2010年9月22日水曜日

ゲームは「迅速な判断力」を向上させる:研究結果

アクション満載のシューティング・ゲームは、感覚情報をすばやく正確な判断につなげるという能力を向上させるようだ。

アクション・ゲームのプレイヤーたちは、正確さを失うことなく、より迅速な決断を下すための根拠となるさまざまな視覚的・聴覚的な兆候を検出する領域において鍛えられているという論文が、9月14日付の『Current Biology』に掲載された。これは、研究者たちの間で確率的推論(probabilistic inference)と呼ばれている技能だ。

特定の解決策がある問題を取り扱うような、ゆっくり進行するビデオゲームとは異なり、アクション・ビデオゲームでは、予測できない脅威や難題が次々に降りかかる。たとえば、世紀末後の風景の中で、どこから襲ってくるかわからないゾンビたちを殺すといった練習を数多く重ねるプレイヤーは、自らの確率的推論の能力を鍛えていることになると、論文をまとめた研究者の1人で、ロチェスター大学のDaphne Bavelier教授(心理学)は説明する。

「われわれの研究で驚いたことは、アクションゲームは、ゲームにおける確率論的推論の能力を向上させただけではなく、ゲームとは無関係の、退屈な作業でもその能力を向上させていたことだ」とBavelier教授は述べる。

Bavelier教授の研究グループでは、過去1年間にわたり週に5回以上アクション・ビデオゲームをしたと申告した11人の男性と、過去1年間にアクション・ビデオゲームをしたことがないと申告した12人の男性についてテストを行なった。どちらのグループの参加者も平均年齢は19〜20歳だった。

各グループの被験者たちは、コンピューター画面に表示されるドットの配列を見て、ドットの集まりが動く中心となる方向を、2秒以内に適切なキーを押して示すという操作を行なった。配列の難易度はそれぞれ異なり、ほとんどすべてのドットが同じ方向に動くものもあれば、半分をわずかに超えるドットだけが同じ方向に動くものもある。

すべての難易度において、アクション・ゲームに慣れているグループは、ゲームをしたことがないグループよりも、かなり反応が速かった。難しいものほど反応が速くなる一方、ドットの動く方向の検出はどんなゲームでも正確だった。

ゲームに慣れているグループは、聴覚による作業でも、速度について同様の優位性を示した。ヘッドフォンを通して背景となる雑音を聞きながら、さまざまな周波数で振動する音が右と左のどちらから聞こえるかを聞き分けるというものだ。

ゲーマーの中には、生まれつき確率的推論の技能が優れている人がいることも考えられるが、アクション・ゲームをすることによって知覚情報を分析する能力が高まることが追加実験で示されている、とBavelier教授は説明する。

Bavelier教授のチームは、ゲーム経験の無い人たちにゲームをしてもらう別の実験も行なった。この実験では、ランダムに指名した7人の男性と 7人の女性に、1日2時間、合計で50時間にわたり2種類のアクション・ビデオゲームをしてもらった。別の4人の男性と7人の女性には、同様の条件でシミュレーションゲームをプレイしてもらった。こちらは、キャラクターの人生を導いて特定の目標を達成させるというビデオゲームだ。

どちらのグループも、課題の完了後はゲームのスキルが著しく向上していた。しかし、アクション・ゲームをしたグループの方が、シミュレーション・ゲームをしたグループよりも、ドットや雑音のテストにかなり速く反応し、正確さも優れていた。

ビデオゲームを通した能力向上が、例えばパイロットが難しい状況で着陸させるというような他の技能にも影響するか、するとすればどの程度か、については、さらなる研究が必要だという。

北朝鮮の権力機構

【9月21日 AFP】朝鮮中央通信(Korean Central News Agency、KCNA)は21日、北朝鮮の労働党代表者会を28日に平壌(Pyongyang)で開催すると発表した。「党最高指導機関の選挙のため」としている。

 代表者会は、金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記(68)から三男ジョンウン(Kim Jong-Un)氏(推定27)への権力移譲の地ならしの意味合いがあると、広く目されている。

 北朝鮮の権力機構について以下にまとめた。

■朝鮮労働党

 金総書記の影響力は、軍部も参画する政体のもとで衰えを見せている。08年に脳卒中で倒れた金総書記は、党を再び活性化させ、最高指導者の世襲制支持派を最高指導部に抜擢したいと考えていると思われる。
 
 代表者会では、まず党のかなめである党中央委員が選出されると、一部のアナリストは指摘する。次に、党中央委員会が、政治局員、書記、党中央軍事委員会委員を選出すると見られる。
 
 政治局常務委員は、金総書記の父親である金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席やそのほかの常務委員が1980~90年代に死亡した後、現在では金総書記ただ1人となっている。

 年々影響力を増し、ジョンウン氏の後見人と見られている金総書記の義弟、張成沢(チャン・ソンテク、Jang Song-Taek)氏が常務委員に選出される可能性がある。

