2008年6月29日日曜日

EU、イランに独自制裁 金融資産凍結など

 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)加盟27カ国は23日、核開発の停止を拒んでいるイランへの独自の金融制裁を承認した。核開発に関与した疑いのあるイラン最大の国営メリ銀行について営業停止の処分や金融資産の凍結を行う。国連安全保障理事会の枠外での独自制裁で、EUは米国と足並みをそろえてイラン核問題の早期解決を目指す。

 EUの独自制裁はメリ銀行が英国、ドイツ、フランスに持つ営業所の業務停止、金融資産凍結、EUへの渡航禁止範囲の拡大などが柱となる。米国は昨年秋にメリ銀を制裁対象に指定しており、EUもこれに続き金融制裁を科す。 (01:01)

ロシア、食肉の輸入禁止を通告 EUの一部企業に

 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)の一部食品企業に対してロシアが食肉類の輸入禁止措置を通告したことがわかった。欧州委員会が25日に認めた。EUとロシアは2006年に食肉の禁輸措置をめぐって関係がこじれ、エネルギー分野を柱とする新協力協定の交渉入りが見送られた経緯がある。EU・ロシア首脳会議を26日に控え、関係が再び冷え込む恐れがある。

 欧州委によると、ロシアが輸入禁止を伝えたのは、独仏伊など加盟7カ国の食品企業。禁輸対象は約70社に上るとの情報もある。ロシアはこれらの企業が輸出した鶏肉や豚肉に抗生物質が使われたとしている。 (07:03)

イスラエルが攻撃なら海峡封鎖も イラン革命防衛隊

 【ドバイ=松尾博文】イラン革命防衛隊のムハンマド・ジャファリ司令官はイスラエルがイラン攻撃に踏み切れば「ペルシャ湾とホルムズ海峡を支配下に置く」と語り、中東産原油の輸出の動脈である同海峡の封鎖も辞さない構えを示した。28日付の保守系紙「ジャメジャム」が報じた。

 イスラエルがイラン国内の核施設を攻撃するのではないかとの観測が原油価格を押し上げる要因の1つになっている。司令官は「攻撃を受ければあらゆる手段を使って対抗する」と述べたうえで、「原油も当然視野に入れており、(封鎖になれば)一段と価格は上昇するだろう」と警告した。また「(イスラエルは)我々のミサイルの射程に入っている」と軍事報復の用意を強調。クウェートやイラクなどに駐留する米軍が攻撃に加わった場合には、出撃国も報復の対象となると述べた。(07:02)

日本とブラジル、貿易投資の促進に向け合同委員会

 日本とブラジルの両政府は貿易投資を増やすため、官民で新たな組織を設ける方針だ。ブラジルでの模倣品対策を目的に知的財産権などを整備し、日本企業の進出を後押しする。エタノールなどのエネルギー分野での協力も強化する。

 甘利明経済産業相が7月2日、ブラジルでミゲル・ジョルジ開発・工業・貿易相と会談。貿易投資促進に向けた官民合同委員会の設置で合意する見通し。日本側は移転価格税制や知財の改善を求め、ブラジル側に現地日系企業との協力を要請する。東京電力や三井物産などの民間企業も現地に出向き、エタノールの発電燃料への活用などで協力を確認する。 (23:46)

2008年6月28日土曜日

バイリンガルは話す言語によって別人に?米研究

【6月28日 AFP】2つの言語や文化の下で成長した人々は、その時話している言語によってそれぞれ異なる行動や性格を無意識に選んでいることが多いという研究結果が、26日発行の米学術誌「Journal of Consumer Research」の2008年8月号に掲載された。

 研究を行ったウィスコンシン大学ミルウォーキー校(University of Wisconsin-Milwaukee)とニューヨーク市立大学(City University of New York)バルーク校(Baruch College)のチームは、米国と、メキシコあるいはプエルトリコの2か国の文化背景を持つ女性28人を対象に調査。被験者は全員、英語とスペイン語のバイリンガルで、双方の文化への同化度も高い。

 その結果、2つの文化で育った人々は、双方の文化や言語にかかわる別個の「認識枠」を持っており、枠ごとに価値観、行動、世界観、自己認識なども異なることが明らかになった。
 
 研究では、このような人々が言語によって思考方法を切り替える現象を「枠の切り替え」と名付けた。特定の言語が合図となって、バイリンガルの文化ごとの認識または思考の枠が起動する。枠には個性などの人格的側面も含まれる。

 今回の研究は、「消費者調査」などの分野で利用できる可能性があり、2つの文化背景を持つ人々の2面的な文化的枠組みを考慮に入れた広告を作成する場合などに利用できるという。(c)AFP

アフリカで暗躍してきた「雇い兵」たち

【6月18日 AFP】赤道ギニアの2004年のクーデター未遂事件を首謀したとされる英国人雇い兵サイモン・マン(Simon Mann、55)。同被告に禁固30年が求刑された17日の裁判は、アフリカ大陸で雇い兵が長らく暗躍してきたという事実を浮かび上がらせた。

