2008年9月22日月曜日
ユカタン半島のジャングルは「古代マヤ人に高度に管理されていた」
ところが、1000年余り前にマヤ文明が崩壊する以前、このジャングルは高度に管理されていた可能性があることが研究によって判明した。われわれの目には「未開」と映る森に、人間が数千年にわたって手を加えてきた痕跡が見られるというのだ。
「ユカタン半島のジャングルに見られる植物は、マヤの村落共同体において、庭で育てられていた種が野生化したものだ。この森は、人類がアメリカ大陸に上陸する以前から存在したものではない」と語るのは、カリフォルニア大学バークレー校のChristine Hastorf教授(考古学)だ。同教授は人間と植物の長期的な関係を研究している。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校の人類学者で、ユカタン半島のベリーズとグアテマラの国境にあるエル・ピラール遺跡を調査しているAnabel Ford氏は、2004年の報告書の中で、マヤ文明が繁栄した地域の森林について、当時の人々が大きく手を加えたことを示す証拠をまとめている。
報告書によると、ユカタン半島の植生は、自然のままの森に比べると、少ない植物種が均等に分布しており、しかも経済的に重要な植物が数多く見られるという。
「人間が好んだ種がいくつか存在する。人間がそれらを森で栽培し、世話や管理をすべて行なっていた」とHastorf教授は説明する。約1100年前にマヤ文明が崩壊した後は、「それらの木々が森を乗っ取る形になった」という。
現在のジャングルは自然の力によって作り出されたように見えるが、ユカタン半島の生態系には「今なお人が手を加えた証拠が残っている」とFord氏は書いている。
この研究は、歴史生態学という新しい学術分野に属している。人間とその生活環境の相互関係を研究する分野だ。
「宇宙で太陽発電、衛星からビームで送る」実験、パラオが関心
宇宙太陽発電にかかる費用はまだ非常に高く、一般への応用は不可能だ。しかし、二酸化炭素を一切排出することなく、必要な場所に直接エネルギーを送れるというユニークな特性は、用途によっては非常に魅力的かもしれない。そうしたニッチ市場の1つが、おそらくこの島国なのだ。AP通信の記事によると、パラオのTommy Remengesau Jr.大統領が関心を示しているとう。
起業家のKevin Reed氏は、超小型の実証実験用衛星を低周回軌道に打ち上げることを提案している。それによって、1000世帯の家庭の電力をまかなうのに十分な量のエネルギーを、毎日地球に放射することが可能になるという。
エネルギーは、まずパラオの無人島の1つに置かれた発電所に送られ、バッテリーの充電に使用できる直流電流に変換される。Reed氏は現在、プロジェクトの遂行に必要な8億ドルの資金調達先を探しているところだ。
宇宙太陽発電には、米航空宇宙局(NASA)をはじめ宇宙開発の関係者たちが以前から関心を抱いてきた。宇宙の太陽エネルギーは、大気を通過した後の太陽エネルギーの8倍にもなるからだ。
気候変動への特効薬にはならないとはいえ、宇宙太陽発電を利用する未来はもはや空想ではない。衛星の打ち上げ費用が安くなりつつある現状を考えれば、なおさらだ。
静止軌道には大型のシステムを打ち上げることができるため、地球上から見て常に同じ位置から、5ギガワット(AP通信の記事によれば「フーバー・ダムの2倍」)の電力を放射することが可能だ。
電力はマイクロ波に変換されて地球に放射されるが、このマイクロ波自体は「電子レンジの扉から放射されるエネルギーと同程度の強さにすぎない」という。
宇宙太陽発電は、米国防総省の国家安全宇宙事務局(NSSO)が2007年秋に75ページにわたる報告書をまとめたことで、さらに追い風を受けている。同報告書は、米軍の国際活動向けの電力供給源として宇宙太陽発電を利用する可能性を検討したものだ。
国防総省にその有用性を納得させることができれば、宇宙太陽発電はさらに大規模な「実証プロジェクト」となるかもしれない。
140倍の水素生成が可能な「遺伝子組み換え大腸菌」
この大腸菌のいちばんの利点は、生成された水素の分離が非常に簡単だということだ。「気体であり、泡になって出てくる」とWood教授は言う。
6つの遺伝子を選択的に取り除くことによって、大腸菌は、糖が動力源の水素工場とも言えるものになる。
商用化されるまでにはまだ長い道のりがある。だが、Wood教授の技法の最大のメリットは、水素を必要とする現場ですぐ水素を生成できることだ。水素輸送のインフラストラクチャーを構築する必要がなくなり、経済的にも有利だし危険性もなくなる。
