2008年9月19日金曜日

米軍の天候制御技術:「敵国の経済を破壊する気象兵器」文書が明らかに

敵国の「経済を崩壊させる」ために、洪水や干ばつを人為的に発生させることを提案した米国海軍の研究プロジェクトが、最近明らかになった。

2008年1月に情報自由法を通じて公開された、米国海軍の空中戦兵器部門『China Lake』の研究提案書(PDFファイル)には、次のように書かれている。

「気象の調節は、かつてベトナムで、特に北ベトナムから南ベトナムへの人員や物資の移動を妨害する目的で利用され、成功を収めた。(しかし)それ以来、気象調節の軍事研究は、米国では先細りになっている」

この提案書は、「実行可能な最先端の気象調節能力を再び米軍にもたらす」ために、最新の気象調節技術の研究を求めている。この技術を手にすることで、米軍は以下のことが可能になるという。

大雨による洪水や雪嵐などにより、人員や物資の移送を妨害する、または不可能にする。

洪水や干ばつなどの結果として、経済を崩壊させる。

提案書には日付が記されていないが、明らかに冷戦期のものだ。「ソビエト連邦(ロシア)」という言及があるだけでなく、現在の水準と比較するとプロジェクト費用が低めで、2年間でわずか50万ドル以下なのだ。

前述したChina Lake(米国海軍の空中戦兵器部門)が自主発行している新聞の記事によると、「気象調節はChina Lakeが秀でている分野の1つ」だという。

China Lakeは1949年から1978年にかけて、気象調節の立案と技術やハードウェアの開発に取り組み、これらはハリケーンの軽減、霧の制御、干ばつの解消に用いられて成功を収めた。

初の軍事利用となった1967年の極秘の気象調節作戦『Operation Popeye』では、降雨量を増やしてホーチミンルートを断つのに役立てる目的で使われた。(China Lakeの天候制御システム『Cold Cloud Modification System』の写真はこちら)[リンク先の記事によると、Operation Popeyeは1967年3月から1972年7月まで行なわれた。モンスーン・シーズンを延長させることに成功し、1971年に北ベトナム国土の1割を覆うほどの被害を出した大洪水の原因となったという意見もある。]

1980年、米国は軍事目的の気象操作を禁止する条約を批准した。それでも時々、軍部からは気象操作を再開する提案が浮上してくる。

空軍が委託した1996年の調査(PDF)には、「われわれの構想では、軍は2025年までに、作戦能力の達成のため、中規模(200平方キロメートル未満)または微小規模(局所)で気象に影響を及ぼすことが可能になっている」と書かれている。

米国外に目を向けると、中国当局は現在、夏季オリンピックの期間中に北京に雨が降らないよう努力している(日本語版記事)。

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