空宇宙局(NASA)・メリーランド大学などのチームによる南極での研究について紹介している]
この結果として研究チームは、WIMPの対消滅[粒子と反粒子が衝突し、エネルギーや他の粒子に変換される現象]によって生成される、『カルツァ=クライン』的な電子・陽電子対を発見した可能性があるとする研究論文を、11月20日付で『Nature』誌に発表した
カルツァ=クライン粒子(KK粒子)は、宇宙の多次元理論によって[第5の次元方向に運動量を持つ重量子として]存在が予測されている粒子で、長い間、暗黒物質の構成要素として有力候補の座にある。
今回の新しい発見が確認されれば、時空の構成には、人間が知覚できる4次元だけでなく、多数の「コンパクトな」次元があるという証拠になるだろう。
カルツァ=クライン理論における対消滅の説明が正しいと証明されれば、こうした多次元宇宙に関するより徹底的な調査が必要になるだろう。これは、われわれの宇宙の理解に重要な意味をもたらす可能性がある」と、研究論文の執筆陣は結論付けている。
天文物理学者らは、目に見えない暗黒物質とダークエネルギーは合わせて全宇宙の約95%を占めると考えており、多くの研究チームがその解明に取り組んでいる。こうした暗黒物質やエネルギーが存在するという証拠の多くは、間接的な観測によって得られたものだ。
物理学者のMyungkook James Jee氏が2007年にワイアードの取材に対して述べた(英文記事)表現を借りれば、「われわれは風そのものを見ることはできないが、それが吹いているのを見ることはできる」というわけだ。したがって、暗黒物質が初めて直接観測されれば、画期的な大発見となるだろう。
だが、今回の新しい発見は、KK粒子の存在を確実に示すものではない。ハーバード大学の天文物理学者Yousaf Butt氏は、今回の研究論文に添えられた論説の中で、これらの高エネルギー電子の生成については、他の天体によって説明できる可能性があると指摘している。
超新星、回転するパルサーマイクロクエーサーといった天体の残骸が、今回の観測結果をもたらしたのかもしれない。あるいは、さらに奇妙な現象がある可能性もあるという。
「さらに、まったく新しい種の天体物理学上の物体によって、観測された電子過剰が引き起こされた可能性があるということを忘れてはならない。結局のところ、パルサーがようやく発見されたのも1967年だ。さらにおめでたいことに、1992年まで、私たちはマイクロクエーサーについて気づいていなかったのだ」と、Butt氏は記している。

「誰もが持つ共感覚」――催眠を使っての誘発に成功

心理学者のチームが、催眠を使って、数字が色として感じられる共感覚の状態を引き起こすことに成功した。
このような共感覚は、およそ1000人に1人が生まれつき持っているもので、物理学者のリチャード・ファインマンや、作家のウラジーミル・ナボコフなど、歴史上の著名人にも共感覚者のいることが知られている。
ナボコフは、「『q』は『k』よりも茶色の度合いが強い色をしており、『s』は『c』のようなライトブルーではないが、空色と真珠色の混ざった不思議な色合いをしている」と書いている
こうした感覚は長い間、空想の産物として無視されてきたが、現在では、知覚の謎を解く入り口と考えられている。ただ、科学的な関心が高まっているにもかかわらず、いまだ共感覚のメカニズムは解明されていない。
研究者の間では、主に2つの仮説が立てられている。どちらも最初の部分は同じで、人間はそもそも、異なる種類の感覚に関連する脳の領域が、互いに連絡しあった状態で生まれてくると考えている。
一方の仮説によると、その後、それらの連絡は発達の過程で失われるが、共感覚者の場合は何らかの形で連絡が残るか、新たに連絡ができるという。もう一方の仮説は、共感覚を生じさせる連絡はただ機能が退化しているだけで、条件が整えばアクセスが可能になると主張している。
このほど『Psychological Science』誌に発表された研究結果は、機能退化説を裏付けるものだ。催眠によって誘発された共感覚が、自然に見られるものと同じかどうかという疑問はまだ残る。しかし、今回の研究結果によって、潜在的な共感覚が実は全く珍しいものではない可能性が高くなった。
イェール大学の心理学者で共感覚を研究するLawrence Marks氏は、今回の研究には参加していないが、次のようにコメントしている。「これほど短時間に誘発がなされたという事実は、脳が新たなニューロンを作ったり、新たな連絡を形成したりしているのではないことを意味する。連絡は常に存在しているのかもしれない」
ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジのRoi Kadosh氏と、スペインにあるムルシア大学のLuis Fuentes氏が率いた研究チームは、女性3人と男性1人の被験者を催眠状態にして、数字を色で知覚するように指示した。1は赤、2は黄、3は緑、という具合だ。
その後、[催眠状態のまま]目を開けた被験者は、対応する色をした背景に黒のインクで印刷された数字をなかなか見つけられなかった。数字が背景に溶け入って見えたためで、これは共感覚を示すものだ。催眠状態が解かれると、共感覚は消えてしまった。
共感覚がなぜこのような短時間で生じるのかは不明だが、研究チームによると、新たな神経連絡が形成されているわけではなさそうだという。「そのような解剖学的な連絡が新たに生じ、機能し始め、そして突然退化するというのは、今回の実験のような短時間では考えられない」と研究論文には書かれている。
代わりに研究チームは、脳の感覚を扱う各領域を隔てている神経の壁が、催眠によって取り除かれた可能性を示唆している。イェール大学のMarks氏も同じ考えを示したが、その一方で、今回の研究結果から安易な推断を下すことには警告を発した。共感覚には、感情が見えるというものや音を味覚で感じるものなど多くの種類があり、神経学的、心理学的な原因はそれぞれに異なる可能性があるためだ。