『TreeHugger』の「大腸菌が次世代の有望な水素燃料になる?」と『Science Daily』の「大腸菌は未来の燃料源?」を参照した。
最新シミュレーションモデルで「限定核戦争による影響」を予測
インドとパキスタンとの間の長年にわたる紛争が嵩じて戦争が勃発し、双方の国が相手の国の大都市に対してそれぞれ50の核兵器を使ったと想像してみよう。カラチやボンベイなど南アジアの多くの都市が、第二次世界大戦の最後に広島や長崎が体験したような戦火にさらされることになる、と。
このような状況になると、戦場となった地域の人々を襲う悲劇だけに留まらず、燃え上がる都市からの熱煙流が、地球を覆っているオゾン層に穴を開ける可能性がある。
こういった予測が、局地的な核戦争における大気化学を探る新しい研究から明らかになった。オゾン層の破壊から生じる紫外線放射量の増加により、DNA損傷が2倍以上に上昇するほか、北米と欧州全域でがんの発生率が高まる可能性があるというのだ。
4月7日(米国時間)にオンライン版『Proceedings of the National Academies of Science』(PNAS)で発表された研究報告の共同執筆者で、コロラド大学ボールダー校の大気宇宙物理研究所(LASP)に所属する科学者Michael Mills博士は、次のように述べる。
「われわれの研究は、世界規模の破壊現象があることを裏付けている。これまで予測されていた全面的な核戦争に起因するオゾン層の破壊よりも、さらに大規模なオゾン層の破壊が、限定的な地域紛争によって地球全体で引き起こされる可能性があることをこの研究では示している」
Mills博士の示したモデルは、100の核爆発で、その影響が地球全体に及ぶということを示している。米国が保有している核爆弾の量に比べれば、ほんのひとかけらに過ぎないのにだ。
冷戦時代のソビエト連邦と米国との間で全面核戦争が起きた場合に、どれほどの衝撃が地球にもたらされるかを探った数十年におよぶ研究を経て、最近の研究は、局地的な核戦争に焦点を当てている。局地戦のほうが、全面核兵器最終戦争よりも起こりうる現実性は高いと見られているからだ。
地域的な核戦争が気候に影響し、農作物の収穫量を減少させ、何百万もの人々を餓死させるという研究もある。[『Science』2007年3月号に掲載された論文によると、全面核戦争によって「核の冬」が起こるという予測は、1万発の核爆発に関する予測だったが、100以下の爆発によっても、10年にわたる気温低下が生じるという。]
最新の大気化学モデルを組み込むことで、科学者らは、たとえ小規模な核戦争でも、地球環境と大気の構造そのものに大打撃を与え、20世紀の間に上昇した気温の2倍分程度、逆に気温が下がるケースも考えられるということを明らかにしている(PDFファイル)。[ラトガーズ大学研究者チームによる研究で、論文は『Journal Of Geophysical Research』2007年7月号に掲載された。NASAゴダード宇宙飛行センターによる上空80キロメートルまでをカバーする気候モデルを利用し、さまざまな規模の核戦争による長期的影響をシミュレーションしている。]
今回のMills博士の研究報告では、米国大気研究センターによるモデルを使用し、500万トンの黒色炭素(煤)が大気中に放出された場合の影響について調査している。
一群の都市が一斉に炎上すれば、それによって各都市の気候がそれぞれに変化し、煤は約6000メートル上空にまで吹き上げられることが明らかとなった。煤煙はいったんこれほどの高度に吹き上げられると、太陽光によって温められ、さらに地表から約8万メートルの高さにまで上昇するという。
この間、暖められた煤がさまざまな大気の変化を引き起こし、最終的に、成層圏で地球を保護する日よけとして機能しているオゾンが大きく減少する。
研究では、中間緯度地域で25%から45%、極地域上空では50%から70%、オゾン層が減少すると示された。オゾン層の「穴」として知られるこのオゾンの減少は、南極上空の有名なオゾンホールの何倍もの大きさになるという。
この報告書で挙げられている研究では、北緯45度線上(オレゴン州ポートランドの少し南あたりを通過)で、地球に達する紫外線が増加すれば、DNAの損傷は213%上昇する危険性があるという。
「これは、皮膚がんや白内障に多大な影響があるとともに、農作物や生態系に対して非常に有害となる」とMills博士は語った。
減少したオゾンレベルは5年間持続し、さらにその後5年間、かなりの減少状態が続くと思われる。たとえ戦争の原因が局地的なものだとしても、その影響は地球全体にまで及ぶのだ。
「ほとんどすべての地域に影響が出るだろう」と、Mills博士は結論づけている。
次の環境脅威は窒素汚染:「窒素酸化物が1860年の30倍に」
