2008年11月30日日曜日

タリバーン、アヘン取引の半分に関与の可能性 アフガン

カブール――国連薬物犯罪事務所(UNODC)は29日までに、アフガニスタンにおけるアヘン栽培動向に関する報告書を発表し、政権を追われたイスラム強硬派勢力タリバーンや軍閥が今年のアヘン取引量の約半分に関与している可能性があると指摘した。額にして5億米ドル(約480億円)と推定している。AP通信が報じた。
取引で得た資金を米軍や北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)、アフガン軍への攻撃、市民も巻き込んだテロ準備などに充てているとみている。報告書はまた、タリバーンはアヘンの価格操作を図るため備蓄などの手段も用いていると分析している。
アフガンは、ヘロイン製造の原料となるアヘンの世界最大の生産国。タリバーンが拠点とするアフガン南部ではアヘン取引が増えたともされる。UNODCによると、タリバーンがアヘンから得た収益は昨年で推定1億ドル。今年は激増していることになる。
ただ、今年の生産量については昨年比6%減の約7700トンになったと指摘。栽培に当たった農民も約100万人減ったと推定している。他国へのアヘン密輸額は総額で推定34億ドルともしている。
アフガンでのアヘン栽培の根絶を進めるためには、市場、「研究所」や密輸の車列などを破壊することが重要だと提言。密輸ルートは特に、同国南西部の国境付近に集中しているとも指摘した。
NATOは先月の国防相会議で、アフガンにおける治安維持にアヘン栽培が突き付ける脅威を認識すると共に、ISAFに対しタリバーンなど反政府武装勢力を支援している密輸組織への攻撃を認める決定を下している。
タリバーンは2001年末の米英軍事作戦で政権が崩壊したが、戦力を立て直し、自爆テロなど新たな手口と共に多国籍軍への攻撃を先鋭化させている。

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