ディーゼル燃料を自然に生成する真菌、熱帯雨林で発見

パタゴニア(アルゼンチンとチリの南部)の熱帯雨林の木々の内部に生息する真菌が、ディーゼル燃料に驚くほどよく似た炭化水素の混合物を自然に作り出すことを、生物学者たちが11月3日(米国時間)に発表した。
この真菌は、セルロースを分解して取り込み、成長することができる。木の幹や草の葉、茎などを構成する主要要素であるセルロースは、地球上で最も豊富に存在する炭水化物だ。
モンタナ州立大学の植物学者であり、『Microbiology』に発表された今回の発見を説明する論文の主執筆者を務めたGary Strobel教授はこう語る。「[生成する]気体の分析結果を見たとき、私は仰天した。ディーゼル燃料のもとになる物質が見つかったのだ」
遺伝子工学の研究者たちは、さまざまな技術や遺伝子を使って微生物に糖やデンプンから燃料を作らせようと試みているが、現在の商用バイオ燃料生産のほぼすべては、100年前と同様の穀物の乾式粉砕工法を利用している。エタノール工場では、トウモロコシの実を発酵させてアルコールを作っている。これは単純な方法だが、トウモロコシという植物全体を形作るバイオマスのかなりの部分を無駄にしている。
植物のセルロース(トウモロコシの実ではなく茎や、ポプラの木の部分など)を使って液体燃料を作ることは、環境的な効率が高く、原料費も安くなるが、はるかに難しいため、長年の夢となっていた。
まず、セルロースを、その構成要素である炭素を含む糖に分解する必要がある。次に、この糖をより複雑な炭化水素に合成しなければならない。これまでの研究では、どちらの処理も、大量の熱、圧力、または薬品を加えることなく実行するのは困難なことが示されてきた。
米農務省林野部の太平洋南西部研究所で細胞壁の形成を研究する植物遺伝学者のAndrew Groover氏は、次のように述べる。「このような処理には多くのエネルギーをつぎ込む必要があり、大量の薬品も必要だった。そこで、これを解決するアプローチの1つが、自然界において日常的に木を分解している有機体を探すことだ。たとえば、木を腐らせる菌、真菌類、シロアリなどだ」
今回発見された真菌「グリオクラディウム・ロゼウム(Gliocladium roseum)」の何が素晴らしいかといえば、セルロースを分解できるだけでなく、液体燃料を合成できることだ。
「生産工程の1つを省略できるだろう」と、Strobel教授はプレスリリースの中で述べている。
とは言うものの、論文の執筆者たちは、その手法がいかなる工業生産ともかけ離れていることを認めている。
論文には次のように書かれている。「この論文は、グリオクラディウム・ロゼウムを代替燃料源にするための、費用効果などの詳細に関する情報を提示するものではない。この真菌の最終的な価値は、炭化水素の合成を制御する遺伝子または酵素にあると考えられ、本論文はこのことを商業的な事業にする開発計画を導くために必要な第一歩だ」
この真菌のゲノムは、Gary Strobel教授の息子である分子生物学者のScott Strobel教授の指揮のもと、イェール大学で分析される予定だ。
しかし、バイオ燃料の生産に利用すること以外にも、興味深い点がある。Strobel教授はこの真菌について、原油は化石燃料であるという考えに疑問を投げかけるものだと述べている。われわれが通常、原油の構成要素と考えているものを作り出せるためだ。
「このような有機体が、世界に存在する原油の少なくも一部を生成した可能性がある」とStrobel教授は述べている。
[月桂冠綜合研究所では、稲藁や籾殻などのセルロースから、「スーパー酵母」を使って直接エタノールを作成する技術を発表している]