このように警告する論文が2つ、『Science』誌の5月16日号に掲載された。いずれも『国際窒素イニシアティブ』(INI)の研究者らが執筆したものだ。
1つ目の論文は、これまで行なわれた窒素汚染に関する研究をレビューし、環境中の窒素量の驚くべき増加ぶりを図表で示している。2つ目の論文は、人間の活動によって海に排出される窒素量を数値で表わしている。
「人間の活動はこの100年間、自然界の窒素の循環サイクルに非常に大きな影響を与えてきた。おそらく、炭素の循環サイクルに与えてきた影響さえも上回るだろう」と、2つ目の論文執筆者の1人で、イースト・アングリア大学の生物地球化学者であるPeter Liss氏は話す。
厳密に言えば、問題なのはいわゆる普通の窒素——人間が吸う空気の4分の3以上を占める気体——ではなく、「窒素酸化物」と呼ばれるものだ。
一酸化窒素や二酸化窒素は、広義の活性酸素の一部だ。活性酸素は、通常の酸素分子とは電子の配置が異なるため極めて不安定で、より環境に悪影響を及ぼす可能性が高い。
人類が生成する窒素酸化物の量は、1860年には15メートルトンだった。それが1995年には156トン、2005年には185トンに達した。
年間270億トンという世界の二酸化炭素排出量と比較すると小さな数字に見えるが、今回の論文執筆に参加したバージニア大学の生物地球化学者、James Galloway氏が「窒素の滝(nitrogen cascade)」と呼ぶ現象[窒素が環境中を移動することで及ぼす連鎖的な作用]によって、その影響は増幅されるという。[なお、大気中の二酸化炭素濃度は、産業革命以前に比べて約33%上昇したとされている]
「私の車は今朝、一酸化窒素を大気中に排出した。それは時間の経過とともに大気中を移動し、土壌、水中、沿岸系を経由して再び大気中に戻ってくる。[窒素の排出は]これらすべての過程で影響を及ぼしうる」とGalloway氏。
窒素は産業活動によって排出されるものもあるが、大半は作物の肥料から排出される。窒素と水素、硫酸鉄を組み合わせて化学肥料を作る「ハーバー・ボッシュ法」が、現代農業の主流になっているのだ。
「窒素酸化物の第一の、そしておそらく最も大きな影響は、世界の食糧供給への影響だ。人類が食べるのに十分な量の食物を生産するには、窒素に頼らざるを得ない」とGalloway氏は言う。
しかし、窒素のマイナス面は増える一方だ。窒素酸化物は空気中のオゾン濃度を上昇させ、呼吸器系疾患を引き起こし、作物の収穫量を減らす。また、酸性雨をもたらし、酸素を大量消費する海藻の異常繁殖を促して漁業に被害をもたらす恐れもある。
窒素汚染はいずれ全世界の海を、メキシコ湾のように生物が棲めない場所に変えてしまうかもしれない。現在メキシコ湾には、肥料の流出により、酸素が乏しいために海洋生物が生息できない「デッドゾーン(日本語版記事)」が約1万5000平方キロメートルにわたって広がっている。さらに、海洋窒素は温室効果ガスである一酸化二窒素に変化する[地球温暖化係数は、二酸化炭素を1とすると一酸化二窒素は310とされる]。
Galloway氏によると、燃費や、発展途上国の下水処理能力、作物や家畜に窒素を吸収させる能力を向上させれば、窒素酸化物の排出量を年間53トン(現在の総排出量の約28%)削減できるという。
それで本当に前進と言えるのかと、私はGalloway氏に問いかけた。窒素酸化物の排出量を4分の1削減したとしても、世界の窒素汚染レベルはなお100年前のほぼ10倍だ。
しかし、Galloway氏は楽観的だった。科学者たちは窒素酸化物が問題になりうると何十年も前から警告してきたが、政策立案者や業界関係者が注意を払うようになったのはつい最近のことだ。窒素酸化物対策として現在提言されているいくつかの段階的措置は、ほんの手始めにすぎない、と。
プラスチックを短期間で分解するバクテリア、高校生が特定
カナダのオンタリオ州ウォータールー市に住む高校2年生のBurd君は、かりに1000年かかるとしても、何かがプラスチックを分解しているに違いない、その「何か」はたぶん、バクテリアだろうと考えた。
(地球のバイオマスの半分から90%までの範囲において、バクテリアは、生物学的神秘の謎を解く鍵として、かなり有力な候補になる)
『The Record』紙の記事によると、Burd君は、土にイースト菌を混ぜ水を加えたものの中に、粉状にしたプラスチックを入れて、30度にした。すると、自然界に放置した場合より早く、プラスチックが分解された。
温度や条件を変えながら何度も実験した末、Burd君は、プラスチックをムシャムシャ食べる微生物の正体を突き止めた。1つは緑膿菌(Pseudomonas)属で、もう1つはスフィンゴモナス(Sphingomonas)属だった。[上の記事によると、緑膿菌属がポリスチレンを分解するという既存の研究はあるが、ポリエチレンを分解するという研究は初めてとされる。]
