2009年7月25日土曜日

日産、電気自動車の無線充電技術実現に向けて一歩前進?

(これまでの マイケル・カネロスの「海外グリーンテック事情」はこちら

昨年秋、私たちは日産自動車が電気自動車(フルEV)の航続距離を伸ばすために、出先でも充電できる複数の方法について実験を行っていることをお伝えした。

同社の技術開発部門を率いる常務執行役員の篠原稔氏は、2008年10月のCEATECでのインタビューのなかで、「電源コードを使わずに充電する というと、まるで遠い未来の話のように聞こえるが、しかしわれわれにはゼロ・エミッション・ヴィークル(zero emission vehicles:ZEV-排気ガスを完全に出さない車)が必要だ... インドやロシア、中国の経済成長を考慮すると、自動車の需要は今後大幅に増加するとみている」と述べていた。

そしていま、日産で実験を重ねられてきた技術の一部が明らかにされはじめた。英ガーディアン(The Guardian)紙によると、日産では非接触の誘導充電(inductive charging)方式を検討しているという。同紙では、日産の技術戦略委員会(Technology Strategy Board)で技術革新プログラムの責任者を務めるデビッド・ボット(David Bott)氏の次の発言を引用している。「誘導充電は、携帯型電子機器向けとしては確立された技術。この方法がきちんと機能することは科学によって明らか になっている。いずれは、夜間は効率の良い電源コード接続で充電を行い、昼間出先で充電するときには、この誘導充電方式を用いるといった使い分けになるの ではないかと思う」。

「この方法が科学的に可能なことがわかっている。ただ、それがスケールできるものか、実現可能なものかといった点はまた別の問題だ」と同氏は付け加えた。

もちろん、現実的な問題はいくつもある。まず道路に無数の充電用プレートを設置するには多くの費用がかかるし、また他社の力も借りなければならな い。さらに、ペースメーカー利用者にも身に危険がないことを納得してもらわなくてはならないなど、いくつも課題はある。そこで日産では、まずはフルEVを 街乗り用の車として売り込んでいく予定だ。それなら充電ステーションを整備する必要が少なくなる(もっとも、同社では充電ステーションの開発と設置にも資 金を注ぎ込んでいる)」

また日産が自社の電気自動車にウルトラキャパシターかKERシステムを搭載して、急速充電を可能にすると私は推測している。

いずれの充電方法が実現するにせよ、日産が充電の問題について一生懸命知恵を絞っていることは間違いない。この話題に関連する記事はこちらで(Greentech Mediaの英文記事 "Under the Hood With Nissan's Electric Car")。

[原文:Michael Kanellos(Greentech Media)/抄訳:坂和敏/原文公開:7月20日(米国時間)]

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