■各国の内紛に参加

 雇い兵が全盛期を迎えたのは、ベルギー領コンゴがコンゴ共和国として独立した直後の、1960年の「コンゴ動乱」の時代だ。カタンガ(Katanga)州がコンゴ共和国からの独立を宣言したことに端を発するこの動乱で、フランス人雇い兵ボブ・ディナール(Bob Denard)、ベルギー人の「ブラック・ジャック」ことJean Schramme、英国人の「マッド・マイク」ことMike Hoareが活躍した。コンゴ共和国はその後、ザイールと国名を変更し、現在はコンゴ民主共和国となっている。

 ディナールは前年10月に他界。フランス軍を退役後にコンゴ、アンゴラ、ナイジェリアなどで雇い兵として活躍し、コモロでは4度にわたるクーデター(未遂を含む)に関与した。2006年には、1995年のコモロのクーデター未遂事件に関与した罪でパリ(Paris)の裁判所で執行猶予付きで懲役5年の有罪判決を受けたが、アルツハイマーを患っていたこともあり、刑に服することはなかった。

 1967-70年のナイジェリアのビアフラ(Biafra)内戦では、独立を宣言したビアフラ共和国と政府軍の双方に雇い兵は存在した。政府軍でミグ戦闘機を操縦していたのは、軍隊から落ちこぼれて操縦の仕方もろくに知らない雇い兵たちだったという。

 2002年9月にコートジボワールで軍人が蜂起した際も、ローラン・バグボ(Laurent Gbagbo)大統領を守るべく雇い兵が活躍した。反乱軍は西部を制圧し、同国は内戦状態になった。大統領側は、反乱軍は隣国から雇い兵を募集していると主張した。

 マダガスカルでも、2002年に2つの政府が併存する異常事態となった際に、それぞれの政府を支持する2つの雇い兵部隊が同国への入国を試みたが、失敗している。

■国籍はさまざま

 マン被告は、アパルトヘイトが撤廃される前の1991年、南アフリカに民間軍事会社「エクゼクティブ・アウトカムズ(Executive Outcomes)」を設立。戦闘経験が豊富でよく訓練された南アフリカ人、ローデシア人を、人種を問わず採用し、アンゴラやシエラレオネ、遠くはパプアニューギニアまで、紛争地帯に送り込んだ。同社は、定期的に支払う給料のほかにも、健康保険や年金なども完備していた。

 VIPの警護要員は、アイロンのよくかかった制服とぴかぴかに磨かれた軍靴を身につけるよう心がけていた。

 マン被告ら約60人が2004年にジンバブエで逮捕されたが、このうちの少なくとも1人は1998年にエクゼクティブ・アウトカムズを吸収合併したサンドライン・グループ(Sandline、本社:ロンドン)の雇い兵ではないかと報じられた。この1998年は、南アフリカが世界で初めて雇い兵を禁止する法律を採択した年だ。

 赤道ギニアのクーデター未遂事件に関与したとして拘束された雇い兵の国籍は、アンゴラ、アルメニア、ドイツ、カザフスタン、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエと多岐にわたる。(c)AFP

中国製弾薬をアフガンへ不正供給、駐アルバニア米大使が関与か

【6月25日 AFP】米国とアルバニアの当局は24日、米軍の契約企業が不正購入した中国製の弾薬をアルバニア経由でアフガニスタンに提供し、隠ぺい工作に駐アルバニア米大使が関与していたとされる疑惑について、共同で調査を行うと発表した。

 同日、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙が、米議会下院の監視・政府改革委員会(Representatives Oversight and Government Reform Committee)のヘンリー・ワクスマン(Henry Waxman)委員長が23日付けでコンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)国務長官に送った書簡の内容として、疑惑を報じた。

 書簡によると、米フロリダ(Florida)州マイアミ(Miami)に本拠地を置く米軍の契約企業が、アフガニスタン治安部隊に供給するため中国製弾薬を購入。アルバニアを経由してアフガニスタンへ移送する過程で、ウィザーズ大使が隠ぺい工作に関わったとされる。米国内法は中国製武器の取引を禁止している。

 ウィザーズ大使はアルバニアの首都ティラナ(Tirana)で、事件への関与を否定した。

 米国務省のトム・ケーシー(Tom Casey)副報道官は、「撤退的かつ公正、明確な」内部調査を行うと表明。疑惑の渦中にあるジョン・ウィザーズ(John Withers)駐アルバニア大使について「事実関係が明らかになれば潔白は証明されると確信している」と述べた。

 アルバニア当局も、この件に絡み、数十人から事情聴取を行っているという。(c)AFP

北朝鮮が核冷却塔を爆破、各国メディアが報道

【6月27日 AFP】(一部更新)北朝鮮は27日、平壌(Pyongyang)北方96キロの寧辺(Yongbyon)の核施設にある冷却塔を爆破した。米CNNテレビなどが、冷却塔が粉じんを上げて崩壊する爆破現場の映像を報じた。

 爆破に立ち会った米国務省のソン・キム(Sung Kim)朝鮮部長は「非常に意義深く重要なステップだ」と述べた。

 CNNに先立ち、韓国MBCテレビも爆破の事実を報じていた。北朝鮮は、各国の報道機関を通じて爆破の様子を中継するとしていたが中継はされず、各テレビ局は現場で技術的問題が発生したと伝えていた。

 寧辺の核施設は、北朝鮮の核放棄を目指す米国の外交努力の中心的な対象となっていた。2006年10月に北朝鮮が実施した核実験でも寧辺で製造されたプルトニウムが使われた。(c)AFP