Burd君は、この発見を産業レベルに採り入れるのは簡単なはずだと言う。醗酵槽と培地、それにプラスチックがあれば、バクテリアは、プラスチックを食べて熱を発し、必要なエネルギーのほとんどを自らに供給する。副産物も、水と少量の二酸化炭素が出るだけだ。
驚くべき話だ。私は、この時代においてもっとも手に負えない環境問題の1つを解決してしまったかもしれないこの若者に、近いうちに取材を申し込もうと思っている。それと同時に、Burd君が通う高校ではもう学年末のパーティーが終わってしまったのかどうかが気になって仕方ない。Burd君がキングに選ばれないなら、この世はどこか間違っている。
「太陽熱発電の人工島」、5億円のプロトタイプを中東で建設
ならば、大きな解決策としてこんなのはどうだろう。スイスの研究者、Thomas Hinderling氏は、直径数キロメートルに及び、全体がソーラー発電システムとして機能する人工島を建設したいと考えている。Hinderling氏によれば、こうした人工島では何百メガワットもの電力を比較的安価に発電できるという。
Hinderling氏は、研究開発を手がけるスイスの株式非公開企業、Centre Suisse d'Electronique et de Microtechnique社(CSEM)の最高経営責任者(CEO)だ。Hinderling氏はすでに、アラブ首長国連邦のラスルハイマ首長国から、同国でのプロトタイプ施設の建設を500万ドルで受注している。
島型ソーラー発電施設に関するウェブサイトには限られた情報しか公開されていないが、Hinderling氏はエネルギー関連の有名ブログ『The Oil Drum』で、自身の計画を説明している。
Hinderling氏の見積もりでは、直径わずか1.6キロほどの島型ソーラー発電システムでも、190メガワットの電力を、1キロワット時当たり15セント――米国の現在の電気料金の約2倍――という、収支が釣り合う価格で生産できるはずだという。
人工島は、プラスチック膜に集光ミラーを敷き詰めたものを水上に浮かべた構造となる。ミラーを利用して液体を温めて蒸気に変え、蒸気の力でタービンを動かして発電する仕組みだ。
陸上では、この種の発電方法はかなりよく知られている。いわゆる太陽熱発電所は、化石燃料発電所に代わる未来の主要なエネルギー生成技術として注目を集めている(日本語版記事)。米Google社は3つの代替エネルギー事業への投資を発表(日本語版記事)したが、3つのうち2つまでが太陽熱発電の企業に対するものだ。
だが、なぜ海上で太陽熱発電を行なうのか? Hinderling氏によると、複雑な追跡システムを使わなくても、太陽の動きに合わせてプラットフォーム全体を動かし、発電効率を最大化できるからだという。
CSEM社の計画では、2010年末に直径約500メートルのプラットフォームを海に浮かべる予定だ。
ローレンス・バークレー国立研究所でリニューアブル・エネルギー(持続的利用可能エネルギー)を研究しているMark Bollinger氏は、こうした島型施設の建設は可能だとは思うが、CSEM社が企業として生き残れるかは疑問だと述べている。
「建設は十分可能だと思うが、技術の発達度や陸上にも同様の施設がまだ少ないことを考えると、海上用の施設はいささか先走りすぎのように思える」とBollinger氏は言う。
また、技術そのものの実行可能性という観点から、Bollinger氏は、太陽熱発電を海上で行なうことの必要性に疑問を呈した。海上では、波などの陸上にはない可変要素によって、太陽光を正確に追跡できなくなる恐れがあるというのだ。
「使える陸地が非常に少ないというのなら海へ向かう理由もわかるが、少なくとも太陽熱発電に関しては、場所がないなどということはないと思う。太陽熱発電に最も向いているのは米国南西部の砂漠地帯で、そこになら使える土地がいくらでもある」とBollinger氏。
もう1つ、Hinderling氏が触れていない大きな疑問点がある。それは、島型施設で発電した電力を、いかにして陸地の人間のもとへ送るかという問題だ。幸い、海上の風力発電施設向けに、沖合からの送電方法(PDFファイル)の研究がすでに進められている。
そのほか、送電網に「大きな負荷をかけられない」米国北東部の諸地域に向けて、すでに発電船が電力を生産している、とBollinger氏は指摘した。
これらのことをすべて考慮すると、島型施設は、『海上住宅研究所』が建設を目指す海上都市国家(日本語版記事)にぴったりの電力供給方法だと思わずにはいられない。