露、外国軍需貨物の領内通過を初めて許可 アフガン駐留独軍向け

【11月21日 AFP】ロシア外務省は20日、ドイツ軍がアフガニスタン駐留部隊向けに輸送する軍需物資のロシア領内通過を承認したと発表した。同省の声明によると、許可は10日に出され、「共通の問題への取り組みや治安問題などの分野における、ドイツとの緊密な協力関係を強化するため」として、兵器や軍事品の領内通過を認めている。 ロシアは4月以降、フランスやドイツなどがアフガニスタンに展開している北大西洋条約機構(NATO)軍部隊向けに行う物資輸送について、非軍需物資に限って領内通過を認めている。ただ、軍需物資輸送を許可するのは初めて。第2次大戦で戦火を交えたドイツが相手とあって、非常に象徴的な協定となった。 ドイツ軍はシベリア鉄道を利用し、中央アジアを経由してアフガニスタンに物資を輸送するとみられる。(c)AFP

中国経済にかげり、家財を売る人も

【11月25日 AFP】中国の中小企業経営者らが加盟する経済団体は24日、資本金30億元(約430億円)のベンチャーキャピタルファンドを設立することを発表した。好調を続けてきた中国経済も、世界金融危機の影響でかげりが見え始め、金を工面するために所持品を売り払う人びとも増えている。(c)AFP

2008年11月21日金曜日

右脳と左脳、構造の違い発見 生理研

 自然科学研究機構・生理学研究所(愛知県岡崎市)の重本隆一教授らのグループは、右脳と左脳の構造の違いをマウスの脳で初めて見つけた。記憶や空間認識をつかさどる「海馬」という部位で、神経同士のつなぎ目であるシナプスの大きさや形が異なることを明らかにした。ヒトの脳の仕組みの解明にも役立つ成果だという。 右脳が空間を認識し、左脳は言語機能を担うなど、左右の脳の働きの違いは心理学的な研究で分かってきたが、構造の違いを解明したのは初めてという。米科学アカデミー紀要の電子版に掲載された。 マッシュルームのような形をしているシナプスを電子顕微鏡で観察した結果、右脳は左脳より総じて1.5倍程度大きく、かさに当たる部分も広がっていることが確認された。神経に情報を伝える化学物質グルタミン酸のセンサーが右脳のシナプスに多くあることも分かった。右脳の方が情報伝達の効率がよくなっているとみられる。

EU農相理、農業補助金削減で合意 生産規模との連動廃止

 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)の加盟27カ国は20日の農相理事会で、農業補助金を削減する改革案に合意した。農産品の生産規模に応じて補助金を支給するシステムを原則的に廃止するほか、牛乳の生産枠を段階的に撤廃するのが柱。全体の補助金支給額は2009―12年で5%削減する。日米欧の先進国の農業補助金政策には途上国からの批判が強く、EUによる補助金改革は世界貿易機関(WTO)農業交渉にも影響を与えそうだ。 18日に始まったEU農相理事会は補助金改革で議論が紛糾し、20日朝にようやく合意に至った。欧州委員会のフィッシャーボエル委員(農業担当)は記者会見で「譲歩はあったが、補助金の改革案の骨格は変わっていない」と強調した。 加盟国の農家に支給される農業補助金はEU予算全体の約40%を占める。人口の3%にあたる農業関係者に多額の補助金が使われており、欧州委は補助金の大幅な削減を提案。これにフランスやドイツ、イタリアなどが抵抗していた。

