2008年11月1日土曜日

中国、チャイナマネーで世界に攻勢

 世界で最も豊富な外貨準備を抱える中国が攻撃的な対外援助に乗りだしている。金融危機で米国が揺らぐ中で、巨額のチャイナマネーを武器に国際金融秩序の再編と自国の発言権拡大を狙っているのだ。

◆中国の援助攻勢

 温家宝首相は30日、カザフスタンで開かれた上海協力機構(SCO)首脳会談で、共同プロジェクトを立ち上げるため加盟国に低利融資を行うと宣言した。温首相は28日にロシアのプーチン首相と会談した際にも、今後20年間にロシアから原油1500万トンを購入する代金として、250億ドル(約2兆4700億円)をロシア側に先払いすると約束した。

 中国はまた、ブラウン英首相などから資金不足に直面している国際通貨基金(IMF)への拠出拡大を求められたのに対し、「可能な範囲内で積極的に検討している」(30日の外務省定例会見)と前向きな姿勢を示した。3日には台湾に中国の十大銀行トップを派遣し、金融協力について協議を行い、香港の対しても「多角的な支援」を表明するなど、中国は中華経済圏の危機の火消し役を自認している。

◆人民元を世界の基軸通貨に

 カザフスタンなど中央アジアのSCO加盟4カ国に対する経済的支援は、西側勢力の影響力拡大と中国の新疆ウイグル自治区におけるウイグル族の独立運動という内憂外患を抑え込むことができるカードだ。香港と台湾を支援する最大の理由は、中国にとって1、2位の貿易相手である両地域が没落すれば中国経済に大きな打撃を与えるからだ。

 しかし、専門家は中国がさらに大きな構想を抱いていると分析する。AP通信は最近、「中国は人民元が世界の基軸通貨の一つとなり、新たな世界経済秩序の中で大きな発言権を持つことを望んでいる」と報じた。中国はその試みとして、ロシアとの貿易決済通貨に人民元とルーブルを使おうとしている。

 ただ、慎重論もある。31日付共産党系日刊紙、光明日報は「中国は依然として開発途上国であり、中国が今回の金融危機から世界を救うことができるという西側の『中国救世論』は誇張されたものだ」と主張した。

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