 金総書記の後継者と目されるジョンウン氏は、党中央委員、あるいは党幹部に抜擢される可能性がある。

■国防委員会

 委員長は金総書記が務める。最高人民会議(国会に相当)は国防委の委員長職を「北朝鮮の最高職責」と称してきた。公式には国内外の安全保障に責務を負うが、すべてにおいて軍事を優先する「先軍政治」という指導理念をとる金総書記の政策決定において重要な役割を担う。

 今年6月、張成沢氏が国防委の副委員長に選出された。

■内閣

 内閣を率いるのは首相。首相は経済政策を担当する。今年6月、最高人民会議は金英逸(キム・ヨンイル、Kim Yong-Il)首相を更迭し、朝鮮労働党平壌市委員会の崔永林(チェ・ヨンリム、Choe Yong-Rim)責任書記を新首相に選出した。  

■最高人民会議

 労働党が任命する687人の代議員で構成。通常は年に1度開かれ、党の決定事項を正式に承認する。故金日成国家主席が「永遠の国家主席」とされているため、国のトップとしての儀礼的な役割は金永南(キム・ヨンナム、Kim Yong-Nam)常任委員長が果たす。

■人民軍

 兵力119万人は世界第4位。最高司令官は金総書記。北朝鮮は核爆弾6個分のプルトニウム抽出を完了したと考えられているが、これらをミサイルに搭載可能な核弾頭を作る技術を持っているかは不明。(c)AFP

MI6が正史出版、モームら有名作家もスパイの一員

【9月22日 AFP】映画「007」シリーズで知られる英秘密情報部(Secret Intelligence Service、SIS)、通称「MI6」が21日、初めて正史を出版した。創設された1909年から冷戦が始まった1949年までの40年間を網羅し、ジェームズ・ボンド(James Bond)ばりのスパイ活動などを解説している。

 執筆したのはベルファスト(Belfast)・クイーンズ大(Queen's University)のキース・ジェフリー(Keith Jeffrey)教授(歴史学)。極秘文書の閲覧を特別に許され、全810ページの『MI6』を書き上げた。

 スパイたちは、船を爆破したり、ナチスや旧ソ連の指導部に潜入したりする一方で、シャンパンをたしなみ、異性を誘惑するテクニックを磨いていた。まさにスパイ小説顔負けの場面が展開される。

 英有名作家のグレアム・グリーン(Graham Greene)、ウィリアム・サマセット・モーム(William Somerset Maugham)、アーサー・ランサム(Arthur Ransome)がMI6のスパイであったことも、初めて確認された。 

 スパイの一員であるビル・ダンダーデール(Bill Dunderdale)は、「007」シリーズの原作者イアン・フレミング(Ian Fleming)の親友だった。ダンダーデールは「美人と高速車に執着して」おり、これが「007」シリーズ着想のきっかけになった可能性があるとしている。

■「殺しのライセンス」は幻想

 MI6のスパイには「殺しのライセンス」が与えられていたとされるが、これは「神話」に過ぎないとも指摘している。スパイが違法な殺人を行った例は40年間で2件に過ぎなかった。 

 ジョン・スカーレット(John Scarlett)前MI6長官は、出版記念イベントで、正史の出版を「革新的な一歩だ」と評した一方で、続編の出版計画はないと語った。(c)AFP

バチカン銀行、資金洗浄に関与か 伊司法当局が捜査開始

ローマ(CNN) ローマ法王庁(バチカン)の財政管理組織である「宗教事業協会(バチカン銀行)」がマネーロンダリング(資金洗浄)に関連した疑いがあるとして、イタリア当局が21日までに捜査を開始した。

イタリアの中央銀行「イタリア銀行」関係者によると、バチカン銀行が行った2件の送金に関して、マネーロンダリング(資金洗浄)防止を目的とした法律に違反する送金の疑いがあることをイタリア銀行が把握し、司法当局に通報した。本件の捜査に近い情報筋によれば、司法当局は通報を受けた時点ですでにバチカン銀行への捜査を開始していたという。

疑惑の対象は、バチカン銀行がイタリアの銀行クレジト・アルティジャーノに預けていた資金の2回にわたる送金で、法律に定められた送金者の情報などを明らかにしないまま、他行に送金しようとした。送金金額は一方が2000万ユーロ(約23億円)、もう一方が300万ユーロ(約3億4000万円)だった。イタリア国内メディアは、司法当局が同行の資産3000万ユーロ(約34億円)を押収したと報じている。

バチカン銀行は21日、金融業務には「完全な透明性」を期しており、捜査に「困惑している」との談話を発表した。

マネーロンダリングの専門家ジェフリー・ロビンソン氏は、バチカン銀行は「世界でもっとも秘密に包まれた銀行」で、広大な不動産などを収入源とする同行の資金の動きを、外部が把握することはほぼ不可能だと指摘する。バチカン市国は独立国家であるため、イタリアの司法当局がどこまで捜査を進められるかは不明。