【シンガポール】ネズミからインスリン、ASTAR開発

11月21日8時0分配信 NNA
  科学技術研究庁(ASTAR)傘下の医学生物学研究所(IMB)は20日、ネズミの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)からインスリンを生成する技術を開発したと発表した。糖尿病患者の治療に効果を発揮すると期待されている。  IMBとシンガポール国立大学(NUS)のヨンルーリン・スクール・オブ・メディスン(YLLSOM)との共同研究で発見した。膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリン生成細胞と同様の構造を持つ。  血糖値の高いネズミにインスリンを生成する細胞を移植したところ、同値が下がったことを確認。この細胞を再びネズミから除去しても、血糖値は正常レベルを維持したという。奇形の危険性もなかった。  YLLSOMのリム・サイキャン準教授は、「われわれの技術は、ES細胞からインスリン生成細胞を分離し増殖させること」と語り、実用化に向けた研究をさらに進めていくとの考えを示した。  今回の研究成果について、米ハーバード・メディカル・スクールの医学島移植プログラムのディレクターを務めるゴードン・ウェイアー氏は、「印象的であり、膵臓のベータ細胞の生成研究に役立つ」と語っている。

海賊景気に沸く港町 ソマリア 英雄視される風潮

11月21日8時1分配信 産経新聞
 ソマリア沖を航行する船舶を乗っ取ってもうけた身代金により、“海賊の町”が繁栄している。高騰する身代金目当てに海賊を志す住民たちが増えている-と英国の専門家も警鐘を鳴らす。無政府状態に苦しんでいたソマリアの貧村はどのように変貌(へんぼう)したのか。欧米メディアは、海賊を英雄視する風潮が広がる海賊の拠点の実態を伝えている。 AP通信によると、ソマリア沿岸部のハラデレは今、レストランやインターネットカフェが次々とできてにぎやかだ。補給のために上陸する海賊をあてにした売店も設けられている。“海賊景気”の恩恵を受け、非常に高価な自家用発電機を購入できる住民も出てきた。 沖合には、海賊によって乗っ取られたサウジアラビアの大型石油タンカーが係留されている。タンカーがやってきた際、住民たちは集まって祝った。 「海賊は私たちを頼り、私たちは海賊からもうける」と、商店を営む女性はAP通信に語った。海賊に対する女性の信頼は厚く、店では海賊がツケで買い物ができる。身代金入手後に支払うという。 5人の子供を持つ別の女性は、「合法だろうが非合法だろうが、こうしたお金によって、私たちの町の生活が始まったのだ」と述べた。 約20年間、無政府状態が続くソマリアでは、イスラム原理主義勢力と暫定政府軍の戦闘などのため、治安が極度に悪化している。 AP通信によると、住民の平均寿命は46歳、4人に1人が5歳未満で死亡する。海賊が身代金を町で浪費することによって、仕事が生まれ、住民は収入を得ることができるのだ。 ロシア製戦車などを積んで乗っ取られたウクライナの貨物船が、沖合に係留されているソマリア北東部のエイルでも同様の状況だ。英紙ガーディアン(電子版)によると、町には海賊向けのホテルや、食事を用意するレストランが急ごしらえされた。海賊船に燃料を売って稼ぐ業者もいる。ほかの町では15ドルの麻薬がエイルでは65ドルで売れるといい、景気のよさがうかがえる。 「(身代金が入ると)われわれは最初にすてきな家や車を買う。それから銃やほかの武器を買い、残りの金は息抜きに使う」と語るのは、北部ガロウェの海賊の1人だ。豪邸に住み、高級車に乗る。海賊が妻を増やすのも、習慣のようになってきた。 海賊の豪華な結婚式に出席したガロウェの21歳の女性は、「女性が海賊との結婚に興味を持っているのは本当。普通の男性にこんな結婚式はできない」と同紙に語っている。(宮下日出男)

