2008年7月6日日曜日

北朝鮮への核技術流出はパキスタン軍も承知、カーン博士

イスラマバード――パキスタンの「核開発の父」と呼ばれ、「闇市場」を主導し北朝鮮やイランへ核技術を供与したとされる核科学者カーン博士は4日、北朝鮮向けに2000年に実施したウラン濃縮に使われる遠心分離器の輸送はパキスタン軍の監督下で実施したことを明らかにした。AP通信の取材に応じて語った。 


1999年の軍クーデターで陸軍参謀長として実権を掌握したムシャラフ大統領もこの輸送を承認していたことを示唆する内容となっている。カーン博士によると、輸送は北朝鮮機で実施され、軍は送られる物資の中身を十分に承知していたという。 


同博士の今回の「暴露」はパキスタンのメディアでも大きく扱われたが、同国外務省の報道官は核の闇市場に関する調査は終結しているとのコメントを示すにとどまっている。 


核の闇市場の活動では博士が04年、北朝鮮などに核技術を流出したことを認めた。ムシャラフ大統領は、政府や軍は関与していないとし、あくまでカーン博士の個人的な行為として疑惑に決着を付けていた。 


ただ、軍や政府高官の関与なしに外国へ核技術が供与されることへの疑問は前からあった。 


パキスタンは現在、反ムシャラフ大統領の連立内閣となっており、2004年以来の博士の自宅軟禁解除を求める声もある。政局の変動に従い、カーン博士も核技術流出に関する自らの告白はねつ造だったとする立場を打ち出し始めている。

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