2009年11月28日土曜日

ガソリンの臭いで攻撃性アップ:ラットで確認

Photo: Flickr / markvall

ガソリンを満タンにするのに法外な料金を支払わされれば誰でも頭に来るが、その怒りは、ガソリンを入れている時に吸い込んだ臭いで倍増されるかもしれない。

カイロ大学のAmal Kinawy氏は、ガソリンの臭いにさらされたラットは、新鮮な空気を呼吸していたラットより攻撃的になり、不安の兆候を示しやすいことを確認した。さらにそのラットの脳では、視床下部、海馬、小脳の神経伝達物質が変化していた。この研究はラットでしか行なわれていないが、研究結果は人間にも当てはまるもので、交通渋滞でのイライラなどの一因と考えられる、とKinaway氏は述べている。

Kinawy氏は、15匹のラットを有鉛ガソリン(エジプトでは今でも使用されている)、他の15匹を無鉛ガソリンに暴露した。さらにもう15匹を対照群として使用した。ラットはまずガソリンの気体を6週間に渡って毎日30分間暴露され、次の10日間、実験に使用されなかった同腹の兄弟たちと一緒の場所で飼育された。

その結果、ガソリンの臭気を吸い込んだラットは、歯をカチカチと鳴らしたり、背中を弓なりにしたり、噛み付いたりといった攻撃的な態度を示す傾向が高いことがわかった。無鉛燃料に暴露されたラットは、有鉛燃料に暴露されたラットよりも攻撃性を示す傾向がわずかに高かった。

Kinawy氏は各ラットを解剖し、ガソリンにさらされたことによってラットの脳が変化したことを突き止めた。

「ガソリン燃料の吸引によって、視床下部、海馬、小脳における神経伝達物質の顕著な変動が誘発された」とKinawy氏は述べている。[論文によると、モノアミン神経伝達物質で、セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ドーパミンなどのこと]

「無鉛ガソリンに暴露されたラットは、対照群や有鉛ガソリンのグループに比べて、フリーラジカルによって引き起こされる損傷が大きく、大脳皮質領域の神経伝達物質のレベルが変化するという兆候を示した」ともKinawy氏は述べている。

論文はオンライン・ジャーナル『BMC Physiology』に掲載されている。

[ガソリンへの鉛(アルキル鉛)は、エンジンのノッキングを防止する為に添加されていたが、有毒で大気汚染の原因となるため、日本では、レギュラーガソリンは1975年に、ハイオクガソリンも1987年には完全無鉛化を達成した。

現在鉛の代わりに利用されているのは有機化合物のMTBE(メチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)等。ただしMTBE添加は、ガソリンが飲用地下水に混入する問題を引き起こしており、米環境保護庁はガソリンへのMTBE添加を2014年12月31日以降禁止すると2005年に決定している]

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