核兵器使用の危険増大=25年までの近未来世界-米情報機関分析

11月21日14時38分配信 時事通信
 【ワシントン21日時事】米中央情報局(CIA)など各情報機関を統括する国家情報長官室は20日、2025年までの近未来世界を予測する報告書を公表し、紛争に際して核兵器が使用される危険性が著しく増大するとの分析を明らかにした。 この報告書は「世界の潮流2025」と題されたもので、計約120ページ。同長官室傘下の分析機関である国家情報評議会が作成した。報告書は、今後20年足らずの間に核兵器技術の拡散が進み、限定的核使用という選択肢が生じるとのシナリオを示し、核拡散防止の取り組みを強化するよう警鐘を鳴らした。

ぜんそく原因細胞 理研が発見

11月21日8時5分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
 理化学研究所免疫制御研究グループの研究チームはアレルギー性ぜんそくなど気道過敏症を引き起こす細胞を突き止めた。ぜんそく治療薬の開発に向けて大きな前進が見込まれる。 アレルギー性ぜんそくは国内患者数が約300万人にのぼり、死者数も年間3000人に及ぶ。しかし、ハウスダストや花粉などアレルゲンなど外的刺激が要因とされてきたが、具体的な発症メカニズムは解明されていなかった。 研究チームは、気道過敏症に中心的な役割を果たす細胞が、受容体「IL-17RB」を発現するNKT細胞であることを発見した。マウス実験で、IL17RB陽性のNKT細胞を移入するとぜんそく症状が現れた。 今後、IL-17RBを発現したNKT細胞の機能を抑制する治療薬を開発することでアレルギー性ぜんそく克服が可能になる。

2008年11月15日土曜日

心臓移植、同性間でリスク低いと 米研究

ルイジアナ州ニューオーリンズ(AP) 同性間で心臓を移植した方が、異性間の移植よりも、術後の生存率が高く、拒否反応のリスクが低いとの統計結果を、 米国の研究者が12日、当地で開催中の米国心臓協会学術集会で発表した。術後の経過が最も良かったのは男性同士の移植で、逆に悪かったのは女性の心臓を移 植された男性だった。

ジョンズ・ホプキンス大学のエリック・ワイス博士らは全米臓器分配ネットワーク(UNOS)の記録を元に、1998年から2007年までに心臓移植手術を受けた1万8240人について調査した。

その結果、心臓移植までの待機期間は男性が119日、女性が108日。移植手術を受けた患者の4分の3は男性だった。男性患者の77%、女性患者の51%が、同性のドナーから心臓提供を受けていた。

同性から心臓提供を受けた場合、術後1年間で拒否反応が出るリスクは13%減、同3年間では14%減だった。

また、術後30日以内に死亡するリスクは24%減少し、1年後の死亡率は20%下がっていた。

研究者は違いが出た原因とて、心臓の物理的な大きさが男女間で差があることのほか、ホルモンや免疫システムの違いが関係しているのではないかと見ている。

米国では毎年、約2700人が心臓移植手術を待っているが、手術を受けられるのは約2200人にとどまっている。また、患者の中には最初の手術がうまくいかず、2度目の移植を受ける人もいる。

1968年の米軍機墜落事故、核爆弾1個がいまだ未発見の可能性−デンマーク領グリーンランド 

2008年11月4日火曜日

「冬時間への移行は心臓にやさしい」 スウェーデン研究

ニューヨーク(AP) 多くの欧米諸国ではこの時期、夏時間(サマータイム)が終了し、時計の針を1時間戻して冬時間(標準時間)に移行する。この制度が健康に与える影響を調べたスウェーデンの研究チームによると、冬時間への移行直後は心臓発作の発生件数が減少し、夏時間に切り替えた後は逆に件数が増えることが明らかになった。

スウェーデンの国立健康福祉局で睡眠と健康の関係などを研究しているチームが、米医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の最新号に報告した。

チームのメンバーが夏時間への移行後に眠気やだるさを感じた経験から、研究を思い立ったという。考えられるさまざまな影響のうち、特に心疾患に注目。同国では心臓発作の発生状況が詳細に記録されており、チームでは1987年から2006年までのデータを分析した。

