2008年7月6日日曜日

ペンギンに環境破壊の影響 絶滅の危険も 米学者警告

ワシントン(AP) 南半球の各地に分布するペンギンの多くが地球温暖化など環境変化の影響を受け、絶滅の危険性も増大していると米生物学者が警告している。16─19種に分類されるペンギンのうち、10種以上が現在、何らかの問題に直面しているという。 


米ワシントン大で人間の活動が生態系に与える影響を研究するディー・ボアスマ教授が、専門誌バイオサイエンス7月号に論文を発表した。それによると、「マゼランペンギン」の世界最大規模の生息地として知られる南米アルゼンチンのプンタトンボでは、繁殖行動を示すつがいが60年代後半には40万組いるとされたが、06年10月までに20万組に減っていたことが分かった。 


また、アフリカ南部に生息するペンギンの繁殖つがい数は、過去100年間に150万組から6万3000組まで激減したという。 


「人間から遠く離れた場所にすむペンギンは、環境破壊の影響をあまり受けないと考えられてきたが、それは間違いであることが確認された」と、ボアスマ教授は説明する。 


同教授によれば、ペンギンが直面する問題はいくつか考えられる。たとえば、ガラパゴス諸島に生息するペンギンは、海面の水温が高くなるエルニーニョ現象の影響を強く受ける。えさとなる小魚などが海中深くまで潜ってしまい、水面付近では見つけにくくなるためだ。記録的なエルニーニョ現象が観測された98年には、雌ペンギンの平均体重が約2割減ったという。エルニーニョについては、地球温暖化との関連を指摘する説もある。 


ウルグアイやアルゼンチン、ブラジル沖の油田周辺にすむペンギンにとっては、石油流出事故などによる海水汚染も深刻な問題だ。このほか、周囲の観光開発や乱獲型の漁業も、ペンギンの減少につながっていると考えられる。 


同教授ら専門家は「ペンギンだけでなく、ほかの動物や人間も近い将来、同様の問題に直面する可能性が高い」と、警鐘を鳴らしている。

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