2008年8月27日水曜日

イランの核情報提供など、CIAがスイス人技術者雇用 米紙

【8月26日 AFP】米中央情報局(Central Intelligence Agency、CIA)が、リビアやイランの核計画や、パキスタンの「核開発の父」アブドゥル・カディル・カーン(Abdul Qadeer Khan)博士の「核の闇市場」解体のため、スイス人の技術者一家をスパイとして雇用していた事実が明らかになった。ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が24日、電子版で報じた。

 これによると、CIAはスイス人の真空管技術専門家、フリードリヒ・ティネル(Friedrich Tinner)氏とその息子2人に、4年間にわたって計1000万ドル(約11億円)を支払っていた。報酬の一部は、スーツケースに詰めて運ばれていたという。

 見返りとしてティネル氏らは、イランの核計画やリビアの核兵器開発阻止、またカーン博士の「核の闇市場」解体につながる極秘情報をCIAに提供していた。

 ニューヨーク・タイムズによると、ティネル氏らはこのほかにも、CIAによるリビアやイラン向け核関連機器の破壊工作でも中心的役割を担っていたとされる。

 ティネル氏とウルス・ティネル(Urs Tinner)氏ら息子2人は、イランやリビアへの核関連機器・技術を提供した疑いでスイス当局に告発されているが、スイス政府筋によると、関連書類が破棄されており、捜査は進展していないという。スイス当局は、書類の破棄は核関連情報がテロ組織の手に渡ることを懸念したためとしているが、ニューヨーク・タイムズ紙は、ティネル氏らとの関わりが発覚することを恐れたCIAから圧力があったと指摘している。

 ティネル氏は1970年代半ばから核遠心分離機の開発などでカーン博士への協力を続けてきた。しかし、2000年にCIAに雇用された息子のウルス氏が、ティネル氏と弟を説得。2人もCIAに協力するようになったという。(c)AFP

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