夏時間と冬時間の切り替えは、日曜日に実施される。研究チームはまず、各年の移行日から7日間の発生件数を調べ、それぞれについて2週間前、2週間後の同じ曜日の数字と比較した。それによると、冬時間から夏時間への移行日に続く週は、発作が平均5%増加していたことが分かった。月、水曜日は前後の同じ曜日と比べて6%、火曜日は10%も多かった。一方、夏時間から冬時間に移行した翌日の月曜日は、発作が5%減少していたという。

夏時間が始まる日曜日には時計を1時間進めるため、翌日の月曜日はそれまでより1時間早く起きることになり、睡眠時間が短縮する。逆に冬時間になった直後の月曜日は、いつもよりゆっくり眠っていられることになる。わずか1時間とはいえ、これが体調に大きく影響するというのが、研究者らの見方だ。睡眠時間の増減は血圧や血糖値、血中コレステロール値、血管の状態など、循環器系にさまざまな変化を引き起こすことが知られている。

この研究を受け、米ミシガン大睡眠障害センターのロナルド・チャービン所長は「現代人は普段から睡眠不足に陥りがちだが、夏時間に移る時は数日前から毎日15分ずつ早く起きるなどして調整すると、体への負担が抑えられる。冬時間への移行日には、1時間長くなる睡眠時間を体調管理にうまくいかすよう心がけて」とアドバイスしている。

豪州、NZとEUに日本分の負担打診、北朝鮮への重油支援

ソウル—— 北朝鮮が寧辺の核関連施設を無能力化する見返りに6者協議参加国が提供を約束した重油100万トン相当のエネルギー支援で、韓国の柳明桓・外交通商相は1日、日本に割り当てられた20万トン相当について、米国がオーストラリア、ニュージーランドや欧州連合(EU)に肩代わりを打診したことを明らかにした。

AP通信によると、韓国紙に語った。日本は拉致問題が進展しない限り、エネルギー支援への参加を拒否している。北朝鮮は日本の立場を受け、6者協議から日本を締め出すことなども要求している。

米国の打診に対するオーストラリア政府らの対応は不明。重油20万トンは約1億ドル(約98億円)相当とされる。

「中国での移植手術、臓器の90%は処刑された囚人から」:『Lancet』が報告

英国の医学雑誌『Lancet』誌に掲載された新しい記事によると、中国の移植手術で使用される臓器の90%は処刑された囚人から摘出したものだという。[購読には登録が必要。同記事によると、この部分の出典はJiefu Huang氏による論文『Ethical and legislative perspectives on liver transplantation in the People's Republic of China』 Liver Transpl 2007; 13: 193-196]

中国においてはこのところ、倫理に反する行為を取り締まろうという動きが見られるが、この衝撃的な数字は、同国の臓器移植体制に手を加える必要があることを示す1つの指標だ。(囚人の)臓器提供者の人権、「医療ツーリズム」の広がり、移植用臓器の質についての大きな問題がそこにはある。

中国衛生部副部長Jiefu Huang氏を含む記事の執筆者たちは、次のように述べている。「医療専門家による行為を規制し、臨床治療の基準を定め、臓器に対する過度の需要と限られた供給との均衡回復を図るための法的枠組みが早急に必要とされている」

Lancet誌上では、中国の医療システム改革に関する一連の記事が大規模に展開されており、臓器移植に対する規制を求める記事はその1つだ。中国経済は急速に成長しているが、社会基盤はそれに追いついていない。13億人の国民の健康をどうやって維持していくかをありのままに論じた記事が多数掲載されている。

アムネスティ・インターナショナルは、公的報告書に基づいて、2007年に中国で少なくとも470人が処刑されたと見積もっているが、実際の人数はこれよりはるかに多いと見られるとも述べている。臓器に関する今回のデータは、アムネスティの見方を支える傍証となるもので、2006年だけでおよそ1万1000件の臓器移植手術が実施され、主に腎臓と肝臓が移植されているという。

「社会発展の長期的目標は死刑を廃止することだが、それまでは、囚人の権利と要望を保護し、刑務所のシステムから移植プログラムを分離するための規制が必要だ」と、執筆者たちは結論づけている。

