2008年9月22日月曜日

「宇宙で太陽発電、衛星からビームで送る」実験、パラオが関心

西太平洋の小さな島国パラオが、インドネシアのバリ州で開催された『気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)』(2007年12月)において、宇宙太陽発電の実験台になることを申し出た。

宇宙太陽発電にかかる費用はまだ非常に高く、一般への応用は不可能だ。しかし、二酸化炭素を一切排出することなく、必要な場所に直接エネルギーを送れるというユニークな特性は、用途によっては非常に魅力的かもしれない。そうしたニッチ市場の1つが、おそらくこの島国なのだ。AP通信の記事によると、パラオのTommy Remengesau Jr.大統領が関心を示しているとう。

起業家のKevin Reed氏は、超小型の実証実験用衛星を低周回軌道に打ち上げることを提案している。それによって、1000世帯の家庭の電力をまかなうのに十分な量のエネルギーを、毎日地球に放射することが可能になるという。

エネルギーは、まずパラオの無人島の1つに置かれた発電所に送られ、バッテリーの充電に使用できる直流電流に変換される。Reed氏は現在、プロジェクトの遂行に必要な8億ドルの資金調達先を探しているところだ。

宇宙太陽発電には、米航空宇宙局(NASA)をはじめ宇宙開発の関係者たちが以前から関心を抱いてきた。宇宙の太陽エネルギーは、大気を通過した後の太陽エネルギーの8倍にもなるからだ。

気候変動への特効薬にはならないとはいえ、宇宙太陽発電を利用する未来はもはや空想ではない。衛星の打ち上げ費用が安くなりつつある現状を考えれば、なおさらだ。

静止軌道には大型のシステムを打ち上げることができるため、地球上から見て常に同じ位置から、5ギガワット(AP通信の記事によれば「フーバー・ダムの2倍」)の電力を放射することが可能だ。

電力はマイクロ波に変換されて地球に放射されるが、このマイクロ波自体は「電子レンジの扉から放射されるエネルギーと同程度の強さにすぎない」という。

宇宙太陽発電は、米国防総省の国家安全宇宙事務局(NSSO)が2007年秋に75ページにわたる報告書をまとめたことで、さらに追い風を受けている。同報告書は、米軍の国際活動向けの電力供給源として宇宙太陽発電を利用する可能性を検討したものだ。

国防総省にその有用性を納得させることができれば、宇宙太陽発電はさらに大規模な「実証プロジェクト」となるかもしれない。

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