2009年10月16日金曜日

メタマテリアルを使った「卓上ブラックホール」

Image: arXiv
中国人の2人の科学者[Nature newsによると、南京にある東南大学の研究者]が、「人工的なブラックホール」の作成に成功した。しかし幸いなことに、あなたがいまこの記事を読んでいるということは、地球はブラックホールの渦に吸い込まれていないと言っていいだろう。
というのも、光がそこから出られないブラックホールというものが成立するには、理論的には、アインシュタインが仮定したような「大質量で高濃縮の重力場」は必要ないからだ。必要なことは光――もっと正確に言えば、電磁放射――を捉えることだけだ(視覚的に認識される光とは、電磁放射の1つの形式だ)。
Image: arXiv
この「卓上ブラックホール」については、『arXiv』に10月12日付けで掲載された論文に詳述されている。同心円状に配置された、60層の回路基板で作られている。各層は銅でコーティングされ、電磁波に対応して振動する(または振動しない)パターンがプリントされている。これらのパターンはあらゆる方向から来るマイクロ波放射を完全に吸収して、そのエネルギーを熱に変える。
[論文にはメタマテリアルを利用とある。メタマテリアルとは、光を含む電磁波に対して、自然界の物質には無い振る舞いをする人工物質のことであり、特に負の屈折率を持った物質を指して用いられる]
最近開発された、光子を吸収するカーボン・ナノチューブから作成されたブラックホールに近い物質(日本語版記事)のように、この物質はソーラーパネルに利用できるだろう。

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