[Lancetの記事によると、中国では臓器移植手術が世界で2番目に多く行なわれている。過去記事「3000ドルの腎臓が8万5000ドルになる理由」では、臓器の売買が法的に許されているフィリピンなど、世界の臓器移植事情を紹介している]

2008年11月3日月曜日

米アフガン戦略見直し、タリバンとの対話路線が浮上

【10月28日 AFP】米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)オンライン版は28日、米政府がアフガニスタン戦略を大幅に見直し、アフガニスタン政府と同国の旧勢力タリバン(Taliban)の一部との協議に、参加を検討していると報じた。

 同紙によると情報源はある政府高官で、「米政府高官と軍幹部は、アフガニスタンおよび隣国パキスタンにおける作戦の、あり地獄的な事態を好転させるためには、タリバンの最高指導者たちを除いた下位の幹部らとの接触が有効だ」と考えている。
 
 新方針は米国のアフガニスタン戦略を評価したホワイトハウス(White House)への極秘報告書の中の、提言の草案部分で触れられているという。協議はアフガニスタン政府の主導で行うが、「米国の積極的な参加を伴う」と記されている。最終的な提言は11月に入り、米大統領選後ににまとめられる見通し。

 10月初旬にはアフガニスタン高官が、タリバンの旧政権高官らとサウジアラビアで会見した。

 アフガニスタンでは、同国の治安部隊を支援する各国の部隊計数万人が駐留しているが、タリバンによる反政府活動は存在を増す一方となっている。一方で各方面には、軍事行動のみでは衝突や襲撃はなくならないという見解の一致もある。(c)AFP

オバマ氏の世界的人気、幻想が背景に 米専門家

【11月1日 AFP】米民主党の大統領候補バラク・オバマ(Barack Obama)上院議員は、今や世界中で熱狂的な人気を集めている。

 英国放送協会(BBC)が世界22か国、2500人を対象に行った調査では、選挙権があればオバマ氏に投票すると回答したのは全体の42%、マケイン氏はわずか12%だった。特に欧州でオバマ氏の人気は高い。

■人気の秘密は「幻想」?

 しかし、オバマ氏の世界的人気は、同氏の政策を人びとがよく理解していないからだと指摘する専門家もいる。

 米ニューヨーク(New York)のニュースクール大学(New School University)講師、マックス・ウォルフ(Max Wolff)氏は、オバマ氏の海外でのイメージと実際の政策方針には大きな隔たりがあると指摘する。

 米国と欧州でオバマ氏は変革を起こす人物だという認識が広がっているが、ウォルフ氏は、経済と外交という2大重要分野で大胆な政策転換は望めないと言う。

 たとえば、オバマ氏の外交政策ブレーンには、イラク戦争の提案者の1人と言われることもある副大統領候補のジョセフ・バイデン(Joseph Biden)上院議員や、ジミー・カーター(Jimmy Carter)政権時代の元国家安全保障担当大統領補佐官でタカ派として知られる、ズビグニュー・ブレジンスキー(Zbigniew Brzezinski)氏がそろっている。

 ウォルフ氏は、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領は「米国の最も悪い面」を体現する存在として、逆にオバマ氏は「米国のすべての善い面」を体現する存在として欧州の人々の眼に映っているが、そのいずれも、現実とまったく無関係ではないものの、基本的には幻想だと指摘する。

■あくまで米国の大統領

 米国の有力シンクタンク、ブルッキングズ研究所(Brookings Institution)のフランス人歴史学者ジュリアン・ヴェッス(Julien Vaisse)氏は、オバマ氏の政治、経済、社会政策は米国人の視点で見なければならないと語る。同氏によると、民主党は政策面で共和党よりずっと欧州に近いものの、健康保険の対象拡大を掲げるオバマ氏の公約は、欧州で採用されている国民皆保険制度に遠く及ばないものだ。

 また、欧州に存在しない死刑制度について、オバマ氏はイリノイ(Illinois)州議時代に死刑を求められた被告を保護する制度を導入しているが、死刑廃止論者ではないという。銃の所持を許可する法律についても、オバマ氏は抜本的改革を提案していない。

 ヴェッス氏によると、多くの政策課題に対するオバマ氏のあいまいさが選挙戦で奏効しているという。つまり、オバマ氏が与える柔軟なイメージによって、人びとはそれぞれのアメリカンドリームを同氏に投影できるのだという。「オバマ氏が黒人だという事実も大きな役割を果たしている。彼は米国の肯定的側面なのだ」(c)AFP/Francoise Kadri

2008年11月1日土曜日

中国、チャイナマネーで世界に攻勢

 世界で最も豊富な外貨準備を抱える中国が攻撃的な対外援助に乗りだしている。金融危機で米国が揺らぐ中で、巨額のチャイナマネーを武器に国際金融秩序の再編と自国の発言権拡大を狙っているのだ。

◆中国の援助攻勢

 温家宝首相は30日、カザフスタンで開かれた上海協力機構(SCO)首脳会談で、共同プロジェクトを立ち上げるため加盟国に低利融資を行うと宣言した。温首相は28日にロシアのプーチン首相と会談した際にも、今後20年間にロシアから原油1500万トンを購入する代金として、250億ドル(約2兆4700億円)をロシア側に先払いすると約束した。

 中国はまた、ブラウン英首相などから資金不足に直面している国際通貨基金(IMF)への拠出拡大を求められたのに対し、「可能な範囲内で積極的に検討している」(30日の外務省定例会見)と前向きな姿勢を示した。3日には台湾に中国の十大銀行トップを派遣し、金融協力について協議を行い、香港の対しても「多角的な支援」を表明するなど、中国は中華経済圏の危機の火消し役を自認している。

◆人民元を世界の基軸通貨に

 カザフスタンなど中央アジアのSCO加盟4カ国に対する経済的支援は、西側勢力の影響力拡大と中国の新疆ウイグル自治区におけるウイグル族の独立運動という内憂外患を抑え込むことができるカードだ。香港と台湾を支援する最大の理由は、中国にとって1、2位の貿易相手である両地域が没落すれば中国経済に大きな打撃を与えるからだ。

 しかし、専門家は中国がさらに大きな構想を抱いていると分析する。AP通信は最近、「中国は人民元が世界の基軸通貨の一つとなり、新たな世界経済秩序の中で大きな発言権を持つことを望んでいる」と報じた。中国はその試みとして、ロシアとの貿易決済通貨に人民元とルーブルを使おうとしている。

 ただ、慎重論もある。31日付共産党系日刊紙、光明日報は「中国は依然として開発途上国であり、中国が今回の金融危機から世界を救うことができるという西側の『中国救世論』は誇張されたものだ」と主張した。

「Twitter」をテロリストが活用する可能性、米軍が警告

【10月26日 AFP】米陸軍は、人気のマイクロブログサービス「Twitter」やGPS(Global Positioning System)地図、ボイスチェンジャー(音声変換)ソフトなどが、テロリストに利用される危険性があるとする情報報告の草案をとりまとめた。米陸軍の第304軍事情報大隊(304th Military Intelligence Battalion)が、米シンクタンク「全米科学者連盟(Federation of American ScientistsFAS)」のウェブサイトに発表した。

 この報告書は、一般に公開された情報を収集・分析して、さまざまな移動通信技術やインターネット技術について、武装勢力が利用する可能性を検証している。秘密情報ではなく公開された情報に基づく分析手法はオープンソースインテリジェンス(open source intelligenceOSINT)と呼ばれている。

 米カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)で7月に起きた地震では、Twitter利用者が報道機関よりも早く情報を伝え、また、米ミネソタ(Minnesota)州で行われた米大統領選挙の共和党大会では、活動家らが警官隊の情報を共有するためにTwitterを活用するなど、Twitterの活用は広がっている。

 報告書の中で、「テロリストが米国内でTwitterを利用することは理論的に可能」と述べた。

 また、Twitter以外にも、GPSシステムや音声変換などの技術をテロリストが使用する可能性についても触れ、「テロリストがすでに実際に利用しているかどうかはわからないが、インターネット上でテロリストとその支援者ら音声変換ソフトについて議論しているという事実は興味深い」とした。(c)AFP